#137 「老後2000万円問題」とは?

2019年、金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が発表した報告書の内容が大きな話題となった。
かいつまんで言うと、高齢化が進んで平均寿命が長くなった現代では、公的年金だけで生活していくことは厳しく、老後20~30 年間で約1,300 万円~2,000 万円が不足するという内容である。

具体的になぜ2000万円が不足するかを見ていこう。
まず、モデルとなるのは夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯で、毎月約5万円の不足が生じる。30年間生きるとすると不足額がおよそ2000万円になるという試算だ。「2,000万円」という金額はモデルケースであり、現役時の職業や老後のライフスタイルによって不足する金額は大きく左右すると考えられる。
しかし、「老後2000万円」というワードのインパクトは絶大で、多くの人が老後資金について考えるきっかけとなった。

重要なのはこの問題提起をしているのが金融庁だということだ。老後2000万円問題と同時に、NISAなどの投資方法が紹介されることが多い。つまり、老後は2000万円も資金が不足してしまう→だから若いうちから投資をして増やさなければならないというロジックだ。
老後2000万円という金額が妥当なのか、投資をする必要があるのかという問題は別として、政府が国民に対して投資をすることを推奨しているというのは確かだ。

2022年からは学習指導要領が改訂され、高校家庭科で投資教育が行われるようになった。投資のことなどまったく教わらずに育った20代以上の世代でも、これからの時代は投資に対する知識は否が応にも必要不可欠になっていくだろう。

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