#181 アファーマティブアクションは憲法違反?

2023年6月29日、ハーバード大学などが入学選考で採用している黒人などへの優遇措置(アファーマティブアクション)について、連邦最裁判所が「憲法違反」の判決を下した。

アファーマティブ・アクションは、日本語では「積極的差別是正措置」と言う。大学の入学選考で黒人などの人種的少数派を優遇する制度で、1960年代の公民権運動以降、リベラル派’(主に民主党)主導で進められてきた制度である。
大学や社会における多様性を保つことを目的とした制度だったが、2014年、保守系の学生団体が、人種を考慮した入学選考によって、白人やアジア系の学生に不利になっていると主張して裁判を起こした。2019年には、連邦地裁と連邦控訴裁共に合憲の判決を下したが、上告が受理され、判決は最高裁に委ねられた。
2023年、最高裁はアファーマティブアクションは憲法の定める「法の下での平等」に反するとの判断を下した。

アファーマティブアクションは、アメリカに限った事例ではない。例えば「社員や管理職の女性の比率を〇%以上にする」といった目標をかかげ、女性を優遇するというのもアファーマティブアクションの一例である。
アファーマティブアクションには常に「逆差別」という批判がある。アファーマティブアクションは機会の平等を確保するための制度だが、その是非は社会が何を重視するのかによって左右されている。

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