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#372 原子力潜水艦は普通の潜水艦とどう違う?

prime videoで話題の「沈黙の艦隊」。
社会科好きな人にはぜひとも見ていただきたいドラマ。
こんなドラマです↓

日本の近海で、海上自衛隊の潜水艦が米原潜に衝突し沈没した。艦長の海江田四郎(大沢たかお)を含む全76名が死亡との報道に衝撃が走る。だが実は、乗員は無事生きていた。事故は、日米政府が極秘に建造した高性能原潜「シーバット」に彼らを乗務させるための偽装工作だったのだ。 ところが、海江田はシーバットに核ミサイルを積載し、突如反乱逃亡。海江田を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」を全世界へ宣言する。

沈黙の艦隊シーズン1あらすじより

このドラマの主役となるのが、日米政府が極秘に建造した世界最高峰の性能を誇る原子力潜水艦「シーバット」だ。

しかし、普通の潜水艦と見た目はほとんど変わらない。
原子力潜水艦は普通の潜水艦と一体何が違うのだろうか。
この記事では、その違いを解説する。

①動力の違い

1つ目は、動力の違い。
普通の潜水艦は、大まかに言えば自動車と同じディーゼルエンジンや、蓄電池によって稼働している。
それに対して原子力潜水艦は、その名の通り原子力エンジンで稼働している。
この点が最大の違いであり、普通の潜水艦と比べて、後述するさまざまなメリットが生まれる。

②潜航可能時間の違い

潜水艦は隠密行動が基本となる。
そのため、「どのくらい長く海に潜っていられるか=潜航可能時間」が重要になる。

通常の潜水艦の潜航可能時間が数日なのに対し、
原子力潜水艦は半永久的に潜航可能なのだ。

原子力潜水艦は海水を蒸発させて真水を作りだすことができ、その水を電気分解することによって酸素も作り出すことができる。
潜水艦の動力だけではなく、人間の活動に欠かせない水と空気も持続して供給することができるのである。

実際は食料や弾薬が有限なため、半永久的に潜航可能であるわけではないが、通常の潜水艦と比べれば桁違いの潜航可能時間を可能としている。

③目的の違い

通常の潜水艦は、敵国の偵察や戦闘時のサポートを目的としている。
もちろん原子力潜水艦もそのような目的で稼働させることもできるが、
核兵器を搭載することで戦争の抑止力になるという効果が期待できる。

原子力潜水艦は長期間潜航することが可能なので、核弾頭を取り付けたミサイルを搭載させれば、敵国を射程圏内とする海域の海底にいるだけで大きな脅威になるのだ。

もっと言えば、敵国の潜水艦の位置を正確に把握することは極めて困難なため、敵国が原子力潜水艦を保有しているだけで、自国が核ミサイルの脅威にさらされることになる。

④保有国の違い

通常の潜水艦は多くの国が保有しているが、原子力潜水艦は保有国が限られている。
保有しているのはアメリカ、ロシア、中国、フランス、イギリス、インドの6か国のみだ。
安保理の常任理事国+インドという顔ぶれで、いずれも核保有国である。

前述したように、原子力潜水艦は核兵器を搭載させることで絶大な脅威となるため、当然と言えば当然の保有国だ。

逆に、原子力潜水艦を持つということは他国からすると脅威になるため、全視力潜水艦を開発・製造することは外交問題にもなりかねない。

昨年は、オーストラリアが原子力潜水艦を製造する方針であることが発表された。
発表はアメリカ、イギリスとの共同声明であり、南シナ海での影響力を強める中国への明らかな牽制である。

まとめ

沈黙の艦隊で「やまと」の独立が宣言できたのは、シーバットが原子力潜水艦だからだ。
作中でも核ミサイル搭載の有無が物語のキーのひとつになっている。

本記事が沈黙の艦隊を楽しむ上での参考になっていただけたら嬉しいです・・・あれ?授業ネタのはずなんだが。

【目次】

【参考】


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