#173 ニュージランドで「げっぷ税」?

人口約500万人に対して、約2,600万頭の羊と約1,000万頭の牛が飼育されているニュージーランドで、牛と羊の「げっぷ税」の導入が検討されている。

牛や羊の「げっぷ」には、大量のメタンガスが含まれている。メタンガスは、二酸化炭素の約28倍もの温室効果があるとされているので、地球温暖化防止のためにメタン削減が求められている。
たかが「げっぷ」と思うかもしれない。世界のメタンの発生源のうち、50
%はエネルギー分野で、化石燃料が主な発生源となっている。しかし、農業もおよそ30%をしめており、そのうちのおよそ78%が家畜の消化の過程で発生している。家畜の排せつ物からの発生も含めると、農業分野から排出されるメタンガスの95%は家畜から発生しているのである。
つまり、世界で排出されるメタンの30%近くが家畜由来ということだ。

家畜から排出されるメタンの削減は急務で、家畜の餌に海藻をまぜるなどしてメタンが排出されにくくするなどの研究も行われている。「げっぷ税」もメタン削減のための取り組みである。しかし、税がかけられれば輸入される羊毛製品や牛肉の値段が上がることは不可避であり、日本人にとっても遠く離れた国の突飛な税金では済まされない。

また、日本のメタンガスの排出は75%が農業分野であり、これは家畜からの排出ももちろんだが、稲作による排出が大きい。水田の土壌には酸素量が少なくなるとメタンを生成する微生物が活動しており、発生したメタンが稲を通して空気中に排出されるのである。稲作におけるメタン削減も世界的に大きな課題となっている。

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