#74「太陽の沈まない帝国」とは?

かつて世界には「太陽の沈まない帝国」と呼ばれた国があった。
大航海時代のスペインと、その後世界の覇権を握ったイギリスだ。
スペインとイギリスは、世界中に植民地を持っていたため、かならずどこかの支配下の地域では太陽が昇っているということから、「太陽の沈まない帝国」と呼ばれた。これらの帝国はいかにして生まれたのか。

大航海時代、新航路を開拓したポルトガルとスペインは世界中に植民地を獲得していった。そんな中、ポルトガルの国王が跡継ぎを残さず1580年に死亡した。スペインの皇帝だったフェリペ2世は、母がポルトガル王家出身だったことからポルトガル国王の王位継承権を主張してフェリペ1世としてポルトガル国王に即位。実質的にポルトガルとその植民地を併合することとなった。ここに世界で初めて太陽の沈まない帝国が誕生した。

世界の覇権を握ったスペインが、オランダの独立や財政破綻、他国との戦争に敗れて衰退してくと、次に派遣を握ったのがイギリスである。かつて大英帝国と呼ばれたイギリスは、スペインに代わって繁栄を誇っていたオランダや、世界各地に植民地を広げつつあったフランスとの戦争に勝つと、アメリカ大陸やインド、オーストラリアなど、最盛期は世界の4分の1を版図とした人類の歴史上最大の帝国となった。

二度の世界大戦によってヨーロッパが疲弊していく一方、アメリカが代わって派遣を握ったことで、「世界の覇権を握っている」という意味で「太陽の沈まない帝国」という言葉は適さなくなったが、単純に領土のどこかで太陽が昇っているという意味では、現在もフランスとイギリスがその条件を満たしている。

参考


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?