#116 ディズニーとプロパガンダ

「プロパガンダ」とは、政治的な意図を持った宣伝のことで、とくに戦時中には国民を戦争に向かわせるための宣伝を指す言葉である。
日本の戦局が悪化してからも日本が勝っているような報道を続けた大本営発表や、「ぜいたくは敵だ」などの標語など、太平洋戦争下の日本ではさまざまなプロパガンダがみられた。子供向けに作られたアニメーション作品も政府の意向を色濃く反映させたものとなっている。

プロパガンダというと太平洋戦争の日本が思い浮かんでしまうが、どの時代もどこの国も多かれ少なかれメディアを戦争に利用している。
太平洋戦争下のアメリカでは、ディズニースタジオも多くのプロパガンダ作品を制作した。

1943年に公開されたドナルドダックシリーズの「総統の顔」は、アカデミー賞短編アニメ賞受賞を受賞した作品である。ドナルドダックは夢の中でナチスが支配するナチランドで暮らしており、過酷な労働をさせられた結果、爆発して目が覚めるというストーリーだ。

『グーフィーの船乗り教室』は、1944年につくられた短編アニメーションで、人と船の歴史を説明した作品である。しかし、終盤には誤って自身を魚雷として発射してしまったグーフィーが日本海軍の艦隊を突き破って勝利するという何とも戦時下らしいシーンが描かれている。

このように、子供向け作品を通して戦争に向かう心を養うというのは、戦時下の国家の「定石」なのだろう。

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