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第5話 叩き潰された日教組

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坂本の話は続く
「なお、俺の一方的な話を鵜呑みにする必要はない。嘘だと思うなら、調べればいい。衛星回線で家族とのEメールのやりとりは許可されているんだから。もし、俺の説明の中の単語で検閲されて送信できないなら、もう日本は終わりだよ。完全な情報統制独裁国家だ。ジョージ・オーウェルが予言した『1984』だ。
 では、解説を続けよう。ところで、日本会議や安倍首相から、一番敵視された組合があるんだけれど、分かるかい?
 日教組だよ。先生たちの旧社会党系の組合なんだ。昔の先生は、学生運動に参加していたような人も案外多くて、日本の右傾化と対米隷従に対して、ヘルメットをかぶって戦っていた世代なんだ。特に高校の社会科教師は専門家で博識だから、日本の加害責任についても、しっかり授業で教えていた先生が多かったんだよ。それは、日教組のスローガンの一つが、『教え子を再び戦場に送るな』というもので、それは当然だよ。戦争の反省なくして、平和は守れない。また、戦争を始めてしまう。それが人類の歴史だと、よく理解していたからだ。当然、日本軍の蛮行につても、『まともな本』を読んでちゃんと知っている。だからこそ、次の世代にも語り伝えたかったんだろうな。でも、どうだ?君達は、社会科の授業で、日本の戦争犯罪について学んだことはあるかい?どんなことを学んだんだい?」
麻生が答えた。「寝てたから、何も教わっていない。」
西郷が答えた。「教科書に書いていること以外、別に教わっていないよ。」
坂本が、そうだろうなと説明を続けた。
「当然だよ。以前は約80%近くの組織率を誇った日教組も、40年以上連続で低下して、わずか20%程度だよ。教育基本法が改悪されて、政府が不適切なことを行っていても、それを話題にするのも危険なんだ。教員免許更新制で、不適格教員認定されて首になる可能性が生じたのは大きいね。これも、日本会議の重鎮である中山成彬氏(日教組はがんと公言する歴史修正主義者)が文部科学大臣のときに決められたもので、時に、文科省こそ、歴史修正主義を推し進めている主体ともいえる。なお、教員免許更新制は身銭を切って、受講しないと教壇に立てないから、講師が不足して教育現場は疲弊している。育休や産休などの代替講師が全然見つからない状況だし、更新自体が教師や現場の負担になっているからね。
 道徳教科化なんて、日本会議の強制したものなんだが、そのための研究に追われたり、ゆとりもない。
 働き方改革とかいうけど、政府がそう仕向けたようなものだ。
 そんな状況だから、日教組は、もう、与党に逆らう力なんて全く失って、社会科教師も教科書以上のことは教えなくなったんだ。
 中山氏は日教組を解体するのが願いだったんだが、実質的にそうなっているよ。日本会議の望み通りに。
 大学や高校では、未だに抵抗して加害の歴史も教えている先生もいるかもしれないが。東京で国旗・国歌強制に抵抗したのも高校教師だった。きっと、正しい歴史を知っているからこそ、国家の右傾化に抵抗したんだと思うよ。
 ネットはデマ情報一色だから、教育でしか、この歴史修正主義に抵抗できないんだから。
 ところが、教師でさえ日本会議の存在自体を知らないし、ネトウヨと同様に、嫌韓本やネットのデマ情報を鵜呑みにして、韓国の悪口を言うような教員もいるらしい。もし、社会科教師もそうなったら、もう、この国は終わりだよ。

 関連資料 日本人は韓国人著の『反日種族主義』を鵜呑みにしてはいけないby知多郎

 今回の戦争の相手は、イランだけど、いつ韓国や中国と戦争になってもおかしくはない。
 韓国は米国よりも中国との同盟を目指した。日本の歴史修正主義が改まらないのなら、共通の敵だから。歴史修正主義者が中韓同盟を敵に回したんだ。
 あまりに日本人が加害の歴史を忘れてしまったから、戦争を呼んだのだと俺は思う。
 著名なフランスの経済学者のジャック・アタリ氏が、『21世紀の歴史ー未来の人類から見た世界』という本で、大きな混乱の時代が来ると予言している。第三次世界大戦のことだろうか?まさに、各国がそのように動いている。
 日本の歴史修正主義も、その一環ということだ。このイラン戦争が、大混乱のきっかけにならないといいのだが・・・。