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理解するということ

応用できる人とできない人

応用というのがそもそもどういうことなのかって、ちゃんと説明できる人はどれくらいいるだろうか。
ちなみに、応用は転用と違う。
転用は経験したことをそのまま違う分野へ持っていくこと。
それに対し、応用は経験したことを抽象化して同じ分野でも違う分野でも要素が変わっても再現すること。

応用できる人は抽象化する手順を体得してるけど、応用できない人はその手順を体得していない。
それだけの違いなのだ。
この抽象化する手順は下記の過程を経ることによって実現される。

  1. 知る

  2. 理解する


知ることと理解することは違う

勘違いしてる人が最近多いなって感じるのが、この2つの差。
知ることは、検出すること。
つまり、五感で感じた状態のこと。
これに対し、理解することは、知ったことから概念を抽出し、その概念に今回くっついてきた1例として五感情報を記憶すること。
これを抽象化という。
この抽象化までたどり着けないと、応用はできないし、使えないやつというレッテルを貼られてしまうのだ。
じゃあ、どうやって理解するところまでたどり着くのかってのを見ていこう。

理解の仕組み

理解の仕組みはいたってシンプルなのだ。
ずばり、概念抽出+五感記憶 だ。
概念抽出ってのは前述したとおり。
そして、ここでいう五感記憶に使う情報は「知る」ことで得たものだ。
従って、知ることが理解の入り口なのだ。
たとえば、緑茶を飲んだとしよう。
ペットボトルのラベルには「伊右衛門」と書いてある。
すると、「伊右衛門」を知ることになる。
知った後、脳では五感情報から、「緑色で濁ってる」「苦い」「粉っぽい」「飲める」「少し喉が潤うけど、ひっかかりもある」「緑茶という名前らしい」「茶の一種らしい」といった特徴が導き出される。
ここから、「伊右衛門は茶の一種の緑茶であり、緑色で濁っている苦い飲料だ」という情報に変換される。
そして、「まぁ、ざっくりいうと伊右衛門は緑茶だし、緑茶は緑で苦いんだな」という風に概念抽出される。
この概念を経験として記憶するのだが、この時に五感と関連付けるのだ。
例えば、下記のように。

  • 物理名称:伊右衛門

  • 概念:茶の一種の緑茶

  • 視覚:緑色、濁っている、ペットボトルに入ってるのを見たわ

  • 味覚:苦い

  • 触覚:粉っぽい、飲める、少し喉が潤う、でもひっかかる、ペットボトルの口触りがあった

こういった情報で関連付けて記憶されるのが抽象化であり、理解することなのだ。
もちろん、五感には個人差がある。
「例えば」としたのはそのためだ。

で、これはあくまでも触覚を伴う情報の例だ。
しかし、理解しがたいことの多くは触覚を伴わない。
だから、理解しづらい。
では、触覚情報の無いものについて理解するにはどうすれば良いか?

理解するにはどうすれば良いか?

理解するだけなら、ここまで説明してきた抽象化を使えば良い。
しかし、触覚情報の無いものについてはそれが難しい。

たとえば、算数の学習をする時、みんなどうしていただろう?
九九なんかは暗記もあっただろう。
1+1=2も暗記かもしれない。
では、5+6は?
11+12は?
暗記で覚えた人もいるだろうけど、それはほんの一握りの人だと思う。
ほとんどの人は計算のやり方を覚えたはずだ。
そのやり方は数字が変わっても適用可能な魔法の手順のはずだ。
よーく、思い出してほしい。
足し算、引き算、割り算、掛け算、色々な計算方法があるけど、これらをひっくるめて算術という。
それぞれ、足される数と足す数、引かれる数と引く数、割られる数と割る数、かけられる数とかける数、という構成要素に分解される。
この○○られる数が△△する数によってカウントされていくのだ。
要するに、左に対して右の回数なにかするのだ。
例えば、1+1なら、左の1を右の1回カウントアップする。
そうすると、1の次は2だということを覚えていれば、答えが2であると導き出せる。
例えば、5+6なら、左の5を右の6回カウントアップする。
そうすると、5の次は6、その次は7、という風に、6回カウントアップしていって、最終的に11になるので、答えが11だと導き出される。
慣れてくると、これを瞬時に導き出すことができるが、この瞬時に導き出すことを「暗算術」略して「暗算」という。

こういう感じで、答えの導く時に必要な要素を手順に分解して動作に割り当てて記憶すれば、理解できるのだ。
このように、要素を手順に分解して動作に割り当てることを「チャンキング」と呼んだりするらしい。
専門用語ではね。

発達障害だとかなり難しい

理解する方法について説明してきたんだけど、発達障害にはこの方法が向いてなかったりする。
というのも、発達障害は「チャンキング」が苦手な人が多いからだ。
チャンキングには要素を認識して手順に分解して動作に割り当てる必要があるけれども、まず要素を認識することが大の苦手なのだ。
発達障害諸兄たちは思い当たることもあるのではないだろうか。
用語の文字は認知できるし、辞書に書いてあるような意味も記憶できるんだけど、どうにもイメージがわかないってこと。
どうして他の人はイメージできているんだろうって不思議だったことはないだろうか?
単に自分の頭の動きが鈍くなっているだけとか、個人差による理解速度の差とか、そういう理由を分析結果として終わっていたりしないだろうか?
それ、一生理解しないまま終わるルートなのよ。
攻略するには、自分に対してナゼナゼ尋問をしないといけないのだ。
もちろん、けっこうなストレスになる。
でも、やらないとそれ以上のストレスを残りの人生で受け続けることになる。
どっちが良いか、自分で決める必要がある。
ちなみに、今後は発達障害がメジャーになって重度じゃないかぎり障がい者扱いされなくなる可能性もゼロではない。
だから、今のうちに一生かけて払う代償を回避する準備が必要なのだ。

だからといって諦めなくて良い

ナゼナゼ尋問という方法を提示したんだけど、やっぱりどうしてもそういうのが嫌だという人もいるだろう。
そんな人でも実は悲観する必要はない。
どんな問題にも最終手段がある。
それは、目次作成練習だ。
目次作成というのは抽象化の最たるもの。
だから、目次作成できれば理解するための脳の動かし方を刻み込むことが可能になるのだ。
どうやって作れば良いかって思うだろうけど、けっこう簡単なのだ。
僕が最もオススメする方法、それは図書館で目次だけを読み漁ることだ。
中身を隅々まで読み込むには相当な時間が必要となる。
それに、そもそも本を読むことが苦手な人もいるだろう。
そんな人でも、ツイッターくらいは見ることができるでしょ?
あるいは、LINEくらいは読めるでしょ?
その程度の文字数でまとまっているのが目次なのだ。
で、やってほしいのが下記の手順。

  1. 本の題名から期待される目次をイメージする

  2. イメージ通りか目次をチェックする

  3. 差分があった目次をどうしてイメージできなかったか振り替えってみる

  4. 一度本を閉じて、手順1を再度実施してみる

これだけで、思い付き→概念抽出→手順化→再現確認 の練習ができる。
図書館でやることだから、無料なのだ。
もちろん、図書館にこだわる必要は無く、書店でも良い。
本にはこういう使い方もあるってことを覚えておいてほしい。

さいごに

本記事ではまとめを記載しないでおく。
その理由は単純だ。
整理しなかったところで、わかる人にはわかるし、わからない人にはわからないからだ。
わかる人っていうのは何も地頭が良いからとか、そういう理由ではない。
単純に、この記事の情報を真剣に欲していて、この記事を読むに足るだけの努力をしてきたからだ。
逆に、わからない人っていうのは、そもそもこの記事の情報を欲していないか、読むに足るだけの努力をしていないだけ。
この言い方が冷たいと感じる人もいるだろうけど、突き詰めていくとそういうことなのよね。
学術的に研究しつくされて発表されているビジネスフレームワークやらアルゴリズムやらも、本来は学者以外の誰もが比較的簡単に扱えるようになっている。
しかし、そもそも興味がない・必要がない・素養がないって人が使おうとしても使えない。
それと同じなのだ。
これは向き不向きというよりも、必要性と必然性の噛み合う噛み合わないというところが大きい。
だから、この記事の内容がわからなくても気にしないで欲しい。
もしかしたら、もっと前段階で読むべき記事や取り込むべき情報があるのかもしれないと、思いを馳せて欲しい。
急いては事を仕損じるし、急がば回れなのだ。

ということで、今回はこれでおしまい。
今後も少し楽に生きるためのヒントを執筆していくので、興味があれば読みにきてね。

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