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映画『フレンチ・ディスパッチ』①【ネタバレ感想】 話についていけない時があったけど……

メインビジュアル:© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

※この感想は過去の別ブログから移行してきたものです。

ここでは『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』の感想をネタバレでつづっていきます。

今作はウェス・アンダーソン(Wes Anderson)監督の真骨頂。監督が10代のころからハマっていた雑誌『ニューヨーカー』にインスパイアされた映画。監督長編10作目。キャストも豪華ですね。

ディズニープラスのコンテンツブランド「スター」で2022年3月16日(水)16:00より見放題独占配信がスタートしています。


ハッセー「こーんにーちわー。2022年1月28日公開のフレンチ・ディスパッチ、リ……リバ……みてきました」 

ワチャ「覚えとけよ!『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』だろ」

ハッセー「そう、それ! みてきました。ウェスっちの新作です」

ワチャ「変な呼び方すんな。ウェス・アンダーソンね。」

ハッセー「日本が好きです、とかけまして」

ワチャ「いきなりなんだよ!?」

ハッセー「米とパンどっちが好き、ととく」

ワチャ「…そのこころは?」

ハッセー「ジャパーン! ウェスっちです」

ワチャ「ねづっちをパクるな! しかも全然うまくないからね」

ハッセー「俺ね、『フレンチ・ディスパッチ』の感想言っちゃおうと思ってね」

ワチャ「もっとやることあるだろお前は」


『フレンチ・ディスパッチ』が雑誌『ニューヨーカー』をオマージュした架空の雑誌ということで、漫才コンビ『錦鯉』のネタをオマージュした架空のヘタな漫才で語り始めてみました(だからなんで漫才やねん)。

『フレンチ・ディスパッチ』は色彩豊かでシンメトリーであったり、独特なリズムでズームや横移動するカメラワークであったり、ボァボァボァチロリンとほがらかなサントラが流れるそんなウェス・アンダーソンのお家芸が堪能できる作品です。

撮影はフランスのアングレームという街に、セットを構えて撮ったようです。


ハッセー「フランスのアングレームって、漫画のカンヌとも呼ばれる欧州最大級の漫画イベント『アングレーム国際漫画祭』をやってる所だよ」
 
ワチャ「あ、そうなの?」
 
ハッセー「国際漫画祭っていうだけあって、バンド・デシネだけじゃなく、日本の漫画の翻訳作品も選考対象でさ。過去に浦沢直樹や大友克洋、高橋留美子が受賞してるんだよ」
 
ワチャ「へー。そういう情報は知ってんだな。さっさと話進めろよ!」

■ あらすじ/『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』ってどういう意味?

あらすじをざっくり言うと、ある日、雑誌『フレンチ・ディスパッチ』の編集長が心臓マヒで急死。その編集長の遺言によって『フレンチ・ディスパッチ』の廃刊が決定。

「この後、最終号はいったいどうなってしまうのかァ」と垂木勉ナレーションばりの状況。最終号に掲載される記事が映像化され語られていきます。

で、タイトルの『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun)』ってどういう意味なのか、ちょっとわからなかったのでパンフレットやネット情報を確認してみました。

まず「ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン(the Liberty, Kansas Evening Sun)」について

「ザ・リバティ、(the Liberty,)」とは、リバティ市を意味するようです。なので「ザ・リバティ、カンザス」で、アメリカのカンザス州リバティ市を示しているようです。

「イヴニング・サン(Evening Sun)」は架空の新聞名です。夕日という意味ですが、夕刊でしょうか。

その昔、1833年のニューヨークで、ザ・サン(The Sun)という新聞が創刊されました。[ウィキペディアへのリンク] 1887年には夕刊紙『イブニング・サン (Evening Sun)が発行されています。その事例を踏まえると、夕刊なのでしょう。

ということで「ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン(the Liberty, Kansas Evening Sun)」は、アメリカ カンザス州リバティ市の新聞社が発行している、イブニング・サンという架空の夕刊だと思われます。

そして『フレンチ・ディスパッチ(The French Dispatch of)』は、その夕刊の別冊誌ということになります。

ディスパッチ(Dispatch)には、「新聞記者や特派員が送る記事や特報」という意味合いがあります。なので、フレンチ・ディスパッチはフランスの記者が書いたフランス版の夕刊紙『イブニング・サン (Evening Sun)』といったものになりそうです。

雑誌『フレンチ・ディスパッチ』には、国際問題、政治、アート、ファッション、グルメといった様々なジャンルが、個性豊かな記者たちの記事が載っています。購読者は50カ国50万人を超える人気雑誌という設定のようです。

■ アンニュイ=シュール=ブラゼってなんよ?

「アンニュイ=シュール=ブラゼ」は、物語の舞台となるフランスにある架空の街です。

アンニュイ=シュール=ブラゼ(ennui=sur=blasé フランス語)を訳すと、「退屈で=ひどく=すたれた」街、そんな感じでしょうか。

時代設定は20世紀(1901年~2000年)。公式サイトに載っているフレンチ・ディスパッチの雑誌表紙画像には、1925年から1975年と思われる表記があります。

舞台設定をまとめると、舞台は20世紀のフランス。架空の街アンニュイ=シュール=ブラゼに、アメリカ カンザス州リバティ市で『イヴニング・サン』を発行している新聞社の支社がありました。その支社では『フレンチ・ディスパッチ』という人気雑誌を発行していました、ということになります。


ハッセー「あらすじをざっくり言うと、人が死にます」
ワチャ「ざっくりにもほどがあるわ! ばか」
ハッセー「映画の舞台はフランスの街かぁ……猿いるかな。」
ワチャ「いねェだろ!」


■ ストーリー/話についていけない時があったけど……

今作は、4つの記事の物語が織り込まれたオムニバス形式の様な構成になっています。

各記事の内容はユニーク。美術や衣装だけでなく、ストーリー構成もカラフル。その分、良くも悪くも情報量が多く感じました。

4つの記事内容は下記。
〇 1つ目の記事『自転車レポーター』―街中レポート

〇 2つ目の記事『確固たる(コンクリートの)名作』―囚人の天才画家と看守とのラブストーリー

〇 3つ目の記事『宣言書の改定』―学生運動の青春ストーリー

〇 4つ目の記事『警察署長の食事室』―誘拐事件の解決に奮闘する料理人のストーリー


1つ目の記事『自転車レポーター』

ウェス・アンダーソン映画の常連オーウェン・ウィルソンが記者役で出演。彼が出てくるだけでワクワクしました。

自転車でバスと並行して走行するシーンや、悪ガキたちに襲われて建物ごしからは自転車だけが走行しているシーンが笑えました。


2つ目の記事『確固たる(コンクリートの)名作』

ベニチオ・デル・トロ演じる囚人とレア・セドゥ演じる看守は、夫婦を象徴している様にも感じました。結婚とは人生の墓場というより、監獄だ! なんてテーマがあったかは定かではありませんが。

壁に描かれた抽象画は、記者のJ.K.L.ベレンセン役を演じるティルダ・スウィントンの実の夫で芸術家のサンドロ・コップが、2か月半で描いたものらしいです。

役者達が、静止画のようにいっせいに自力で静止してみせたシーンはユニークでステキだったなぁ(内容は違うがガズ・ヴァン・サントのマイ・プライベート・アイダホの自力静止映像を思い出しました。たしか、あった気が...)。


3つ目の記事『宣言書の改定』

ティモシー・シャラメ演じる青年のフランシス・マクドーマン演じるジャーナリストとリナ・クードリ演じる女子との青春ラブストーリー。恋愛とセックスをユニークな映像演出で面白みがあってステキでした。

そろそろ現実世界でティモシー・シャラメのファッションや髪形をしたメンズを、「シャラメン」という日も近いんじゃないかな(無いやろ)。


4つ目の記事『警察署長の食事室』

正直、仕事後で疲れて普段以上にトロくなった私の頭では、物語についていけていませんでした。それでもビジュアルが楽しめました。

モノクロに映ったキャラクターと美術には、カッコよさとユーモアが入り混じってみえました。誘拐シーンでいきなりカラーアニメーションへ切り替わり、絵柄も展開も楽しめました。

そしてこの物語の最重要人物である東洋人料理長ネスカフィエ(演じるはスティーヴン・パーク)。セリフが最後にしかないのに、ビジュアルというか佇(たたず)まいだけで存在感が弾(はじ)けて見えました。

この料理長の唯一のセリフがウェス・アンダーソンの創作魂を語っているように感じてグッときました。

そのセリフが…料理を作るときの心がけ……? だったっけ……? なんて言ってたっけ……? 思い出せない……。ダメやーん!

たしか、「今までにない味や感動を体験してほしい」とか、「創意工夫」とか「オリジナリティ」とかそういったクリエイティブに関する内容のセリフを言っていた思うのだが……。

ま、そんな感じで(汗)、重要なキャラの唯一のセリフがウェス・アンダーソンの映画作りへの意思や希望を語っているように感じた、ことだけは覚えています。


ハッセー「俺はもうね、2つ目の後半あたりで、どういう状況なのかを忘れてたね。あれ、何の話をみてるんだっけ……もうわけわかめェェェよ」

ワチャ「はやいなオイ! しかも死語使うな。どーせバカなお前のことだから、レア・セドゥのヌードをエロい目でしか見れてねえんだろ」

ハッセー「失敬な! いやー、ヌード、ステキだったねー。芸術だよ。36歳の美。エロい目でなんて4割でしか見てない」

ワチャ「十分見てんじゃねぇかよ!」


ということで『フレンチ・ディスパッチ』のストリーは、4つの短編が織り込まれていて情報量も多いですが、その分、ウェス・アンダーソンが創作したキャラクターや物語、美術や映像演出が存分に楽しめるユニークな作品です。

ネタバレ感想② キャスト以上にスタッフを賞賛したい! へ続く

https://note.com/preview/n173741106d1c?prev_access_key=5ea404c4d6a5dffc672c6585a5debc7e


#映画レビュー , #映画感想文 , #ネタバレ , #フレンチ・ディスパッチ , #ウェス・アンダーソン


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