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コロナ市況下でキャッシュを生み出す!すぐ結果の出る費用削減

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、制度融資等の資金繰り対策に奔走される経営者の皆様からご相談をいただくテーマ。それが、「費用削減」です。金額的なインパクトは小さくとも即効性が高い本テーマに関して、船井総合研究所、金融・M&A支援部の片山がファイナンスの全体像を鑑みながら「費用削減」の実践論をお伝えいたします。


「費用削減」の第一歩は「事業計画」にあり

~「費用削減」で重要なことはやりきることにある。だからこそ、蓋然性と説明性をもった計画を策定し、「現場で使いこなせるか」が重要である~
実践論についてお伝えする前に、「費用削減」の全体像についてお伝えできればと思います。
ポイントは、「事業計画」です。即効性のある実践論について知りたいのに、ずいぶん大仰なとお感じになられるかもしれません。が、「事業計画」に関する考え方を転換することが「費用削減」を進めるうえで肝要だと私は考えています。
【表1】様々な事業計画の例

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事業計画を作る目的は、その計画を「見る」相手に働きかけ、目指す行動を生み出すことにあります。だからこそ、根拠に裏付けられた蓋然性と、相手の行動に繋がる説明性を担保することが求められます。
見るのが金融機関なのか、社内の人か。社内でも売上・利益に責任を持つフロントか、それとも守りを固めるバックオフィスか。「見る」対象によって、内容は変わっていくことが望ましいでしょう。

さらにコロナウイルス禍の現在の市況では、
・今まで通りの手法で売上・利益を見通すことは困難
・蓋然性の高い計画を作ること自体が困難
という「2つの困難」あります。だからこそ、保守的、かつ自社の力でコントロールできる内容に絞った計画を策定することが望ましいでしょう。
現在の市況で自社の方向性を最も正確に照らしてくれる羅針盤となる事業計画とは、
・ストレスをかけ、それでも自社が十分に事業継続できるという根拠になるもの
・かつ、自社が最も早くコントロール可能な「費用(削減)」に焦点を当てているもの
だと言うことができます。

「費用削減」という言葉から、大規模なリストラ等を思い浮かべる方も多いのですが、削減において重要なのは「きちんと現場で使いこなせる計画となるか」です。意識して費用削減を織り込んだ、使える計画の策定を進める必要があるのです。

費用削減計画は、3つの仕訳から始まる

~コストを①削ると会社の根幹が揺らぐ固定費 ②削ると事業に著しくマイナスに働く変動費 ③事業推進には重要だが不要不急の変動費の3点で分析把握する~
それでは次に、費用削減を織り込んだ事業計画を策定していくための具体論を紹介していきます。
ポイントは、「費用削減は、3つの仕訳(フィックスコスト、フラットコスト、ドライブコスト)を起点に行う」ことにあります。
フィックスコストとは、そう簡単には削減できず、減少させれば会社の根幹が揺らぐもの(固定費)です。具体的には、水道光熱費、正社員の人件費等を指します。
フラットコストとは、変動費のうち、会社の根幹を支える費用で削減すれば著しくマイナスを及ぼすものです。広告宣伝費・販売促進費やパート社員の雑給等を指します。
ドライブコストとは、変動費の中でも事業成長を推進できる可能性はあるが不要不急のもので、研究開発費、研修費、新聞図書費、諸会費等があります。
現場活用ファーストで、しっかり自社の費用を見直すためには、この3つまでコストを細分化することが大切です。たとえば、ある企業が費用削減を考える際に使っているフレームワークで、以下例を考えていきましょう。視点は、①費用の種類 ②費用のトレンド ③費用の削減方針とその影響 の3つです。
【表2】ある企業が費用削減を考える場合

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ここでの取り組みを解説すると、
①費用の種類
「費用」といっても、企業には簡単には減らせないものもあれば、今すぐにでも削減可能な支払いもあります。
まずは現状がどうなっているかを分析し、仕訳する必要があります。特に変動費をあえてフラットコストとドライブコストに区分することが重要です。
有事の際は不要不急の費用のみを削減するだけではなく、時には少し傷を負ってでも、資金繰りを優先するほうがよい場合もあります。その苦渋の決断を少しでも緩和するために、変動費は削減後のダメージ別に区分しておくことをお勧めします。

②費用のトレンド
それぞれの費用を自社の決算書を3期並べた際に、「増加、横ばい、減少」のどのポジションにあるかを認識してみましょう。
増加・減少に転じている場合はその理由が明確に付記できると、計画・管理上でも大いに役立ちます。

③費用の削減方針とその影響

費用のタイプ・トレンドが分かったら、期間当たりどの程度その費用を削減するか決断をする段階に入りました。
費用削減は多かれ少なかれ、無駄なものでない限りは何かしらプラスかマイナス、もしくはその両方の影響が出るはずなので、その「何か」を特定し、マイナスに影響しても今後の事業継続において問題がないかについても、確認しておく必要があるでしょう。

いかがでしょうか。これはあくまで費用削減を考える際の一例で、細かく留意するべき点は他にもあります。
けれども、まずはこれだけでも把握しておけば、自社の費用が、どこを改善すべきで、どうすれば削減ができるのか明確になってくるはずです。実際、この考え方を実践し、
・販促費の中でもインパクトの乏しい手数料を見直す
・法人クレジットカードの諸会費を削減する
・外注先への支払手数料を見直す・節約する
といった取り組みから、半年間で昨対比9000万円のコスト削減に成功した会員企業もあります。
企業規模や業種柄によっても異なりますが、それだけ数字の根拠を持った可視化された運営に効果があることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
今回は、先行き不透明な市況で足元の資金繰りも自社の努力で改善していくために、かなり具体的な手法に関してお伝えしてきました。
ただし、こうした打ち手は短期的な施策であり、本質的には資金繰りを圧迫する借入返済に関して手を打たなければ意味がありません。
費用が原因で一時的に赤字になっても、手元に現預金があれば日々の経営には影響がありませんが、借入の返済が滞ると資金調達そのものが困難になるためです。
だからこそ、費用の見直しを進めつつも、やはり借入返済が関係する指標を第一の目安にしてほしいと考えています。

ただし、現在の市況下にあって、マーケティングや営業のギアを踏みつつ、さらに資金繰りや計画策定を両軸で考えるのが困難なのも確かです。
今回の情報を踏まえ、実践に興味を持たれた方は是非とも一度ご相談ください。3月以降、資金繰りや経費削減に関するご相談に多数応対させていただく中で見出した生きた情報を元に、皆様の悩みを解決する一助になることができればと思います。
興味のある方、今後の経営の参考にしたい方につきましては、下記リンク先よりお申し込みをお願い致します。
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【WEBセミナー】コロナ後も借入を安定させる事業計画セミナー
=セミナー概要=
【第1講座】「銀行融資が2倍速で通る事業計画3つのポイント」
<講師>株式会社 船井総合研究所 金融・M&A支援部 コンサルタント 片山孝章
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<講師>株式会社 船井総合研究所 金融・M&A支援部 チームリーダー 竹村良太
※注意点
当該セミナーは、ご経営者・ご経営陣・財務責任者の皆様向けの内容となっております。士業の方、コンサルティング業の方など、お申し込みを頂戴してもご参加をお断りする場合がございます。

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【開催日時】
2020年5月20日(水)
13:00~14:30@WEB配信

【開催概要】
参加費:一般企業様5000円(税込5500円)/1名様、会員企業様4000円(税込4400円)/1名様


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