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連れ子の視点から見る選択的夫婦別姓について

今の制度では結婚すれば夫の姓に統一される、ということはその子供も夫の姓を継ぐ。
そして母親が離婚し再婚すれば新たな父親の姓に統一される。つまり

自身が結婚しなくとも姓が変わる人

がいるのだ。それが連れ子の存在である。

子連れの再婚率は全体で見るともちろん低いだろうから、あまり語られることのない視点から述べてみる。


①姓のアイデンティティ

母親の再婚により連れ子だった私は6歳で姓が変わったため、苗字は移りゆくものとすら思っていた。選択的夫婦別姓の賛成意見においてアイデンティティがあるため変えたくないというものがあることに衝撃だった。

もちろん旧姓を元に下の名前を付けているから前の方がフルネームのバランスが良い。正直今の姓はあまり好きではなかった。
読み方が二分する姓でありながら、少数派の読み方である。いちいち訂正するのも面倒で、なんと呼ばれても構わないとすら思う。

私は20年以上経った今でも自分のフルネームを名乗ることに少し恥ずかしさを感じるし、馴染んではいない自覚がある。


あれ、もしかしてこの違和感こそが私にとっての姓のアイデンティティではなかろうか。

私は自分の苗字はそんなに受け入れてないから結婚すれば夫の姓に統一されても構わないと思っていたが、それは既にアイデンティティが奪われていたからだったのだ。
そもそも夫婦別姓が選択できればこういうことは思わないのだ。

②思春期の子供にとって姓が変わるということ

妻側の苗字が変われば再婚といえど結婚したということで、水面下でどう思っていようが妻が属する大人社会ではおめでとうと歓迎されるだろう。

しかし連れ子である子供社会では歓迎されることはない。苗字が変わったというのは当時の私自身にとっては

お母さんは本当のお父さんと離婚した。そして再婚して血の繋がっていない新しいお父さんがいる。

という感覚である。

私は苗字が変わったタイミングで引越しをし旧姓を知る人はいなかった。
小学校低学年のある日、たまたま旧姓で書かれた私物を見られこう言われた。

「これだれのなまえ?」

私は上記のような感覚でいたため罪悪感混じりに「じつはね…ないしょだよ!」と小声で説明する。

周りの子の反応は意外にも「ふ〜ん」くらいである。
もともと旧姓を知らない子達だし、
親が再婚する、その感覚自体がよく分からない子が多いのが実際だった。

もし同級生の苗字が次の日に変わっていればどう感じるのだろう。
いじめられた子もいるのだろうか…

とにかく当時小学生だった私は

苗字が変わることは普通ではない、隠さなければいけないこと。

だと思っていた。



以上が連れ子だった私から見た夫の姓に統一されたことにより芽生えたものである。

そして、私の意見としては選択的夫婦別姓は賛成である。もちろんレアケースであるがこういう弊害もあるため子供に余計な負担を与えないためにあるべきと思う。

選択的夫婦別姓があれば大きく人生は変わっていたかもしれないと。


おわり。

#エッセイ #選択的夫婦別姓 #夫婦別姓 #連れ子 #離婚


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