珈琲の大霊師256
俺は、あまり知られてないが、旅の記録をつけている。
といっても、簡単なものだ。
1日一行くらいの時もある。
今日、死者の国なんて物騒な名前の国に入った。
最初の村、ヘラは実にのどかな田舎といった風景だ。これの、どこが死者の国なのか分からない。
ただ、カルディだけは宿屋に来てしばらくしてから、何か違和感を感じたらしかった。
「ここの地面には、他の場所より沢山の魂がある気が、します」
とのこと。なんだそりゃ?
俺には精霊がいないから、その辺りは分からない。
モカナの珈琲は相変わらず美味い。
が、時々思い出す。
一番最初に飲んだ、モナカの故郷から持ってきた珈琲の味。
あれからいくつもの珈琲を飲んだが、あの最初の感動に勝る珈琲は、やはり出会えていない気がする。
もし、モカナの故郷についたら、あの珈琲がまた飲めるのだろうか?
期待している。
近所のガキ共がわざわざ野菜を持って来た。
人参、キャベツ、レタス、キュウリどれも艶があって、タダで貰っていいような物とは思えなかった。
金を払おうとしたら、「いいよいいよ~」とか言って受け取らねえ。
その代わりに、目の前で食ってくれとせがまれたから、キュウリを齧ったが、めちゃくちゃ美味かった。
コリッコリで、中身が熟れ過ぎる寸前のジューシーなキュウリだった。
他の野菜も、これまで食った事のないような美味さで、今まで食ってた野菜が腐ってたのかと思うような代物だった。
あんまり美味いんで、モカナに食わせてやったが、口の中に入れたまま泣き出す始末だ。
美味い物食うと、泣くんだよなぁコイツ。
しかし、死者の国アナンザが農産物を特産にしてるなんて話は聞いたことがないな。
こんなに美味いなら、絶対に他国で高く売れるだろうにな。
・・・いっその事、俺たちがやってみるのも手か?
鮮度的に考えても、ガクシュまでは問題なくいけるだろ。
珈琲を広めがてら、当たってみるか。
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