見出し画像

珈琲の大霊師255

――――――――――――――――――――

第32章


    山脈道中記

――――――――――――――――――――

 全世界を私のテリトリーにしたいリルケだよ。

 またジョージさん達と旅ができるようになって嬉しいな~。皆私の事見えるから、お話できるしね。

 死者の国アナンザの国境近い村、ヘラに到着すると、野で遊んでいた子供達がわいわいと馬車に寄ってきた。元気でいいなー。

「こんにちはー」

「いらっしゃーい!お兄さん達いつまでいるの?」

「野菜食べる?お宿に持ってくよ」

「おおー!黒い肌!おねーさんかっけえー!!」

 と口々に好きな事を言ってる。村を見渡すと、随分と子供が多い印象。都会には見えないけど、子供は多いんだね。村って娯楽が少ないから、早く結婚しちゃうとかそういうのかな?私は、結局結婚できなかったけど!

 永遠の独り身女、リルケさんです。

「ここは、ヘラって村で合ってるか?宿があるなら場所を教えてくれると助かるなぁ」

「うん、こっちこっち」

 わーっと子供達が馬車の前を駆け出した。この馬さん達は頭が良くて気性が荒くないからいいけど、危ないなー。大人は注意したりしないのかなぁ。

 暫く進むと、宿のおかみさんらしい人が、子供達に何かあげてた。あれ、なんだろ?

「いらっしゃい。ガクシュからのお客さんだね?いい部屋はもう埋まっててね、普通の部屋でよければ空いてるんだけど、それでもいいかい?」

「ああ、野宿に比べりゃ天国さ。よくガクシュから来たって分かるな?」

「顔を見れば分かるさ。この道は、二つの小さな村と、ガクシュにしか通じてないからね。身なりの良いお客さんは、漏れなくガクシュからってわけさ。馬車は裏手に停める場所があるから、置いてきてくんな」

「はいよ。お前らは先に降りてろ」

「はーい」

 と、言うが早いかモカナちゃんが荷台から飛び降りて、すぐに後ろを向く。

 ルビーちゃんが、カルディさんの手を取って荷台の後ろに進んでる所だった。

「はい、ここですよ」

 モカナちゃんがカルディさんの手を取ると、カルディさんは何の迷いもなくパッと跳んで着地した。

 あれ、何度見ても不思議なんだけど、目が見えないのにどうしてあんなに綺麗に着地できるんだろう?

 謎である。

只今、応援したい人を気軽に応援できる流れを作る為の第一段階としてセルフプロモーション中。詳しくはこちらを一読下さい。 http://ch.nicovideo.jp/shaberuP/blomaga/ar1692144 理念に賛同して頂ける皆さま、応援よろしくお願いします!