珈琲の大霊師258
ルビーさ!ジョージの気まぐれにも困ったもんさ。
「お前は王族なんだから、もっと文書に慣れた方がいいぞ。って事でお前も旅日記書け」
って、日記帳を押し付けられたさ!
う~、めんどくさいさ。こういう細かいの書くの苦手さね。あたいが持つ一番軽いものは、ナイフで十分さ。
でも、確かにいずれ親父も引退するって考えたら、やらなきゃいけないって事はあたいも分かってるさ。
仕方ない。仕方ないさ~。あたま痛いけど仕方ないっさ~~~。
今日は、ジョージについてヘラの家を回ってみた。このヘラの村は、家と家の間が結構開いてて、一つ一つの家についてる畑は日当たりが良く作られてるさ。
住む場所を密集させるツェツェとは大違いさ。
1つ目の家は、村の真ん中にある大きな道から果樹園を三つくらい越えた先にあったさ。
やっぱり、畑の周りは木も植えてない。畑はお日様受けて、生き生きしてるさ。
家に住んでたのは、年寄りの夫婦に、大人の夫婦に、ガキが二人。
畑の世話をしてたのはガキ二人の方で、大人達はガキ共ができなそうな力仕事は手伝うけど、他はあまり手出ししないようにしてるように見えたさ。
にしても、この村の畑の土やばいさ。ツェツェでも畑はやってるけど、雑草だらけだし、こんなにふっかふかじゃないさ。どんなやり方すればこんなになるんさ?
少し掘り返すと、小さい虫やらミミズやらがたっくさんで、うじゃうじゃしすぎてて気持ち悪かったさ。
でも、野菜は土1つついてなくて、みんなぴっかぴかで美味そうだったのさ。
いや、ホント美味いさ。ちょっと微妙に悔しいけど、美味すぎるさ。
でも、その美味さを作るために、毎朝早くから仕事をしてるって考えるとツェツェの連中には無理だとも思うのさ。
「サラクは本当に砂ばっかりの国だったぜ?そこを、星を頼りに進むんだ。何せ一面の砂だからな。目印になるもんがない。星の動きを読んで進むと、オアシスに辿り着く。その水の美味さったらねえ。いやな?実際にはこの村の水には敵わないぜ?そんだけ有難いって話な。オアシスについたら、しばらく動かないで、水のありがたみを噛みしめながら、ちびちびと、星を肴に酒を飲む。つまみはラクダの乳チーズだ。もろもろっともろいんで、濡れた布に入れて持ち歩くんだぜ?」
ジョージは世間話しながら、だんだん旅の話になっていくさ。
しばらく話してると、いつの間にか家族が集まってきてて、いつの間にか酒が出てきて、いつの間にか野菜も出てきて、野菜を食ってたらなんか家族が嬉しそうにし始めて。
ジョージは大げさなくらい褒めるし、そしたら家族は大喜びで、最後には野菜を土産に持たせてくれたのさ。
で、その野菜を宿で料理にしてもらって、また美味い美味いいいながら食うさ。
食ってばっかで、腹が突き出てきたんだけど。オイ。ジョージ、明日ひっぱたいてやるさ。
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