見出し画像

国連職員おすすめのSDGs学習方法

1.はじめに

今回はSDGsと学習というテーマを考えてみたいと思います。このテーマの理由は、こちらのイベント「SDGsのプロと教育者が考えるSDGsの実践/学習方法」に参加する機会に恵まれ、知っているようでよくわからないSDGsの学習方法について、僕なりにお話しさせていただこうと思います。このイベントは夏休み期間中の開催ということなので、小学生で夏休みの宿題に困っている児童の皆さんへのヒントや、SDGsを授業に取り入れている小学生の先生方にへのイベントとなっております。

2.国連職員おすすめのSDGs学習方法

国連職員として地球丸ごと一個で仕事していると、SDGsのその威力を感じます。それは、SDGsとは今を生きる私たちにとって、新たな世界共通言語と世界共通アクションなんです。言語、文化、習慣、宗教などが異なったとしても、このSDGsを通すことで、世界中のみんなが同じ問題に対して同じ理解を持ち一緒に行動することができます。世界中の様々な問題の解決方法として求めているSDGs、その共通言語と共通アクションを普段の生活で実践することが、未来の地球を作るのです。未来の地球の姿は私たちの手の中にあります。学びの実践、それがSDGsです。

むかしむかし、ある所で私は小学生でした。その時は、あらゆることを学んでいく詰め込み方式でした。いわゆるドリル方式、文字や数字を呪文のごとく暗記し、暗記力が高い生徒が成績が良い、と言うのが現状。どれほど、ドラえもんのアンキパンが欲しかったか、今でも覚えています。机に向かう、文字や数値を暗記する、とても勉強がつらかったという小中学生の思い出があります。SDGsは17のゴールがあって、169個のターゲットがある。それはほにゃららほなやら、と言うドリル方式で絶対に学習しないでください。覚えるかもしれませんが、実践としては何も使えないので。

基本的な知識には机での勉強が必要ですが、今生きていくために必要なのは
その知識を自分なりに理解して、自分の言葉の知識に変えて、それを実践し、自分自身で学びを深めていく事です。その自分の知識と実践で、社会を良い方向にしていく、それがSDGsです。受験社会においては、記憶力と基礎知識は必要です。記憶力が高い人は、受験社会には勝てるでしょう。でも、卓上で覚えた知識は、社会、特に地球規模で考えた社会では全く通用しません。

ここで一つ質問。SDGsの本当の目的は何ですか?その本当の目的とは、人間社会が自然が再び完全に共存すること、つまり人間社会と自然が完全に一致し、全ての人が自然のように格差が全くない心豊かな生活を送るようにすること、ではないでしょうか?

現在の小学校や中学校では、総合や社会科の一部としてSDGsを学んでいると思います。でもSDGsの本当の目的を考えると、SDGsは総合や社会科の一部ではなくて、小中学校で学ぶ国語、算数、理科、社会、その他全ての教科は、SDGsの中の一部である、という発想の転換が必要です。ドリル形式で各教科を学ばないといけませんが、その学びが結果として地球規模の様々な問題解決に結びついているとしたら、普段の授業の見方が変わるでしょう。

それを実感するには、授業以外の時間や校外学習、各家庭での普段の時間で、学校で習ったことと世の中のSDGsがどう関係してくるのかを見つけることが重要となります。それには、一つでもよいので自分で気になるSDGsを見つけて、それを自分の身の回りに当てはめて、何が問題なのか、何が解決方法なのかを考えてみよう!

例えば、国連職員でごみを担当している私にとって一番気になるSDGsは、12番の「つくる責任使う責任」、その中でもターゲット12.4と12.5のごみを減らして地球環境を守ろうです。世界でもトップクラスのごみ管理をしている日本でもまだまだごみ問題はあります。それはポイ捨て問題。

街中歩くと必ず見かけるポイ捨てごみ。これを夏休みの自由研究として見ませんか?その名も、「ちょっとざんねんな、ぼくのまち、ポイ捨てごみ問題」。こんな感じです。街を歩くとポイ捨てごみが必ずあるので、それを写真に撮って地図上に置いてみる。それを基に色々と考えてみると新たな発見があります。

  • どうしてポイ捨するのだろうか?

  • どうして大人は自分の家の中はきれいなはずなのに、外ではポイ捨てするのだろうか?

  • どうみてもポイ捨てはかっこ悪いのに、どうしてポイ捨てするのか?

  • どうしたら解決できるのだろうか?警察に捕まえてもらう。大人にもちゃんと勉強してもらう。ごみを出さない暮らしをする。

このように考えた瞬間、皆さんの頭の中はSDGs脳になり、それを実践することがSDGsアクション、社会科や道徳の課外活動となります。

そのSDGs脳とアクションを、自分の街、隣の町、自分が住んでいる都道府県、日本、そして世界に向けていくと、それがまさしく、私が国連職員として日々仕事している内容と同じになります。

SDGsを実践すると世界を知ることができる。目線を地球まるごと一個にすることができる。今の小中学校の学習には必要ではないでしょうか?学校で学んだ知識で世の中を見てみる、学んだ知識が自分事になる瞬間です。「知る事」がどんなに素晴らしいか実感する、それが今の社会を聞きていくために必要な経験です。

一生懸命勉強することはもちろん重要です。それ以上に重要なことは普段の生活に役立つSDGsアクションをすることです。

3.子どもたちへの期待

イベントの後半はパネルディスカッションでした。各パネリストへの質問で盛り上がりつつも、今日のイベントの本質を突く質問もいくつかありました。その中で、僕がいただいた質問と僕の考えを以下に書きます。

  • SDGs達成においてこども達に期待することは?→SDGsがど真ん中に来る社会を作ってほしい。新しい時代を作るには、その新しい時代の主人公となる若者が自分自身でそのステージを作り上げて行かなければならない。SDGsに基づく新たな価値観が生まれつつあるところ。それを実践しながら、一歩一歩社会を変えていってほしい。究極的にはSDGsが社会の中に完全に溶け込んで、SDGsがもはや語られない社会が来ることを願う。

  • 世界的に若者がSDGsに果たしている役割/期待されること→色々感じることがありますが、新しい自分たちの社会を作りたい、自分たちがより心豊かな生活を送れるような社会を作っていきたい、と言う気持ちがあることを認識しています。この思いは、どの世代の若者も持ってきましたが、今までは自分たちの欲望をかなえる社会を目指した思い、つまり自己的欲求を達成させるための思いが強かったと思います。でも、今の若者は、自己低欲求達成の思いもありますが、利他的な感情も含め、心豊かな社会を自分たちの手で作っていきたいと考えている方が多いのではないかと感じます。

  • 世界のこども/若者は、SDGsを推進のために具体的に動いている事例→NGOやサークル、地域のコミュニティを通して様々なレベルでの活動が行われていると思います。例えば、小学校の社会科見学では、今までの単純な現地見学会ではなく、SDGs見学。見学自体は同じかもしれませんが、この企業やこの現場が商品やサービスを届けながら、どのような社会的課題を解決しているのか、ということが実感できることを学ぶ事例もあります。また、途上国では、SDGs活動をビジネスとしている例もあります。UNEP本部のあるケニア・ナイロビのケースですが、20代の若者がプラスチックごみのリサイクルビジネスを立ち上げ、プラスチックごみから再生資源素材を製造・販売しています。

  • 特にゴミ問題を解決する上で、こども達に特に期待することは何か→普段の何気ないそのアクションが、実は世界的な問題解決につながっています。先ほどのポイ捨てごみマップはその一例です。家ではごみ分別を徹底してするけど、街中にはたくさんポイ捨てごみが落ちています。それはなぜか、どうすればよいか、と言うのを自分自身で考えてみてアイデアを出してみてください。そのアイデアと言うのは、途上国のごみ問題にも役立つかもしれません。

  • ゴミ問題についても社会を動かすようなアクションに繋げる方法はありますでしょうか?→ごみと言うのは、地球の貴重な資源を人間が好き勝手に使い、それを富に変換して、いらなくなったのを捨てる、という人間の欲望の結果です。年間地球3個分の天然資源を使っている私たち人間、地球資源を掘りすぎています。人間の欲望の果てのごみは次世代の資源です。人間社会から出てくるごみを全てリサイクルとして、資源をぐるぐる回す社会を構築しなければなりません。それに向けて一人一人の日々の努力が必要です。余計なものは買わない、長く使えるものを修理しながら使う、生活から無駄を省く、これを私たち一人ひとり、日本人1億2000万人、そして地球上全ての80億人の人たちが毎日することが一番のアクションです。

4.おわりに
2050年、今の小中学生の皆さんが社会を率いている頃です。その頃は、誰もがSDGs目指している時代ってあったね、今は世の中すべてが持続可能な社会で、全ての人が豊かに暮らしている、と言えるようになっていると願うところです。でも、それには、今の大人たちの更なる努力も重要なので、世代を超えた絆で持続可能な社会を構築していかなければなりません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?