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【読書記録】どうやら私もいい人だったらしい。|『いい人すぎるよ図鑑』

「30分待ちらしいです」と教えてくれる最後尾の人

『いい人すぎるよ図鑑』表紙

 SNSで話題になっていた『いい人すぎるよ展』。行ってみたいと思った頃には、時すでに遅し。

 東京会場は2023/12/4に終わっており、ギリ大阪から行けそうな愛知会場も2024/1/14に終わっていました。大阪会場は無し、悲しい。ちなみに東京会場のくだりで予測変換の第一候補が東京海上だったことは言うまでもありません。

 SNSで『いい人すぎるよ展』のレビューが流れてくるたび、どの展示にも心惹かれるものがあって気になっていました。やっていることは究極の"あるあるネタ"で、しかも"いい人"というお題はかなり広いものではあるものの、大喜利の巧みさと、展示ならではの情景描写によって素敵な企画へと昇華している展示。

 でもそうか、見に行けなさそうだなと諦めていたところ、たまたま入った書店で『いい人すぎるよ図鑑』を発見。とはいえ展示のキリトリというか、まとめられているだけなんだろうな~と思いながら手に取ってみると、案外本のおもしろさが出ています。やっぱり展示を見たかったという気持ちを拭いきることはできないけれど、それでも「いい人探し」や「いい人すぎるよクイズ」、たくさんの「コラム」などのコンテンツがあったり、絶妙に「わかる…」というラインを刺してくるキャプションなど、読むだけでも楽しめる要素が満載でした。

 (余談ですが、本書のキャプションを担当されている真子千絵美さんは『Forbes JAPAN 30 Under 30』も受賞している新進気鋭のクリエイターだそうです。リアルな場面の切り取り方や、何気ない語彙のチョイスが素敵。)

 読み進めていると、「いい人標本」のコーナー("いい人"を実際の人間が演じている写真)に差し掛かったところでなぜか既視感が。

 あ、そうだ。地味ハロウィン!

 「そう来たか~」という、日常の何気なさすぎてわざわざ言語化しない部分にスポットライトを当てているところに、似たイズムを感じます。

 話は変わりますが、昨今のハロウィンはネガティブな印象が持たれがちです。梨泰院の痛ましい事故や渋ハロの大騒動。2023年には渋谷区から「もう来るな!」と出禁のような声明まで。ハロウィンを楽しんできた身としては、このハロウィンの現状がものすごく寂しい。

 そうだ、毎年10月31日のハロウィンの日に、地味ハロウィンのように「いい人すぎるよハロウィン」の仮装をして集まってみたらどうだろう。

 『いい人すぎるよ図鑑』を読んでいると、自分が日ごろたくさんのいい人を見逃していることに気づきます(これには自分自身も含む)。いい行為をしたりされたりがあたりまえになっている場面もあれば、嬉しいけど恥ずかしくて気持ちを伝えられない場面もありました。

 しょぼくれているハロウィンが、そんな忘れがちな感謝を伝えるというイベントに生まれ変われば、またみんなで楽しくハロウィンできる日が来るかもしれない。年に1回、見逃してしまった"いい人"に再会して、自分自身も"いい人"になって(正確には"いい人"であることを再認識して)、お互いに「そう来たか~」と言い合う1日。

 と、後半なぜかハロウィンの話がメインになってしまいました。

 最後に、私が最近出会ったいい人たちを紹介して終わります。

  • 12時に会議を入れる時、「お昼時にすみません」とメールに添える上司
    (12時~13時は会議を入れないようにするけど、どうしてもの時は)

  • 握手会で、ライブの感想と応援の言葉で時間を使い切ってしまうファン(本当はウインクとかしてほしいけど、溢れる想いが止まらない)

  • ラーメン屋で、「伸びちゃう前に食べて~」という人
    (他の飲食店だと待つかもしれないけど、ラーメンは即食いが正解)

  • おみくじで凶を引いた友達に「今より下はないってことだよ!」という人
    (項目ごとの中身を見て、なんとかいいところを探そうとしてくれる)

  • 芸能人のことをSNSで投稿する時に、「○○さん」とさん付けで呼ぶ人
    (特にお笑い芸人さんは呼び捨てにされがちな気がする)



追記(2/29):なんと、『いい人すぎるよ美術館+切ないすぎるよ博物館』が大阪でも開催されるそうです!4ヶ月ほど先のことですが、今からワクワクしています。



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