19:君じゃない人と結婚式を挙げるからその時は1番可愛いわたしを撮ってね

きみと結婚したかった。泣きながらベッドの中でそう告げると、きみは目を丸くして結婚したくないんじゃなかったのなんて。わたしがずっと前に話したことを覚えていてくれたことが嬉しいとともに面倒な女に変わってしまったと思われたか不安になる。こんなことを言ったらもう傍にいてくれないかもって、でももう自分の気持ちに嘘なんてつけなくて、どうにかしてわたしという世界の中に留めておきたかった。会わない間になにをしているのか知らないの。こんなに長いあいだ一緒にいるのにきみのこと、なにもわからないの。きみの世界はいつだって極彩色で複雑に絡みあっていて頭の悪いわたしにはついていけない。背伸びをしてきみの真似して本を読んでみたり珈琲を飲んでみたりしてみたけど同じ世界は見られなかった。きみのくれる言葉だけがわたしにとってきみを信じる全てで、だから辛かった。きみの隣でなら一番可愛いわたしでいられると思ったの。きみの可愛いねを信じたかった。

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