西国街道15 広島宿→宮浜
本格的に街道を歩きはじめて3年目、夏は歩く時間がまとまって取れるので、ぐいぐいと街道を進む事が出来ます。1年目は中山道、2年目は北国街道・三国街道、3年目に選んだ道は西国街道。
真夏の京都から下関まで約570km、猛暑との共存も年々コツを得てきましたが、身体と会話しながら西を目指します。
2023.08.28
1.胡子神社
水辺の活用は、素晴らしさと水害リスク諸刃の剣。それでも挑戦する官民一体となった意気込みに尊敬します。
歓楽街の中をすすみます。
くねくねしており、どの道が正しいのかよくわかりませんが、往時も賑やかな街であったと思われます。
胡子神社。
商売繁盛の神様、想像より小さくて驚きました。
今歩いている付近の道が複雑で、西国街道を歩いているのか自信を失いかけていた時に、このマンホールを見るとホットします。
突然脇道の奥に、回転展望レストランが見えました。
今は回転しないレストランになっており、その後コワーキングスペースなどを経て、今は営業していない様子です。
高い建物がなかった頃は、瀬戸内海が一望できたのかもしれませんね。
広島アンデルセン。
物凄く立派な佇まいのビル、周囲を圧倒してました。全国展開しているアンデルセンは、広島が発祥だったのですね。残念ながら開店前。
アーケードを抜けて、平和記念公園に向かいます。
2.平和記念公園
船で宮島まで行けるのですね。
私が殿様なら駕籠ではなく船を選ぶと思います。往時の西国街道、船で参勤交代した大名がどのくらいいたのか気になります。
原爆ドームの建物が、広島県物産陳列館だったとは知りませんでした。被爆前は緑色のドームだったそうです。
平和記念公園。
別世界の様な空気が、公園全体に張り詰めています。
広島では”記念”を使い、沖縄や長崎では”祈念”を使う、どちらも平和を祈る気持ちには変わりありません。日本語は奥深いですね。
エディオンピースウイング広島。
2024年春より使用開始する、サッカーJ1サンフレッチェ広島の新本拠地となるスタジアム。市の中心部にスタジアムがあると、ファンが行きやすいので、良い効果が生まれそうです。
府中焼き。
広島県府中市のご当地お好み焼き。
広島風お好み焼きとの違いは、肉がミンチでもやしは入れず、ぎゅうぎゅうに押さえて焼く。広島県内には他にも、様々広島風お好み焼があるのでしょうね。
広島市は見事な扇状地、太田川のデルタ地帯に中心地があります。
西国街道は5本の太田川支流を経て、最後に放水路を渡り、市街地に別れを告げます。
3.己斐(こい)
只今の時刻は08:11。
今日は平日なので通勤通学の人たちで、西広島駅付近は大賑わい。
開放的な大屋根の、広電の西広島駅はカッコ良いですね。
この付近の地名は、己斐(こい)と呼ばれます。いい響きなので西広島駅にするのはもったいないですが時代の流れですね。
己斐の名の由来は、第14代仲哀天皇の皇后・神功皇后がこの地に立ち寄った際に、鯉を献上されたのがきっかけなど、諸説あります。
別れの茶屋。
草津港に行く道と西国街道の分れ目におる店。往時は茶屋で賑わい、代々続いてきている店。
いらっしゃいオーラが出ていて、気付いたら店内に入っていました。食べる場所のあてが無いのに、勢いで朝食のパンを購入、食べる場所を探しながら歩きます。
別れの茶屋のサンドウィッチ。
セブンイレブンでコーヒーと牛乳を購入し、駐車場でおいしく頂きました。
4.草津
鷺森神社。
拝殿が舞台の様になってます。
何と呼ぶのでしょうか、舞台拝殿?
ゆっくりお参りできそうですね。
小泉本店。
江戸時代から、厳島神社造酒所として、御神酒を造っている酒蔵。風格がありました。
日本には草津が3つあります。
群馬県の草津町と、滋賀県の草津市。この2カ所は有名ですが、広島の草津は地元の人でないと知らないかもしれません。
日本三大草津ですね・・・・。
幸福稲荷。
いい名前ですね。元々は火災に悩んだ村民が建立したそうです。
鏝絵(こてえ)。
江戸末期から昭和初期にかけて、左官屋さんが施主さんにお礼と家の幸せを願い、壁などに造った絵。草津の街に何ヶ所かあると先ほどの説明看板に記されてましたので、そのひとつだと思われます。
ベンガラ塗の建物が目立ち始めました。
滋賀県内の東海道や中山道を歩いていると、よく目にしました。これから増えて行くのか楽しみです。
塩釜神社。
宮城県塩釜市にある鹽竈神社を思い出しました。東北鎮護・陸奥国一之宮で、実際に塩釜が置かれていたのが印象的。
一度仙台から松尾芭蕉の足跡を追って、歩いた時の記録がありますのでご紹介します。
5.五日市
この付近は広島市佐伯区。
合併前の名称は五日市町で、人口9万人を超え人口日本一の町でした。
よく各地に日付のつく地域がありますが、その由来は、数字のつく日に、市が開かれていたからです。
西国街道を歩き始めていくつかの”定線観測”をしてます。
郵便局
ENEOS
公民館
コカコーラ自販機
ベーカリー
和菓子店
洋菓子店
バス停留所
広島県に入りお好み焼屋さんを観測し始めましたが、今日が圧倒的に多く感じます。広島県内の走行距離をお好み焼屋さんの件数で割ったデータを、歩き終えたら出してみようか検討中。
参考迄に、佐屋街道・東海道・姫街道を歩いた際に、愛知県の喫茶店を”定線観測”したところ合計44件、1.9kmに1件の割合で喫茶店がありました。
常連さんしか入らない喫茶店に突撃した日の記録はこちらです↓
常連さんしかいない喫茶店は、常連さんしかいない寿司屋カウンターと同じくらい緊張しました。
コイン通り。
何となく想像が付く様になってきました。調べたら予想通り、造幣局があるからです。
面白いのが金持稲荷や金持タクシーなど、地域活性化のネタとしているところ。いっそのことコインではなく、札束通りに改名してみたらと思いますが、キャッシュレスが当たり前になると、いつの日かコイン通りも貝塚並の文化財的な扱いを受けるかもしれませんね。
楽々園。
楽園よりも上を言ってます。
地名の由来は、1972年に閉園してしまいましたが、広島電鉄の全身の広島瓦斯電軌が、"電車で楽々行ける遊園地"として開園した楽々園遊園地。今も名前だけが残ってます。
6.廿日市宿
瀬戸内海が近づいて来ました。
宮島の玄関口である宮島口まであと少し。西国街道は沿岸よりも少し内陸を通るため宮島口は通らないのですが、宮島に行きたいので廿日市宿の中心を抜けた先から街道とお別れします。
この付近から西国街道から左の瀬戸内海寄りに逸れて宮島を目指します。
往時の旅人たちも私みたいに寄り道をしていたので、道筋に遺構があるかもしれません。
お昼を頂いた店、カープ愛が凄かったです。
カープ戦全試合完全生放送、カープが勝った翌日はドリンク何杯でもオール100円引き、カープのユニフォームが店内あちこちに飾ってあり、試合の時はどんな感じなのか、店長を観察したくなりました。
豪華寝台列車"瑞風(みずかぜ)"。
突然現れて焦りました…
かっこいいですね〜
数十万円から百万円超えまで、富裕層の要望に応えてます。
7.宮島
この先道が線路と私有地に挟まれで、行き止まりになってしまったので、ハシゴで海岸線に降りて、防波堤の淵を歩きます。
先程広島方面に向かって行った瑞風が、戻って来ました。
宮島口駅でお客様を降ろした後に回送し、再び戻って来たのでしょうね。
宮島まで10分180円、あっという間です。
観光地の社寺仏閣で、放し飼いの鹿がいるのは、奈良公園だけではなかったのですね。
復路は宮島松大汽船。
寄り道してたら17時近くになってしまい、少し焦ってきました。
牡蠣小屋 島田水産。
とにかくロケーションと雰囲気が抜群。
水揚げ体験や食べ放題1時間2,300円など、1日楽しめそうです。
宮島に寄り道する為に、西国街道から離れて歩いていると、早く街道に会いたくなってきます。
あと少しで西国街道に戻れると言い聞かせながら、まるで待ち人に会うような気分で歩いている自分が不思議でした。
8.宮浜温泉
離れていた西国街道と再会できました。
やはり街道の道幅や建物が醸し出す雰囲気、何もかもが落ち着きます。
只今の時刻18:52。
撮影しているiPhoneの性能が良すぎて、画像が明るく見えますが、実際は結構暗くなってます。
暗くなって焦ってくるのですが、振り向いた時の宮島からの月の出が幻想的。月の明かりがあるのと、月に見護られている気がして不思議と心が落ち着きました。
上の画像の坂道、1991年に西国街道の石畳が発掘され、保存のために上から舗装したと、説明看板に書かれていました。
誰も気づかない様な小さな坂道に、物語があり、それを大切に保存して、後世に伝えてます。
世界遺産の中国兵馬俑も、人々の石造の一部を公開し、他は保存の為に土に埋めていると聞きました。同じ事をしてますね。
考古学の底力を感じました。
宮浜温泉。
1964年に広島県が、観光地開発で分譲した温泉街。入浴した旅館の壁に分乗した頃の新聞記事が飾られていました。
昭和に開発された全国各地の温泉街も、同じような政策なのでしょうね。
暗くなってしまいましたが、宿に到着。
旅の相棒である靴と出会って、1年経ってませんが、歩き過ぎたのか履き方が悪いのか、穴が空いてきました。
紐は脱着時に毎回結び直し、夜は靴底を外して換気など、丁寧に履いているつもりですが、1,000km以上歩くとこうなりますよね。
相棒には感謝しかありません。
元々廿日市市は、木工ろくろ技術と木工玩具の生産地で、考案者がこの地を訪れ生産を依頼したのが始まり。
最初は、剣と球しかなく、今ある様なお皿は無かったそうです。剣と玉、けん玉の名の由来が理解出来ました。
夕飯は部屋食。
宮島口を出てから、立ち寄る酒屋・コンビニに各駅停車して、広島産の日本酒ワンカップをひとつひとつ買い続けたら、こんなことに…
"あなごめし"と広島の日本酒の相性抜群、気付いたら食べたまま机に突っ伏してました。
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