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Web戦略はノイズ除去から始めよう

Web広報を担当していると「アクセス増強」が努力目標や至上命題になります。
まあ、アクセス数は減るより増えた方がいいので、そりゃそうだよね、という心持ちではあります。

僕自身が立ち上げ以来5年間専任してるオウンドメディアは、開始初月の13万PVを初年度で10倍にし、それ以降右肩上がりで現在は月平均250万PVあたりまで、ゆるゆると成長しています。

黒字化こそしていないものの、どのみち経費のかかるWeb広報ツールとしては優等生かなと思います。
出費とは言え、CMS(管理画面のようなもの)はメーカー製の汎用モデルをカスタマイズした程度で、ベースはさほどかかっていません。

あとはパートナースタッフによる日々の運用やセキュリティなどのコスト、外部ライターへの原稿料程度の明朗会計です。
特別な処理が必要な企画ページは、僕自身が拙いながらもソースを書くため、イレギュラーな出費もありません。

あと、これは自社メディアの特徴ですが、記事をRSSで他の提携ニュースメディアに送っていて、さらにアクセスの7割以上が提携先経由なので、本サイトの細かなデザインにさほど神経を注いでいないことも大きいかもしれません。

アプリ製作やらツイッター活用を勧めてくる業者に何度も会ってたので、メディア立ち上げ後にも周囲からいろんなノイズが入るだろうことも想定していました。
例えば…

  • SEO対策をきっちりやらないとダメ(分析ツール買え)

  • 動画コンテンツとの連動をきっちりやらないとダメ(映像チーム派遣するから動画を作れ)

  • 日々のユーザー分析で記事の方向性をハンドリングしないとダメ(分析代行を委託しろ)

全部シカトです。あったりめぇだろ。

まずSEO対策は「やるだけムダ」と考えていました。
SEO対策とは、簡単に言えば「記事にバズるワードを散りばめとけ」というヤツで、検索エンジンで上位に入るから、自ずとアクセスが増えるという理屈です。

メディアを立ち上げた2017年の時点で、検索はSNSで済ますユーザーが増えていました。

さらにSEO屋さんの指示通りワードだけ散りばめるポンコツが増えてしまったのですが、一方でGoogleではコンテンツとのマッチング精度を高めるべく、年に1000回を超えるチューニングをしています。 

つまり、単語だけブッ込んだところで、検索結果が良くなるどころか、どんどん下位に引きずり込まれるので、まるで意味なしの介なんです。

そんなことに神経を注ぐより、ひとつの事象について細かな説明や描写を追記して、他の媒体との差別化を図り、記事の精度を高める方がよほどSEOに効果があるんです。

ふたつ目の動画コンテンツについては、我々はラジオ番組を作ってるのだから、正直どうでもよろしいです。

ラジオ好きのためにYouTube動画に資源を投入して収益化を目指したところで、少ないスタッフを振り回して疲弊させるだけで、たいした収入も得られず、明るい未来が見えてこないんですよね。

3つ目はまったく逆で、自社コンテンツを押し出した先にビューア分析があることをわからない人がやりがちです。

例えば20代女性が足りないからと「女性ウケを狙おう」とコンテンツを推敲したところで、本来のマーケットを中途半端に失って終わるんです。

実例として、70代男性がパーソナリティを務める番組で放送した、いかにもな健康ネタを記事化したところ、登録者の平均年齢が40代のニュースメディアで何十万PVという結果を残しました。
特に文体を工夫することなく、番組で紹介したとおりに病気の原因や治療法を淡々と書いたまでです。

この結果を基に、健康関連のCMはもっと若い層が聴く番組でも売れるのでは、と営業の視点を変えたり、パーソナリティは高齢者でも、内容によってはアラフォーに刺さる、というPRに向けるのが、正しい分析ツールの使い方だと思うんですよね。

それと本来の商品(自分の場合はラジオ)があって、オウンドメディアはその販売促進に使うんですから、その販促ツールを商品ターゲットと違う層へチューニングしちゃうのは本末転倒です。

テクニックというほどではないですが、アクセス増を目的にただひとつだけしていることを書いておくと、記事タイトルにパーソナリティ名を入れたり、番組画像を使わない、ということがあります。
(アイドル番組などのように、特定のクラスタしか読まないものは別ですが)

これは当初制作スタッフからも「なぜ?」と聞かれたんですが、そのパーソナリティのファンだけ集めたいわけじゃなく、話している話題の方でノンリスナーを集めたいわけです。
ファンを集めたいなら、記事とは別にブログをしっかり書けってハナシです。

わりと制作陣はパーソナリティを神輿に担ぐことに重きを置くんですが、ノンリスナーを相手にしている場合、パーソナリティの名前と顔写真を見ただけで「興味なし」「芸人ネタか」と去ってしまう人の方が多いのです。

それよりも普遍的な話題で記事を読んでもらい、その上で「ラジオでこんなハナシしてるんだ」と興味を持ってもらった方が得策だと思うわけです。
最近は、もうそのあたりは理解してもらえたようですけどね。

要はメディアを立ち上げる時、行き当たりばったりにならないよう、それなりのビジョンが必要だよ、というハナシです。
適当に始めれば、適当にカネを使い、適当に閉店するものです。外圧に屈しないよう、関係各位、ヘソの下に力を入れて頑張りましょう。

そういやSEO屋さんや分析屋さんもよほどヒマなのか、地方都市の企業サイトに”サブドメイン貸し”なんて、馬鹿丸出しビジネスを薦めて小金を稼いでいるようです。

そんなことやってたら、Googleから「質の低いドメイン」扱いされて、二度と検索結果にのぼらなくなるんで、まあ心当たりのある方は縁切りを薦めます。

あーおそがいおそがい。

ラジオ局勤務の赤味噌原理主義者。シンセ 、テルミン 、特撮フィギュアなど、先入観たっぷりのバカ丸出しレビューを投下してます。