サクラタウンに行ってきた
東所沢にある「サクラタウン」という場所へ行ってきた。
去年オープンして「すぐに行ったら混んでるよなぁ」と行かなくて、「春になったら行ってみよう」と思って行かなくて。結構躊躇してたんだけど、結局「行かなかったら色々後悔するよな」となったので、行ってきたw
僕が購入したのは「スタンダード」という事前チケットだ。今だと、妖怪大戦争の展示なんかも合わせた、全ての展示を見れるチケットもあったんだけど、別に妖怪はいいかな、ということで基本のやつにした。
何よりも見たかったのは「本棚劇場」というやつだ。これが最高だった。
案内されて4階までエレベーターで上がる。扉が開くと、目の前には「エディットタウン」という商店街みたいな感じで、通路の両脇にジャンルごとに厳選された本が並んでいる。チケットを確認するお姉さんがいるんだけど、もう中に入りたくて仕方がない。
「うおお…」
思わず声が漏れる。まだ何も手にとっていない。どんな本があるかわからないのに、なぜかワクワクする。膨大な数の「知」が両手を広げて待ってくれていたような、迎え入れてくれたような気持ちになる。
ゆっくり、ゆっくり本を眺めながら奥に進んでいくと、突き当たりが「本棚劇場」になっている。お客さんは皆、スマホを上に向けて、思い思いに記念撮影をしている。もちろん僕も。ちゃんとした写真を撮ろうと思って、カメラも持っていったんだけど、自分が持っているレンズの広角具合では、全くiPhoneのレンズには敵わなかった。iPhone最強だ。
本棚には、角川の作品を中心に面白そうな本がたくさん並んでいた。見れるのは、自分の手が届く範囲だけなので、上段の方にどんな作品が並んでいるのかは分からない。しかし圧倒的な数の本に囲まれた空間というのは、それだけで「あと100年は生きて、ここにあるもの読み尽くしたい」と思える。
到底ムリだけど。
同じチケットで俵万智さんの個展にも入ることができた。短歌というものは正直5・7・5・7・7だっけ?くらいのことしか理解していなかった自分を恥じた。ここも最高だったのだ。短い文章の中に込められた背景とか意味とか。そこには書かれていない「想像する」という部分をものすごく刺激された。
コロナのこと、東日本大震災のこと、人生のこと。
そうだよな、と思うことがあったり。そうなんだ、と思うことがあったり。さまざまだ。
でも恋とか、愛について詠まれているものは、あまり心に刺さらなかった。きっとその部分は今、僕の心がお休みしているからだろうと思う。目を背けて、心の中に入ってこないようにしていただけかもしれない。
カップルが「見て見てー」なんてやってるそばで「恋とか愛なんて。ケッ」なんて、上から目線な態度で会場を後にした。でもこっそり決めていた。今度、俵万智さんの本、買おう。
荒俣宏さんの展示は、ちょっと自分には重くてすぐに出てきてしまった(ごめんなさい)
他の階に「マンガ・ラノベ図書館」というのがあって、そこも行きたかったんだけど、すでに見てきた場所でお腹いっぱいだったので、ダ・ヴィンチストアに寄って帰ることにした。
この本屋さんも面白くて困った。ちょうど「ダ・ヴィンチ」の発売日だったので、レジに向かうと、コースターと紙袋をくれた。紙袋はオリジナルデザインのやつで、なんか得をした気分になった。
帰りの車の中で、本というのはなんか不思議な存在だと思った。物語、人生、恋、愛、黒い部分まで、なんか人間の全てみたいな。そして創造性の塊だ。うまくは言えないんだけど。
ひとつひとつの単語や言葉をつなぎ合わせてでき上がる、という手法は一緒なのに、人間は本を手に取ると、感動したり、ホッとしたり、怒ったりもする。
物語という部分では映画にも似ているのかもしれない。でも映画と違うのは、自分で物語を進めないといけない点だ。ページをめくり、自分の手で進める必要がある。もちろん、止まることもできる。
本棚に並んだ自分が読んできた本を見ると、自分の人格や人間性と比べてしまう。自分はこの本棚の中にある物語の主人公になり得ているだろうか?この本棚にふさわしい人間になれているだろうか?
そんなことを考える必要なんてないのだけど、どうしても考える。それは自分という人間をまだ完全に受け入れることができていない証拠でもあると思っている。だからもっと自分を知りたいが為に、読書をするのだ。まだ知らない自分がこの先にいると、どこかで信じているのだ。
まだまだ自分はこんなもんじゃない。いや、でもここまで自分は頑張ったと思うし、もういいか。
そんな「なりたい自分と、これまでの自分」が、いつまでも頭の中で拳をぶつけ合っている。
それは「今日はチョコレートをもう一欠片だけ」というようなせめぎ合いとは、ちょっと違う。
人間が無意識に本に求めるものって「自分がなりたいもの」「全く違う刺激」「世の中の知識」のどれかだと思っている。もちろん「面白そうだから」というのもある。でも、もっと深く突き詰めたとき、根底にあるのは、このどれかなんじゃないかって。
そんな人間の奥底に眠っている欲望とか、感覚みたいなものをちゃんと呼び起こしてくれるのが、このミュージアムなんじゃないかと思った。
なんか頭の回路がちゃんと動き出した気がする。
ありがとうございました。また行きたいな。
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