「アウトサイダー」のビハインドシーン

ビハインドシーンとは、いわゆるメイキング(映像)のことで、この記事はというと、そんなふうにして「アウトサイダー」という楽曲のメイキングエピソードを語る回である。

というわけで、先日のライブで新曲「アウトサイダー」を初めて演奏して、その日の夜に歌詞をアップしたわけですが。
「Not My Day」「Lucky」とメロディが良くてポップスな曲を打ち出した後の00'sっぽいオルタナサウンドだったので、突然いかついサウンドの曲が来てビックリさせたかもしれません。「B.O.M.B.E.R.」と並んで、いったん何もかも吹き飛ばしたい時に聴きたい曲ができました。

実は、「サイダー」のデモを作った後くらいには原型がありました。2020年の年末くらいでしょうか。
「サイダー」と同じく、ギターをジャカジャカする感じのフレーズで始まるから、最初は「サイダー2(ツー)」という仮タイトルで置いてあって、結局ライブに向けて作り込んでいく段でもその流れを引きずってるので、「アウト"サイダー"」なんつう曲名になったりしてます。

そういうわけで、原型を作ってから3年強ほど経ってようやくできた曲なんですけど、実際今回の形になってきたのはここ1年くらいで、それまでの2年間はリフしかないような状態でした。
たまに、PC上で録音用のソフトを立ち上げて、元から作ってある(プリセットの)ギター用の音色をいろいろ試しながら、"音色に合わせたフレーズ"を作るっていう遊びをやるんですけど、プリセットの中に極端に歪んだ音があって、それで一発目に弾いたのがあのリフです。
初めて自分で弾いたとき…つまりは初めて自分もリフを聴いたときですが、なんかもう、シビれましたね。自分でいうのもアレですけど。笑
あのリフ、ギター覚えたてでも弾けるようなフレーズですけど、そんなレベルのフレーズでも聴いた瞬間にシビれる感じが出せた!っていう手応えがあると、個人的にはすごく嬉しいです。難しくしようと思えば多分いくらでもできるんですけど、難しくしすぎてライブでミスってばっかりだとダサいんで、それなら簡単なリフで衝撃を与えたいという。でも簡単でかつ衝撃的なリフってあんまり出てこないんで。

この辺でお気づきかと思いますが、もうこの曲リフがすべてであとの部分はオマケなんです。そんな感じなので、ほんとにリフの部分だけ作ってあって、そのあとどうやって膨らまそうかな〜てかこの曲ベリバさん的に合うんかな〜みたいな感じで、思い悩んで気づいたら2年ほど経ってました。

とりあえずリフが最高に良いから、曲として完成はさせてみようと思い立って、とりあえずメロディ、歌詞、コード進行(伴奏の部分)のうちどれかを進めてみたらあとがついてくるかな?とまずPCで歌以外の部分を作り込んでいったら、なかなかどうしてリフ押しのいい感じの構成ができました。

ほな次はメロディですねと。
自分の場合、メロディと歌詞はほとんど同時か、メロディがちょっと早いくらいのタイミングで浮かんできます。もっと具体的に言うと、メロディが出てきたらそのメロディに近いイントネーションの言葉が同時に話されてる感じで出ます。コード進行ができたらいつもそれを待ってみるんですけど、今回の曲はサビで「イエー」って言うとこだけ降りてきてて、あとはまったくメロディも歌詞も出てこない感じでした。イエーて。
逆に先に歌詞を書いてみたら、言葉のイントネーションみたいなところからメロディが生まれたりしないかしら?と思って、移動とか待ち合わせの合間とかに歌のないデモを聴きながらメモ帳とにらめっこしてましたが、やっぱり出ない。正確に言うと歌詞というか、この曲で歌いたいこととはみたいな説明文的なものは出るんですけど、それを短い歌やメロの中で端的に表現できる言葉に直らないというか。うーん難航してきたなと

そんな感じでいつの間にか転職までして2023年の半ばごろ。
その頃から、「いわゆる"洋楽っぽさ"とは何か?」みたいなのを考えていました。
自分はいわゆるJポップとかザ邦ロックみたいな曲はよく作れるけど、洋楽オルタナみたいな雰囲気の曲も何個か作ってみたいんよな〜みたいな。
今も色んな要素を試してるところですが、そのときとりあえず思ってたのが「まず洋楽で使われる言語=英語ってリズム重視の言語なので、日本語を並べるにしても比較的アクセントがハッキリしてるなど音韻的な部分を意識して言葉を選んでみるのはどうか?」ということです。つまり、歌詞の意味が入ってこなくても、音楽に乗っててカッコよかったらええやろくらいの姿勢で言葉を探していきました。
具体的にはb, g, k, p, tみたいな発音した瞬間の音が強い感じの文字を含む言葉を探していくんですね。あるんすよ日本語にもそういうの。「ひっつくパンツかくっつくパンツかはっつくパンツかむかつくパンツか」ってそれっぽく言うとドラムビートに聞こえるみたいな。今回だと「結局」とか「貧乏」とかですかね。
で、メロディも歌い切らない感じ。どっちかというと言葉を発しているだけ、言い捨てているみたいな感じに近い。まあ日本語として成立させることも意識してバランス取ると、全部が全部というわけにはいかないんですが、なんとかそういう言葉を並べてみて、「アウトサイダー」という曲名に沿った日本語に直していきます。

ここまででかなり作詞作曲する側のディープな話になってしいました。
作詞する上では、最近は一応言いたいことというか、イメージを用意しています。それが伝わるようで伝わらない、伝わって欲しいようでそうでもないみたいなラインで言葉を並べることで、聞いた人の人生に当てはめてもらう余白ができるし、想像の余地を保ちながら自分は言いたいこと発してWin-Winになるようになってます。

答え合わせ、あるいは聞いた人の想像力を縛ることになりそうなので、あんまり歌詞としては自分がこうイメージしました!こういう歌であります!みたいなのを書いちゃうのは良くないかと思いますが、ひとつだけ言うとしたら、この曲は社会生活を送る上で閉じ込めがちな感情を全て声に出して、まあ音楽って全部そうなんですけど、自分の中から負の感情を追い出してもらうためにあると思うので、もうなんか全部一旦消したいみたいな気持ちになったら聴きに来てください。

そんなこんなで新しい曲がセトリに組み込まれ始めました。
またライブ見に来てください!!!俺たちはたとえしんどくてもやめません!!


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