「My Song 16」のビハインドシーン

この間のライブで新曲「My Song 16」をやりました。

これは曲を作ってから、タイトルができて、歌詞ができました。
GarageBandのアプリで曲作りのファイルを作ると、「My Song XX(数字)」という名前がつくんですけど、今回のデモが「My Song 16」というファイル名になって、その言葉が頭の中で何かとつながって、そのまま曲のタイトルにしたら面白いかも?と思ったのが出発点です。


歌詞の話の前に曲の話をします。
「Lucky」のときも書いたかもしれませんが、ここ最近はずっと洋楽的な雰囲気のある音楽を作りたいと思っていて、iPhoneのGarageBandアプリで録音を試している時にできた曲です。PCで録るより手軽な部分と面倒な部分があるのでたまにしかやりませんが。
洋楽っぽい音とは?コード進行?メロディ?日本人的な普通からいくと外れ値になりそうな部分がある??そんな感じの試行錯誤の結果、「コード進行が変化しない曲」という要素で曲を作っていくことにしました。
それと、最近はシューゲイザー寄りのオルタナティブロックのバンドがライブハウスシーンで台頭してきている気がしていて(自分の好みが時代に迎え入れられ始めたと信じたいだけかもしれない)、とにかく厚くて重いギターの壁、エモめのコード進行、脱力的なボーカル、深いリバーブ、ちょっとチープなリードフレーズ、というイメージを組み込んで作っていきました。
実際のところGarageBandでは音色のバリエーションに限界があるので、ギターとドラムで大まかな構成を作った後は結局PCでLogic Pro Xにデータを移してデモに落とし込んでいます。

以下は参考にしていたバンドのMVです。
shitakuchü - Your Gaze
kurayamisaka - farewell
Dinosaur Jr. - Freak Scene
Blur - Song2
The Maine - Taxi

ゴールデンウィークにOTODAMAに行って、そこで観たアーティストの影響もあってこういう雰囲気の曲ができたなという感じです。


歌詞は、先に書いたように録音ファイルの名前をタイトルに置いて、「My Song 16」という言葉それ自体を大きなテーマとして書くことにしました。
「マイソングシックスティーン」、つまり16歳の歌を書けばいいのかな。自分の16歳でも思い出してみるかな。そんなスタートだった気がします。そして存外、スルッと書き切れたと思います。

自分は誕生日が4月の上旬なので、XX歳頃の記憶となると、そのときの学年そのものの記憶ということになります。16歳は高校1年生ですね。
その頃はすでに自分の中で音楽、とりわけギターとバンドが自分の中の半分以上になっていて、深夜のアニメで見た『BECK』みたいにバンド組むぞ!と息巻いているところもありました。とはいえプロになりたいというよりは、バンド活動そのものに憧れがあった、という感じです。

ただ高校生活が始まって1年目は、その後一生の友達となる人たちに出会ったこと以外は、あんまり面白いものではなかったかなと思います。
高校生でバンド組むといえば軽音楽部だけど、まず学校に軽音楽部がなかったので、誰がギター弾けるとかバンドに興味あるかということを知りようがなかったことがまず1つ。結局、活動がゆるめの放送部に入ったけど、クラスメイトと仲良くなるための昼休みという時間を放送室で一人で過ごす時間にしてしまったのが1つ。さらに小遣い制でなくなったので空いてる日はアルバイトをしていて、みんなが部活とか予備校で顔を合わせてそういう話をするような友達になっていく時間もスーパーでレジを打ったりしていて、周りにいるのがパートのおばさんとかしかいなかったのが1つ。
振り返ってみると、「バンドを組みたい」という気持ちはあるのに、バンド仲間を作ろうとする行動を何一つやっていないんですよね。あまのじゃくすぎる。。
その後文化祭の準備とかで無事にクラスメイトと話す仲にはなっていくのですが、バンドが好きだって話は結局あんまりできずじまいで、別の高校に行った音楽好きの友達と会って話したり、バイト代で初めてエレキギター買ったり、放送部の部費でTSUTAYAのレンタルCDを棚の端から借りまくって聴いたり、そういう方向で音楽への熱量を保っていました。

加えて、高校生になったことで行動半径も広くなったし、経済的な自由度も高くなって、簡単に言えば見えている世界が多少広がったのは良いんですけど、それによって世間一般に対する自分の外れ値的な部分も嫌でも目につくようになるんですよね。
「バイトしてえらいね」と言われても、悪い気はしないけど、普通の家の子って高校生になったからバイトして自分の小遣いぐらい稼ぐぞ〜ってならないんだ、単にウチが金ないだけか笑、ということを思っていました。
一種のカルチャーショックみたいなものにあてられて、でもどう直して良いかもよく分からなくて、ちぐはぐな精神ができあがってしまうというか。これは多かれ少なかれすべての16歳が通ることかとは思います。

自分の場合は、16歳がただでさえそういう時期なのに加えて、自分がやりたいことに対して反対方向の行動ばっかりだったから、自己肯定感はずっと低いままで、せめて「普通」「世間一般」に乗っかれたらいいのにそれも分からない、という悩みがあったなと思います。


……とまあ自分語りが長くなりましたが、とにかく16歳の頃は、自分自身を取り巻く環境とか、それに合わせて取っていたつもりの行動とかが、結局自分の気持ちと離れっぱなしだったんだなと思います。音楽を聴いて、ギターを弾いて、たまに歌って、それで自分を見失わないようにだけしていましたが、そこには16歳の自分にとって大きな孤独と虚しさがあった気がしています。

そういう寄る辺なさを描き出そうとする時ほど歌詞も曲もよく書けるんですけど。笑
その時は今も音楽を聴いてギターを弾いて歌を(作ってまで)歌っているとは夢にも思ってなかったし、正直な話、こうやって歌を書くまでそういう気持ちは忘れていたんですけど、遠回りながらも今みなさんに聴いてもらえる音楽の形にできたことで、16歳の自分がずっと持っていた閉塞感に、1つの回答を示してあげられたのかなと思います。

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