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スガハラで働く#03|若手職人、本音の座談会

こんにちは。Sghr / スガハラ公式note『スガハラで働く』、今回の記事では、若手職人3名による座談会の様子をお届けします。お題はずばり、「スガハラで働くことについて」。できるだけ本音を聞かせてくださいね!とお願いしました。それでは、どうぞ〜

ハンドメイドガラスのSghr / スガハラの公式note『スガハラで働く』
暮らしを彩る、暮らしに寄り添うガラス製品を、熟練した職人たちの手によって一つ一つ大切に作っています。すべての製品が生まれる工房は、千葉県の九十九里にあります。海風が心地よく、自然豊かな場所です。noteでは『スガハラで働く』と題して、おもにスガハラで働く人やことを紹介していきます。

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荻江あかり|入社6年目。女子美術大学芸術学部 デザイン工芸学科工芸専攻ガラスコースを卒業後、新卒採用で入社。自身がデザインした製品に『lumi(ルミ)』がある。妊娠出産にともなう1年間の休職を経て、職人として復帰。

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多部田雄一|入社6年目。日本大学生産工学部 創生デザイン学科を卒業後、ガラス制作未経験で入社。自身がデザインした製品に『竹グラス』がある。スガハラの職人のなかで一番身長が高い。

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出口望未|入社4年目。富山ガラス造形研究所 造形科と研究科を2年ずつ経て入社。自身がデザインしたグラスに『nozomi(ノゾミ)』がある。最近、観葉植物にハマりはじめる。

 「地元にこんなものづくりの会社があるんだ!」

Q:では、お昼休みの時間を少しいただいて座談会をしてみたいと思います。どうぞよろしくお願いします。まず、それぞれの入社のきっかけなど教えてもらえますか?

荻江さん(以下、荻江):わたしは、大学ではじめてガラスをやって、それがすごく面白かったので、卒業してからもガラスを仕事にしたいなぁと思っていました。それで、スガハラを選んだという形ですね。実はスガハラでなくても良かったんですが、ガラスをやっているところで、かつ会社としてちゃんとしてて、知名度があってというのはあまりなかったので。

多部田さん(以下、多部田):ガラスにもともと興味はなかったんです。それである時、姉にここのカフェ(Sghr cafe)に連れてきてもらって、僕はこのあたりが地元なんですけど、地元にこんなものづくりの会社があるんだ!という驚きがあって、そこから調べて、面白そうだなあと思って応募しました。

出口さん(以下、出口):わたしは高校を卒業して、専門学校でガラスを勉強しました。もともとものづくりが好きで、小さい頃に旅行先でガラス細工をしているおじさんとかを見て、漠然とした憧れがありました。それで、専門学校を卒業するタイミングで仕事にできたらいいなと思い、会社としてちゃんとしてるし、ちゃんとお給料をもらえそうだしと思って、スガハラに応募しました。

Q:逆にちゃんとしてないところが多いものなんですか?

荻江:一概には言えないと思いますけど、やっぱり個人の作家さんが多いと思うので、そういうところは食べていけるほどお金を貰えるわけではないので。学生の時ですけど、1日お手伝いして500円とかありましたから...(笑)

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「先輩たちがいっぱい声をかけてくれた」


Q:実際に働いてみて、良かったところ、それと悪かったところを教えてもらえますか?

荻江:良かった点は、ガラスができる環境が整っているところで、休み時間や休日にも制作していいし。あとは、私が妊娠してた頃は、職人として働くのがほんとにしんどかったので、他の部署で受け入れてもらえて、ガラス職人じゃない仕事もあるので、そのあたりの融通が効くところが良いところ。とにかく、スガハラは人が良いと思います。体調が悪ければ無理しなくても良かったり、子どもに熱があれば途中で帰れるように、みんなが配慮してくれたり。気軽に休めるというのは語弊がありますが、休んでもそれを埋めてくれる人がいて、会社がまわるというのにはやっぱり安心感があります。きついところは、夏がシンプルにしんどいです。暑くて体力がもたないので、夏はもうちょっと製造時間を短くしてもらいたいなと。

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多部田:新製品の懐が深いところですかね。提案して、それが良ければ採用してくれる可能性があります。普通の会社であれば、売れるかどうかのプレゼンが必要だと思うのですが、単純にデザインに魅力があれば製品として出してもらえる可能性があるところですね。ちゃんとやる気さえあれば、がっつり採用してくれるところがあります。

荻江:それに関して言うと、私が『lumi(ルミ)』をデザインしたときは最初、全然やる気なかったんですよ(笑)一回なんとなく作ってみたんですが、提案したらあんまりよくないということで、もういいやって放置してたんです。そうしたらその後、逆に社長からあれどうにかならないの?と言われて。じゃあやろうかなと。すると先輩たちがいっぱい声かけてくれて、ああしたらこうしたらと色々助けてくれて、それで形になったんですよね。

多部田:そういう風に、まわりが手伝ってくれる雰囲気というのがあるんですよね。根本としてガラスが好き、ものづくりが好きな人が集まっているので。

Q:多部田さん、悪かったところ、きついところはありますか?ある意味で、単純作業が続くと思うのですが、そこはどうです?

多部田:確かに一見、単純作業ではあるんですけど、実は毎回技術が求められるので集中は続きますね。ただまぁ確かに、一日中同じことをやるのはきつい部分はありますね。

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Q:出口さんはどうですか?

出口:さっき荻江さんも言ってましたけど、体調が悪かったりしたら、休むことが罪じゃないというか。そういうところは、ありがたいなって思います。あと、職人の世界って、見て盗めみたいなのがありますよね。やりたかったらやれば、みたいな。入社する前にはそんな想像をしていたのですが、実際は塚本さんとか何十年もやっている大先輩から声をかけてくれるし、良い意味でイメージと違いました。それをけっこうびびっていたので、それが一番ほっとした点ですかね。女性が多いというのも、会社紹介のビデオで見てたんですが、実際入ってみて違かったら困るなーと思っていたのですが、ほんとにそうだったので良かったです。

Q:あたらしく入ってくる職人は女性の方が多いと聞いたとき、最初おどろきました。きつい点はどうですか?

出口:きつい点は、私も夏ですかね。それと、やっぱり同じことの繰り返しでなまけてしまうことがあります。でもそこで自分をどれだけ保てるかが、自分との戦いだなと思っています。

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Q:ところでみなさん、趣味ってあるんですか?休日の過ごし方とかどうしてます?

出口:最近、観葉植物をはじめました。なので、休日は観葉植物を見に行ったり、買いに行ったり。ほんとに最近ですけど(笑)でも基本はゆっくりしていますね。映画とかが好きなので、DVDで見たり。あんまりアクティブなほうではないかもしれません。

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多部田:趣味は、ゲームですかね。あとは漫画読んだり。あんまり知らないと思うのですが、『ヴィンランド・サガ』とかを読んでます。

荻江:あたしは子どもがいるので、子どもの世話をしつつ平日は働いて、休日はだいたい死んでます(笑)それと今マイホームを計画しているので、その打ち合わせとかをしたりしてますかね。

「あまり気を負わずに続けていく」

Q:みなさん5年後とか10年後とかも職人を続けているとして、その時に達成したいことというか、未来の自分像などはありますか?

荻江:いやまぁのらりくらり(笑)ガラス職人が続けられたら良いなと。それこそ前は、伝統工芸士になりたい!とかあったんです。完璧を求めがちだったんですが、子ども産んでからは、なるようにしかならないと思っていて。もちろん高みを目指せる人は目指せば良いとは思うんですが、そういう感じだと私は疲れてしまうことがわかって。だから、逆にそういう人たちを支えるボジションで、人並みに働けた方が良いなーと。

多部田:僕は野望、があるんですけど。自分がデザインしたガラスをずっと作っていって、それでお給料をもらえるようになりたいなと。『竹グラス』以降は、自分がデザインしたものを出せてなくて。あれを出させてもらってから、いろいろ考えることがあって、デザインしなくても良いんじゃないかと悩んだこともあったんですが、今は自分にしかできないことあるかなと思ってて。

荻江:私は自分にしかできないことはないと思ってる...(笑)

出口:私は熱しやすく冷めやすいタイプなので、それこそ観葉植物も来月には飽きたってなっているかも(笑)でも、それにもかかわらず専門学校から数えると、8年もガラスを続けていて、なので、自分ができる範囲でやり続けたらいいかなと思っています。そう言って、若干自分に保険をかけている部分もあるんですが、あまり気を負わずに続けていけたらいいなと思っています。

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座談会を終えて、三者三様ですが等身大な話を聞けたなぁと感じました。みなさんガラスが好きで、それを仕事にしている喜びはありつつも、だからといって気負いすぎない姿勢。職人としてのあるべき姿を目指すというよりも、自分に合った役割を見つけていき、良い仕事をしたいという冷静な意欲。同じく若手職人の伊藤さんを取材した際に言っていた「ぼちぼちな状態」をキープすることに、近い感覚なのかもしれません。社会も個人も、そして企業や商品も持続可能であることが重要視される時代において、それはとても自然な姿勢なのかもしれませんね。荻江さん、多部田さん、出口さん、ありがとうございました!

それぞれがデザインした製品は、ホームページに掲載がありますので、興味の湧いた方はぜひ見てみてください。


荻江さんデザインの『lumi(ルミ)』のインタビュー動画

出口さんデザインの『nozomi(ノゾミ)』のインタビュー動画



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