世界中の投資家について知りたいです

A:世界中に無数の投資家がいると思うのですが、どの地域が多いのですか。

T:それはもう圧倒的に米国だよ。世界最大の運用会社はBlackRock。次にVanguard。3位はFidelity、4位はState Street。いずれも米国勢。これ以外にも大きなところはたくさんあるよ。

A:やっぱり米国なのですね。次はどこですか。

T:英国。英国がEUから離脱したことに伴い、地盤沈下してきているけれど、それでもまだまだ英国。中でもロンドンには多数の資産運用会社が集まっているし、その受託資金も多い。例えば、オイルマネーを実際に運用しているのは英国勢であったりする。

A:オイルマネーの資金ですか。次に中国はどうですか。

T:中国はちょっと特殊な国。何しろ、外国投資に制限があるし、これまで外資100%の資産運用会社は認められてこなかった。中国本土の資産運用会社の存在感はほとんどない。香港には多数のヘッジ・ファンドなどは集まっているけれど、その全体像はよくわからない。単独でそこまで大きな資産運用会社はいないのではないかと思うよ。

A:豪州はどうですか。

T:豪州は日本にとって実は非常に大事な国。だから豪州投資家へのIR活動を考える企業は少なくない。けれど、アクティブ運用の観点からはそれほどめぼしいところはいない。もちろん、業種や企業によっては相性が良いところはある。それでも、いかんせん資金規模が小さい。

A:豪州にはいくつか大きなスーパー・アニュエーション(豪州が誇る強制加入の私的年金)がありますよね。そうしたところはどうですか。

T:豪州にはAustralian Super、HOSTPLUS、Aware Super、UniSuper、Telstra Superなどの有名なSuperannuationがある。確かにこれらの運用資金残高は小さくない。ただ、外国株式への投資、そして何よりアクティブ運用という点では、ほとんど存在感がないと言える。

A:豪州は日本にとってLNGや石炭など、資源・エネルギー分野において極めて重要な国ですし、日米同盟に準ずる同盟国ですねよ。個人的には豪州の投資家を開拓したいなと思っていたのですが。

T:豪州で巨大なビジネス、権益を有する日本企業はいろいろとある。そうした企業でも株主に占める豪州勢は限定的であることが多いよ。

A:総合商社や石油開発企業などですか。

T:豪州は資源大国だからね。その点では、自国の資源・エネルギー企業に投資すればいいのかもね。少なくとも日本企業との接触は多くない。

A:そうなると優先度が高い地域ではなさそうですね。

T:SWFを含めて、世界にはお金が溢れていて、数兆円から数十兆円規模の運用会社はあまたある。ただ、日本企業のIRにおいて大事なことは資産運用残高の大きさではないよ。アクティブ運用の残高であり、もっと大事なのは日本企業への投資金額。IR担当者は常にこの視点でみてほしい。

A:そうすることで、無数にある世界の投資家が絞られていくのですね。

T:日本企業にとって重視すべき大手の資産運用会社はそれほど多いわけではない。そして、これらの大手運用会社もパッシブ運用におされてアクティブ運用では苦戦し、資金が流出しているという実態もある。

A:今度、米国勢(Fidelity、Capital、T. Rowe Price、Wellington、MFSなど)について教えてください。それぞれがどのくらいの規模で、どんな特徴を持っているのか知りたいです。

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