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ゲームブック 変身くん

Sゲームブッカー

小学5年生の頃に描いた漫画をゲームブック化したもの。22パラグラフ。ホラー&SF、やや残酷な描写あり。選択肢は少なく、文章やや多めなので小説感覚で読めます。

※選択肢を選ぶ際は目次の数字をクリックしてください。


【1】

 ある住宅街に残酷な絵を描くことが好きな中学1年の少年が住んでいた。その少年の名はたけし。日曜日の今日も朝から勉強机に向かい、斧を片手に持った残忍な大男の絵を描いていた、学校の授業でいつも使っている鉛筆で。そのことは先生も含めて、クラスの誰もが想像すらしていなかった。

 たけしは大男が殺めた正体不明の生き物から飛び散る血しぶきを入念に描きながら薄っすらと笑みを浮かべる。なぜかたけしは、どんな残酷な絵を描いているときでも、血しぶきを描いている瞬間が一番楽しいと感じていた。

 たけしは絵が完成したところで散歩に出かけることにした、明日描くための残酷な絵の良い題材を見つけられることを期待して。

 家を出て、当てもなく道を歩いていた。すると、一つ目でたらこ唇の間から黒い牙が一本飛び出した犬のような謎の生き物が歩いているのを見かける。

「何だ?」

謎の生き物に近づく 2へ

 急いで家に逃げ帰る 3へ

【2】

 好奇心旺盛なたけしは、なでてみようと生き物の頭に手をのばす。謎の生き物は匂いを嗅ぐようにたけしの手に顔を近づける。その拍子に黒い牙の先が左手の中指に「チクリ」と刺さる。 

「痛いよー!」

 異様な激痛に襲われた瞬間、この謎の生き物が住宅街で誰かを襲うイメージが浮かんできた。

「痛いよー!」

 たけしの目から涙が溢れ、耐えがたい激痛に気を失うように前のめりに倒れると、四つん這いになったたけしに何やら変化が現れ始める! 耳が上へ「びょびょっ」とロバのように伸びる。

「うわー!」

 たけしはさらなる激痛に涙を垂れ流す。ズボンを突き破って尾てい骨の辺りからロバのような尻尾が生え、両手足は象のような見た目に変化!

「ガー」

 たけしは獣のような唸り声を上げ、それと同時に着ていたセーターとズボンをビリビリと破って熊のような手むくじゃらの獣に変身する!

「ウガーー!」

 鼻もテングザルのように長く伸びて、たけしは完全に獣と化してしまった……!

「ガルル」

 「パカッパカッ」と足音を響かせて駆け出す。

 前方にお巡りさんが歩いているのに気づき、立ち止まって犬のように威嚇する。

「ウーウ」

 もはや少年だったときの記憶を失ってしまったらしい。お巡りさんはただならぬ気配とその唸り声に振り向く。

「うわー!」

 目の前に迫る獣化したたけしを見て、冷や汗を流しながら近くの交番に逃げ込もうとしたが、職業柄か、踏みとどまって腰に下げていた鉄砲の銃口を震える両手でたけしに向ける。

「動くな!」

鉄砲を奪い取ろうとする 5へ

 動かない 4へ

【3】

 たけしは生き物の奇怪な見た目に恐れをなして、後ろを振り返りつつ走って家に逃げ帰る。謎の生き物は追いかけてくる様子もなく、無事に帰り着く。

 階段を上がって部屋に戻ろうとするたけしの後ろ姿を母親が見かける。

「もう帰ったの? いつもなら1時間は帰ってこないのに」

 それにたけしは笑顔で答える。

「絵の良い題材を見つけたんだ」

 たけしは部屋に戻ると、さっそく勉強机に向かう。椅子に座り、いつもの鉛筆を手に取ると、さっき出会った一つ目でたらこ唇の間から黒い牙が一本飛び出した犬のような謎の生き物の絵を描き始めた。

16へ

【4】

 たけしは動かない。

「ウー」

「バーーン!」 

 しかし、たけしは犬のような唸り声を上げてしまい、それに反応したお巡りさんが鉄砲を発砲した!

6へ

【5】

「ウー」

 たけしは犬のような唸り声を上げながら、自分へ向けられた鉄砲に手を伸ばす。

「バーーン!」 

 身の危険を感じたお巡りさんは鉄砲を発砲した!

6へ

【6】

 たけしの左肩の辺りに銃弾による穴が開き、そこから「シュー」と煙が出ている。だが、たけしは平然としている。

「怪物だ!」

 まさにその通りだった。

 お巡りさんは鉄砲を投げ捨て、慌てて交番に逃げ込む。すかさず電話の受話器を持ち、冷や汗を滝のように流しながらどこかに電話している。

「怪物が現れました! 鉄砲では退治できないので大砲を持ってきてください! わかりましたか!?」

「ガルル」

 その瞬間、たけしは電話中で無防備になっているお巡りさんに飛びかかり、鋭い牙で喉笛に噛み付く!

「うわー!」

 お巡りさんは断末魔の叫び声を上げ、鼻と口、そして喉笛から血を噴き出させ、両手足を伸ばした状態で仰向けに倒れ、目を見開いて絶命する……。

 たけしは思わず交番の入り口にできた血溜まりに歩み寄り、入念に血を舐める。それから「サッサッサッ」と交番から素早く立ち去る。

「いたぞ」

 30分後、軍服姿の長身の男が移動式の大砲を「ガガガッ」と引きながら現れ、誰が見ても怪物だとわかるたけしが住宅街をさまよっているのを見かける。男は先手必勝とたけしが振り向く間も与えず大砲を撃つ!

「ズドーーーーン!」

 大地を震わせるかのような轟音にたけしは振り向くが、大砲の砲弾は鉄砲の弾丸が効かなかった頑丈なたけしの体を貫通する!

「ぐあーー!」

 たけしは人間に戻ったかのような悲鳴を上げ、仰向けに倒れる。男はそれを見届けると、また大砲を「ガガガッ」と引いて去っていく。

「ドカーーーーン!」

 砲弾が電柱に当たって大爆発、それによる煙が晴れたとき、そこには人間の体に戻ったたけしの姿があった! 腹部には砲弾が貫通した大穴が痛々しく残っている。こうして日曜日の惨劇は終わりを告げた。

7へ

【7】

 一時はそうだった。大爆発による轟音に導かれたのか、一部始終を見ていたのか、どこからか現れた謎の円盤が横たわるたけしの真上の上空で停止し、謎の光をたけしに浴びせる。

「ピーーーー」

 光はたけしの体を包み込み、ゆっくりと持ち上げ始める!

 やがて、たけしは銀色の機械的な円盤内部の床に横たわっていた。それを一つ目でたらこ唇の間から黒い牙が一本飛び出し、犬のような耳を生やした異星人らしき2人の謎の生き物が意味不明な言葉で会話しながら覗き込んでいる。

 二人はたけしを診察台らしき台の上にうつ伏せに寝かせる。その台の横には補助台があり、何やらさまざまな物が入った銀色の箱が置いてある。

 右側の生き物が尾てい骨の辺りに毛のない尻尾を生やさせ、2人でたけしの体を仰向けにする。左側の生き物が砲弾が貫通した腹部の穴を粘土のような物で塞いでいる間に右側の生き物が頭髪を包丁のようなナイフですべて剃る。

 次に左側の生き物が大きな目玉を顔の真ん中に「ベチョッ」と埋め込むと、唇がたらこ唇に変化! 右側の生き物が頭頂部に犬のような2つの耳をくっつけ、最後に2人で意味不明な言葉を発しながら口の中に黒い牙を一本差し込む。それらはすべて銀色の箱から取り出していた。

 たけしは黒い牙を差し込まれた直後、命を吹き込まれたかのようにむくりと上体を起こす。診察台から下りると、たけしは二人の生き物そっくりになっていた! 両手を上げて「ガーー」と雄叫びを上げる。

二人に襲いかかる 8へ

 襲いかからない 9へ

【8】

 生き返ったたけしは、自分に近い方の1人に襲いかかる。だが、新しい体はまだ上手く動かすことができず、簡単に2人に取り押さえられると、2人に黒い牙で右肩と左肩を噛まれる!

 そのとたん、何か別なものに変化したが、すぐに意識を失う。

 その後、たけしが、その体がどうなったのかを知る者はいない……

1へ戻るなら

【9】

 それはまるで生まれ変わったかのようだった。二人は意味不明な言葉でそれに応え、喜んでいるように見える。

 再び謎の光に包まれて、たけしは意味不明な言葉を発しながら住宅街に降り立つ。近くの家の塀に立てかけてあった木の棒をつかみ、スタスタと歩き始める。

 間もなく前方から本を片手に男子学生がこちらへ歩いてくるのが見える。

「ウガーー」

 さらに意味不明な言葉も発しながら、本を読みながらでまだたけしに気づいていない「獲物」に向かって駆け出す。その猛獣のような気配に気づき、本から顔を上げる。

「怪物だ!」

 男子学生は冷や汗を流しながら持っていた本を投げ捨て、引き返すように逃げ出す。たけしは逃がすまいと木の棒を縦に振り、逃げる男子学生に投げつける。

 木の棒は後ろから男子学生の頭と胴体を「ズボーッ」と分断し、血濡れの木の棒が「カランカラン」と転がる。たけしは木の棒を拾い上げると、「ブンッ」と縦に振って付着していた血を落とし、「スタスタ」と歩き出す。

10へ

【10】

 野球帽をかぶり、右手にバットを持ち、左手にグローブをはめ、その中に野球のボールを握った少年がこちらへ歩いてくるのが見える。殺人怪物に出会うとも知らずに。 

「ガーガー」

 たけしは唸り声を上げる。

「うわーっ! 怪物だ!」

 少年はたけしの姿を見て冷や汗を流す。たけしは木の棒を「ヒューー」と少年に投げつける。

「何か飛んでくる!」

 少年は「それ」をグローブでキャッチすることなく野球道具をすべて投げ捨てて逃げ出す。しかし、木の棒は後ろから少年の首に半分ほど突き刺さり、少年は血反吐を吐いて「ドタッ」と前のめりに倒れる。

 たけしは息絶えた少年に近づき、首から木の棒を「ズボッ」と引き抜くと、「ブンッ」とまた縦に振って付着していた血を落とす。その光景を星のアップリケの付いた帽子をかぶった少女が見かける。

「きゃーーっ! お化けだー!」

 その姿を見て一瞬動きを止めるたけしだったが、すぐに悲鳴に反応して条件反射的に木の棒を「ブンッ」と少女に投げつける。

「助けてー!」

 少女は背を向けて逃げ出すが、木の棒は少女の頭の上部を「グサッ」と破壊し、脳がまるまる飛び出す! 少女は血反吐を吐いて前のめりに倒れる。たけしから逃れる術はないのかと……。

11へ

【11】

 そのとき、近くの家の窓が「ガガッ」と少しだけ開き、この世の終わりのような光景を目撃していた謎の中年男の顔半分が覗く。

「なんて怪物だ。私が倒してやる」

 男はそう呟くと、窓を「トン」と閉める。

 その家の一室で白衣姿の男が作業台の上で何かの作業をしている。

「リーサンとかやぐを混ぜる」

 この中年男の正体は爆弾博士。大きなどんぶりに入った湯気の立つ謎の黒い液体を平たい棒で混ぜる。

「コラーを混ぜる」

 缶に入った黒い液体をどんぶりに注ぐ。

「メッチの粉を混ぜる」

 紙を三角に二つ折りしたものから黒い粉もふりかける。

「薬莢に入れる」

 立てた蓋の開いた大きな薬莢にどんぶりの中の混ぜていた液体を「ドボドボ」と注ぎ込み、「パカッ」と蓋を閉める。

「よし」

 別な部屋に移動して、見るからに改造してある銃の上部弾倉の蓋を開け、先ほどの薬莢を入れると、「パカッ」と蓋を閉める。

「よし!」

 爆弾博士は改造銃を片手に、玄関のドアを開けて家を出る。そして、万が一のことを考えてドアを閉める。

「怪物出てこい!」

 改造銃の銃口をたけしに向ける。突然の謎の男の登場と、得体の知れぬ銃を突きつけられ、さすがのたけしも冷や汗を流している。

「ガーー」

 それでもたけしは威嚇の唸り声を上げる。爆弾博士もたけしの姿にか、先ほどの光景を思い出してか、改造銃の銃口をたけしに向けながら冷や汗を流す。

「ズーンドーンバーンベーンガーングーン!」

 引き金を引いた次の瞬間、住宅街に今まで誰も聞いたことがないような凄まじい発射音を響かせて、黒い液体の入った弾丸がたけしに向かって一直線に飛んでいく!

弾丸を木の棒で打ち落とす 12へ

背を向けて逃げ出す 18へ

 爆弾博士に木の棒を投げつける 13へ

【12】

「バー」

 たけしは凄いスピードで迫る弾丸を木の棒で打ち落とそうとするが、その前に弾丸はたけしの胸に突き刺さった!

14へ

【13】

「バー」

 たけしは凄いスピードで迫る弾丸を気にせず、爆弾博士に木の棒を投げつけようとするが、その前に弾丸はたけしの腹に突き刺さった!

14へ

【14】

 たけしは木の棒を地面に落とし、たらこ唇からは血を流し、次第に体が「ドロッ」と溶け始める!

 その光景を見た爆弾博士は倒したと確信して背を向け、玄関のドアを開け、家の中へと戻る。

 たけしの体はさらに「ドロドロ」と溶け、目玉も落ちる。そのとき、原形をとどめないほどに溶けたたけしにどこからか転がってきた手斧がくっつく。

 爆弾博士はすべて溶けると思っていたが、黒い牙がそのまま残っていた。それを見ていたあの異星人らしき2人の操縦する円盤が上空から現れ、すっかり溶けて水溜りのようになったたけしの真上で停止し、最初とは違う色の謎の光をたけしに浴びせる。

「ピューーー」

 ムクムクとまた何かに変身するたけし。

 さらに光を浴びたたけしは、短い両腕に短い脚が横に4本並び、丸っこい体でたらこ唇の間から黒い牙が一本飛び出し、転がってきた手斧を右手に持った怪物に変身する! それを見届けた円盤はどこかへ飛び去っていく。

「ケッケケ」

 たけしは器用に手斧をくるくる回して笑う。軽快に歩き出したたけし。

15へ

【15】

 見たこともない生き物が手斧を持って歩いてくる姿を2人の少年が見かける。

「うわーっ! 変な怪物だ!」

「あいつか?」

 引き返すように逃げ出す二人。逃げる二人にたけしは手斧を投げつける。

「ぎえーー!」

「ぎえーー!」

 飛んでくる手斧を見て、まるで双子のように同じ悲鳴を上げる。手斧は後ろを走っていた少年の体を上半身と下半身に「ズボッ」と分断する! さらに手斧はブーメランのように戻る際、前を走っていたが、目をつぶって観念したように立ち止まる少年の両手首を「スパッ」と切り落とす!

「うわーうわー!」

 少年は両手首から血を噴き出し、その勢いによって後ろに倒れ、「ゴツン」と後頭部を打ち付け、頭から血を流して絶命! たけしは戻ってくる手斧をキャッチする。

 再び軽快に歩き出したたけしの前を「怪物現る!!」という見出しと、たけしによって最初に殺害されたお巡りさんの顔写真の載った新聞が風に吹かれて横切っていく。

 たけしは鎖を持って犬を散歩させるメガネをかけた青年がこちらへ歩いてくるのが見えて、条件反射的に即座に「ブンッ」と手斧を投げつける! もはやたけしは、心のない殺人マシンと化したか……。

「ウー」

「怪物か!?」

 それにまず犬が、続いて青年が反応する。

「ウーウ、ウーウ」

 勇敢にも犬は得体の知れない姿のたけしを威嚇する。

「ジョン!」

 青年は犬の名を呼びながら引き返すように逃げ出す。

「キャン!」

 手斧は「ズボッ」と犬の首をはねる。

 青年は石につまずいてしまい、地面に顔を打ちつけてメガネのレンズが「ガチャン」と割れ、目玉が飛び出て目から血が噴き出る。手斧はさらにうつ伏せに倒れている青年の頭の上部を脳ごと切り落とす!

「ケッケケ」

 たけしは返ってきた手斧をキャッチしてまた笑う。

 軽快に歩いていると、毛がふさふさの黒猫がたけしの前を横切る。

「ニャーゴ」

 たけしは何やら対抗心を燃やして、黒猫に手斧を投げつける。

「ニャーゴ!」

 手斧は「スパスパッ」と黒猫の足だけをすべて切り落とす! まるでコンピューターで制御されているかのような正確さだ!

19へ

【16】

 たけしは今日も勉強机に向かい、あの謎の生き物が住宅街で星のアップリケの付いた帽子をかぶった少女を襲う絵を描いていた。しかし、どうやって襲うかのアイデアがなかなか浮かんでこない。たけしはまた散歩に出かけることにした。襲い方の良いアイデアが浮かぶことを期待しながら。

 家を出て、当てもなく道を歩いていた。すると、また一つ目でたらこ唇の間から黒い牙が一本飛び出した犬のような謎の生き物が歩いているのを見かける。

17へ

【17】

 好奇心旺盛なたけしは、なでてみようと生き物の頭に手をのばす。謎の生き物は匂いを嗅ぐようにたけしの手に顔を近づける。その拍子に黒い牙の先が左手の中指に「チクリ」と刺さる。 

「痛いよー!」

 異様な激痛に襲われた瞬間、謎の生き物が黒い牙を少女のお腹に突き刺して襲うイメージが浮かんでくる!

「痛いよー!」

 たけしの目から涙が溢れる。耐えがたい激痛に気を失うように前のめりに倒れると、四つん這いになったたけしに何やら変化が現れ始める! 耳が上へ「びょびょっ」とロバのように伸びる。

「うわー!」

 たけしはさらなる激痛に涙を垂れ流す。ズボンを突き破って尾てい骨の辺りからロバのような尻尾が生え、両手足は象のような見た目に変化!

「ガー」

 たけしは獣のような唸り声を上げ、それと同時に着ていたセーターとズボンをビリビリと破って熊のような手むくじゃらの獣に変身する!

「ウガーー!」

 鼻もテングザルのように長く伸びて、たけしは完全に獣と化してしまった……!

「ガルル」

 「パカッパカッ」と足音を響かせて駆け出す。前方にお巡りさんが歩いているのに気づき、立ち止まって犬のように威嚇する。

「ウーウ」

 もはや少年だったときの記憶を失ってしまったらしい。お巡りさんはただならぬ気配とその唸り声に振り向く。

「うわー!」

 目の前に迫る獣化したたけしを見て、冷や汗を流しながら近くの交番に逃げ込もうとしたが、職業柄か、踏みとどまって腰に下げていた鉄砲の銃口を震える両手でたけしに向ける。

「動くな!」

鉄砲を奪い取ろうとする 5へ

 動かない 4へ

【18】

 たけしは危険を察知して背を向け、駈け出そうとする。その無意味な行為に爆弾博士はニヤリと笑みを浮かべる。

 その直後、凄いスピードで飛んでいく弾丸はたけしの無防備な背中に突き刺さる!

14へ

【19】

 ただならぬ猫の鳴き声に反応して、爆弾博士の家の窓が「ガッ」と開き、爆弾博士が顔を覗かせる。

「怪物め。まだ生きていたのか」

 爆弾博士はそう呟くと、窓を「ガッ」と閉める。

 その家の一室で大きなボタンの水色のシャツに着替えた爆弾博士が作業台の上でまた何かの作業をしている。

「ばくちくりにオルイを混ぜる」

 大きなどんぶりに入った湯気の立つ茶色い謎の液体を平たい棒で混ぜている。

「メッチを混ぜる」

 メッチ箱に入ったメッチをどんぶりに数本投入する。

「かやぐを混ぜる」

 円形の筒に入った黒い粉もふりかける。

「よし」

 爆弾博士は別の部屋に置いていた改造銃を取りに行き、どんぶりに入った茶色い液体を銃口の蓋の開いた改造銃にそのまま注ぎ込む。

「できた!」

 爆弾博士は「パカッ」と蓋を閉め、冷や汗を流しながら玄関のドアを開けて家を出る、さらに改造されたらしき銃を片手に。さしずめ大改造銃といったところだろうか。今回はドアは開けたままだった。

「出てこい怪物!」

 大改造銃の銃口を一直線にたけしの心臓の辺りに向ける。これを外せば、待っているのはこの世の終わりだ! 

手斧を投げつける 21へ

 手斧を盾のようにして身を守る 20へ

【20】

 爆弾博士のその思いに気づいたかのように、たけしもまた冷や汗を流しながら苦し紛れに手斧を盾のように前にかざす。爆弾博士は無駄な足掻きとニヤリと笑みを浮かべる。大改造銃の引き金を引き、銃口から茶色い液体を噴出させる!

「ドローンドローグ!」

 液体の上半分は斧腹に「ビチャッ」と当たり、下半分を4本の脚に浴びたたけしは断末魔の叫び声を上げる! 

「ウゲーー!」

 手斧が燃え出し、熱さからか爆弾博士に向かって投げつける。

22へ

【21】

 爆弾博士のその思いに気づいたかのように、たけしもまた冷や汗を流しながら全力で手斧を爆弾博士に向かって投げつける! 爆弾博士はすぐさま大改造銃の引き金を引き、銃口から茶色い液体を噴出させる! 

「ドローンドローグ!」

 「ビチャッ」と茶色い液体を全身に浴びたたけしは、今まで誰も聞いたことがないような断末魔の叫び声を上げる! 

「ウゲーーーー!」

22へ

【22】

 「ボーウ」とたけしの体が燃え出す。そのとき、手斧が爆弾博士の頬をかすめる。その傷口からは血が流れたが、爆弾博士は達成感に満ちた表情をしていた。

 「ボーウボーウ」とたけしの体はさらに燃え、「ボウ」と小さくなって「シューーッ」と煙だけ残して燃え尽きる。爆弾博士は燃え跡に歩み寄り、完全に煙だけになったのを確認すると、力強くひとつうなずく。満足した様子で大改造銃片手に玄関のドアを開け、家の中へと戻っていく。

 どこからともなくあの円盤が上空に現れ、住宅街の一角に着陸する。円盤から一つ目でたらこ唇の間から黒い牙が一本飛び出した、犬のような耳を生やした二人が出てくると、灰色のすすだけになったたけしを意味不明な言葉で会話しながら見下ろしている。その二人の顔は少しだけ悲しそうに見えた。

END

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