SwordkillJane story5

キリーはサイベリアからの命令を受け大型の戦車でバークレイに向かった。 連れて行くのはキャスレーとノヴァ、そしてサイクス。 

プロトタイプアンドロイド、サイクスには、試験中のエモーションエンジンが搭載され 今回のミッションで人間の感情を研究する。 

怒りや悲しみで能力に変化が現れるのは、これまでの戦闘で得たデータだ。 そのスキルはマシーンに無い。 人間にあって機械に無いもの。

 そこに、この永い戦いを終わらせるヒントがあるかもしれない。

4人のタンクガールアンドロイドは攻撃ポジションにつくと レジスタンスのアジトの攻撃ポイントを探る。 

ミッションマーカーが三角形の赤いマーキングを施し 攻略ルートを割り出す。 

サージェントキリーは日々、人間の研究を続けるサイベリアが理解できな かった。 

大型のマシーネで敵のアジトを一気に消滅させることもできるはずだ。 彼女は何をしようとしているのか。

サイベリアがコンタクトした内通者グレッツェンからコールサイン。 

アジトのパスコードを送ってきた。 

キリーは暗唱番号を入力しレジスタンスのセキュリティを内部から破壊した。 混乱状態の敵の塒(ねぐら)を一気に叩く。 

逃げ惑う女戦士達を無表情に追いつめながら、誘導してくれたグレッツェンを探す。 

「ここよ。はやく、あたしをここから出して。」

 壁にしつらえられたシュェルターのベッドの奥に、か細くちぢこまる彼女を見つけた。

キリーは上着のポケットから約束の宝石をひと掴み放り投げた。

 か細い奇麗な白い手で拾い上げるとグレッツェンは、こぼれるような笑顔を見せた。

 エモーションエンジンの搭載されたキャスレーもアンドロイドの笑顔で応えた。

 和やかな心の交流をキャスレーは覚えた。

 喜びを分かち合う、あたたかな心の機敏。

仲間を売り渡したグレッツェンは笑った。 

彼女にとって人間の価値は宝石以下だった。

 空気を汚し、街を汚し、 上辺だけの人付き合い 醜く薄っぺらなつながりをすっぱり、たち切りたかった 。

 純粋に綺麗で美しいサファイアにルビー、ダイアモンド 。 

私には、これだけあれば充分。 

さあみんなきえて。 

そんな彼女の願いも虚しく消えるのは彼女の方だった。

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