SwordkillJane story7
「シヴォーン。はやく。」 キリー達が出るのを見計らって避難場所から這い出す。
マシーネの執拗な索敵もかわす防護ドアを開け放つ。
バークレイのメンバーで生き残ったのはゾーイ、ジェーン、 そして最後の希望シヴォーン。 エメリアは囚われのみとなってしまった。
彼女の残した片方だけの靴を拾って予備の格納庫へと向かう。
ゾーイとともに数分で身支度を整え荷物を積み込む。
一刻もはやくここを離れなければならない。
夜には厳しい寒さと視認できないキラーナノマシンの群れがやって来る。
両手に愛おしそうに宝石を握ったグレッツェンの亡骸に一瞥をくれると、 先の見えない逃避行の足となる大型装甲車に乗り込んだ。
全長20メートル大の水陸両用車は海に陸路に悪路と大概の地形は走ることができた。
政府の緊急災害プログラムが生んだ頼みの綱。 正しい税金の使われ方だ。
避難船に乗り遅れて逃げ込んだ塒(ねぐら)をぐるりとひとまわりする。
十数年住んだ場所を離れるのは名残惜しい。
あたし達はどこへ行けばいいの。
答えのない問いを誰にするでもなく装甲車を走らせた。
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