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「介護の日本語」の新しい指標で授業案を作ってみた


色々長文で書きたいこともあり
タイトルと軽い中身の下書きをいくつも書き溜めていたのですが
ようやく踏ん切りをつけて初投稿をしました。


1、はじめに

私は介護の専門学校と介護の技能実習の監理団体で、現在日本語を教えています。他の日本語教育機関と違うことが一つあります。
それは、とにかく来客が多い。来客は主に、介護施設や医療施設の職員の方々です。
来客が来た際は、名刺交換やら実際に学習者と話させたり、教師からどういう指導をしているかなど説明をします。
その際に、学習者を実際に見た来客とのやり取りでよくあるのが、「N4でもこれくらい話せるんですね」などのJLPTを交えたやり取り。

どこかで聞きかじったのであろう、JLPTの知識を持っている介護関係の方は多いと感じてしまいます。
しかし、試験の名前とビザに必要なことは知っていても、どのような形式の試験なのかはほぼ知られていないのが現実です。
N~~を取得=話せる」といった認識。
そもそもJLPTは「話す」が試験項目にあれど、会話試験ではないですからね…。


2、知人への相談

一々、来客にJLPTはなどと説明するのも野暮なものです。
とはいえ、毎回のように繰り返されると何とも言えない感情になってしまいます。
なんとか、JLPTではないきちんとした指標はないものかと悩んでいました。

とある日、介護の日本語教育について研究している知人と食事をする機会があったので、相談をしました。
相談するとすぐに、私もそれわかると同意の返事が
そしてすぐに、介護の日本語の指標があるよと提示してくれました。
それがKCDS(リンクです。


3、KCDSとは

KCDSとは、CEFR基準の介護の日本語のCan-doステートメント
到達の目標は介護の技能実習2年目
KCDSには2種類あり、技能実習2年目に必要な日本語のレベルをまとめたK2aと技能実習2年目に到達していることが望ましいレベルをまとめたK2bです。

4、導入にあたり

知人に教えてもらった後、ちょうどいいタイミングで勤務する監理団体からミーティングの案内が来ました。
これ幸いと、次からのカリキュラムの提案をしたいと提案をしました。
会議にあたり、CEFRに関する説明も必要だと感じました。急いで手持ちのCEFRのことを書いてる本をあさりパワポにまとめました。
監理団体としても、所持しているJLPTの級と日本語運用能力との乖離が見られると感じていたようで、是非KCDSの指標を使ったカリキュラムを作成しましょうとなりました。

5、素案作成

今現在使用している、介護の日本語テキストとCan-doを照らし合わせ、足りている部分・不足している部分などを同僚の教師と話し合いをしました。
中身は、各Can-do毎に担当者と対応する日本語テキストの課を一覧にし素案として作成しました。
素案を作った結果、「話す」「聞く」は従来通りでも問題ないとなり安心をしました。しかし、「読む」「書く」の項目に不足があったことを素案作りで露呈しました。
確かに、読解は今まで授業内であまり課しておらず、日本語科目で使用した『まるごと』の中にある読解問題程度。

職員にわからない言葉を説明してもらえ䜀、最近流行している感染症
などについて書かれたマニュアル䛾短い簡単な説明を読んで、手洗い
䛾励行や吐しゃ物処理䛾手順など、必要な情報を理解することができ
る。
職員にわからない言葉を説明してもらえ䜀、薬箱や薬䛾説明書など䛾
短い文を読んで、薬䛾種類(錠剤、点鼻薬など)や用法・用量など、必
要な情報を探し出すことができる。

「読む」には、上記のようなトラブルがあると非常に危険が伴う重要な項目もあり、すぐに改善せねばとなりました。


6、最後に

実は、素案を作ったはいいのですが、次の実習生の入国は数か月先になると予想されています。(コロナ禍ですから仕方ありません)
早く実際に指導し、更なる授業案の試行錯誤をと願う日々です。

実際に、動き出しましたらまた記事に書こうと思っています。


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