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ボンドとトルコと秘密のトランク【 007 ロシアより愛をこめて 】(1963)

ストーリー
犯罪組織「スペクター」は、クラブ諸島の領主ジュリアス・ノオ博士の秘密基地を破壊し、アメリカ月ロケットの軌道妨害を阻止した英国海外情報局の諜報員007ことジェームズ・ボンド(ショーン・コネリー)への復讐、それもソビエト情報局の美人女性情報員と暗号解読機「レクター」を餌にボンドを「辱めて殺す」ことで両国に泥を塗り外交関係を悪化させ、さらにその機に乗じて解読機を強奪するという、一石三鳥の計画を立案した。

Wikipediaより引用

いや、罠でしょ。

罠だろ。罠だよね。わかっていても飛び込むしかないのが007。
第二弾の舞台はトルコ・イスタンブール。冷戦まっただ中の所に火に油を注ぐ不敬な輩スペクターの魔の手が迫る。

見所はやはりトルコの異国感で絨毯ショップに踊り子やキャットファイトと観光気分もさることながら、やはりQのスパイアイテムに尽きます。小学生の無駄機能たっぷりの多機能筆箱の如く、次々とトランクから飛び出すスパイ道具の数々はやっぱり楽しい。金貨に銃弾、組み立て式のライフルはワクワクしますし、ロマン溢れますよ。

硬派な冷戦スパイ映画感!

更に本作は冷戦色が強いのも本作の良い所ですね。常にソ連との尾行に監視とお互いが覗き覗かれの状況や、諜報員同士の煙草の火のやりとり、カメラの視線がスパイではない一般人にも注視するのがスパイ映画らしくて大好きです。
そしてソ連の領事館に優雅に押し入って暗号機を盗んだり、グラントとは違うソ連の刺客が登場するのも面白いです。

ボンドより上手の悪漢・グラント!

そして今回の刺客であるロバート・ショウ演じるグラントは007シリーズ屈指の悪漢。ボンドを常に監視し任務達成前に死なれちゃ困ると手助けもするが、任務が達成されたと見るや巧みにボンドに接触する上手さ。このボンドより上手の殺し屋感が恐ろしい。しかしベラベラ喋りすぎだぜ。
そしてこれぞスパイ映画と言うべき、お互いの何気ない会話がなんとも緊張感をそそります。更にそこからの死闘も最終的に「必要ないでしょ」とか言ってたQのナイフに助けられるのもボンドらしいですね。

もう一人の今回の悪役、スペクターおばちゃんのグレップもなかなか良い。特に後半の首領ブロフェルドを前にビビりあがっている表情が素晴らしすぎて、首領ブロフェルドの恐ろしさがこれでもかと伝わってきます。そして全ての作戦がボンドの前で泡と消え、最終的に自らお掃除係に着替え解読機を奪い去ろうという所には情けない悲しさがにじみ出ます。まぁあの靴アタックはショボいけどあの執念は鬼気迫り、やられた時の断末魔もかなり心に響きます。

そしてボンドガール・タチアナの登場が結構突然だったり不思議な所はあるものの、着替えてウキウキしてるところが可愛いぞ。最終的にボンドを助けたのは彼女でしたね。そしてそんな彼女を虜にしたボンドの魔力はやはり凄い。ちなみに個人的に好きなシーンはトルコのホテルに着いたと同時に盗聴器を探すシーン。派手に流れる007のテーマとの若干のミスマッチ具合がたまらなく好きなんです。

そんな訳で優雅にベニスで締めくくる本作。全体的な旅情感と緊張感が掛け合わさりダレる事なく最後まで楽しめる、名作と言われるだけある非常に完成度の高い007映画ですね。改めて今回面白さを痛感しました。


DATA

007 ロシアより愛をこめて
公開年:1964年
製作国:イギリス、アメリカ
制作:イオン・プロダクション
上映時間:115分
監督:テレンス・ヤング


それと60周年を記念して上映された4K版は列車内の広告まではっきり見れてしまうとんでもない画質で驚きました。トルコの光景が美しくて最高です。


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