記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

福士蒼汰初監督作品・映画 「イツキトミワ」がWOWOWプライムで放送された話。

昨日ついにWOWOWプライムにて、福士蒼汰監督の初監督・初脚本映画「イツキトミワ」が放送されました。

WOWOWの企画で毎年開催されている、アクターズ・ショート・フィルム。俳優がショートフィルムの監督に挑戦するワクワクする企画ですが、今回はその第四弾として千葉雄大さん、仲里依紗さん、福士蒼汰さん、森崎ウィンさんがそれぞれ個性の違った素敵な作品を手がけています。

撮影期間は2日、本編は25分以内、オリジナル作品であること、そして俳優自身もどこかに出演すること、という全く同じ条件の下、個性あふれる作品が生み出されているこの企画。

オンデマンド配信でも観ることができ、先日、監督が登壇する記念イベントでは映画館の大きなスクリーンで見られる機会がありましたが、テレビの放送はまた特別!

4作品それもすばらしいクオリティなのですが、福士蒼汰監督の「イツキトミワ」は人間の複雑性を描いた奥深い作品となっています。

作品から受け取るメッセージは人それぞれで、観る側に委ねられている部分も大きいこの作品。

「じゃあ、そのミワさんのことさ、どう思ってんの?」

「・・・もっと知りたいと思ってる」

「・・・嬉しいこと言うじゃん」

ぼく明日を思い出す、月が印象的なこのシーン、知りたいと思ってくれて嬉しい気持ちと、これ以上知られたらダメだと思う複雑な気持ちが空を見上げるミワの笑顔から伝わり、美しくとても切ない(;;)

多くは語られないけれど、一見強そうなミワの仲間、千郷の手にもこんなにたくさんのためらい傷があって、ふとした瞬間に訪れる光と影、強さと弱さ、人間の多面性みたいなものが短い映像の中につまっています。

何度か見ていて初めて気づくこともあったりして、ほんと奥深い。。

イツキトミワで初監督・初脚本を務めた福士蒼汰くんは、5/17に公開予定の映画「湖の女たち」で、松本まりかさん演じる被疑者の介護士の女性とただならぬ関係になっていく刑事役を演じています。

「湖の女たち」の撮影での経験がこれまでの価値観をガラッと変える、自身のターニングポイントになったと語っていた通り、その後撮影に臨んだ大奥やアイのない恋人たちでは自然体でありながら観る人を惹きつけるお芝居に私自身も何度も心を動かされました。

彼がキネマ旬報のロングインタビューで、湖の女たちを手掛けた大森立嗣監督から学んだと話していた「脳で考えたお芝居ではなくて脊髄でするお芝居」ってところがこの映画、イツキトミワにもよく表れてる気がした。

役として生きる中で自然と内側から湧き出る想いを撮っていく大森監督のスタイルが福士監督にも受け継がれてて、内側にあるものを引き出す感性は初監督作品とは思えないほど!

動作を直接指示するというよりも、役者の心の奥の感情に訴えかけて、その結果、自然に表情や動きが変化する演出は、メイキング映像を見ていてもとても新鮮でした。

特にミワの異変を察して駆けつけた場面と、キャンバスに向かう場面のイツキはまさに求めてるそのものだったのではないかな、と思うほどにすばらしかった。

しっかりその演出に応えられる演じ手であることはもちろん、そこを余すところなく切り取るには撮影スタッフの皆さんとの一体感と信頼感が必要で、決して簡単ではなかったはず。

みんなで円になっていい作品を作りたいと話していたのが作品に形となって表れているなぁと感じます。

30代に入り、役者としても唯一無二の味わい深さを確立しつつある中で、監督としても、一緒に作品を作りたいと思わせる人になっていく未来が見える。

今回はショートフィルムだったけれど、もっと長い作品も見てみたいし、ヒューマンドラマや群像劇のように、心温まるタイプの作品もきっとすごく良いものになると思うので!

ぜひいつかの未来にまた監督・脚本を手がける機会があるといいな。

そして6月に行われるショート・ショート・フィルムフェスティバル & アジアのイベントでもぜひ映像をたくさんの方に観ていただいて、世界に羽ばたいていってほしい。

来月あたりには今年度の公式サイトもオープンしそうですね。

もっともっとたくさんの方に届きますように!

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?