こまき

都内在住のデザイナーです。身の回りのさまざまなブランドについて思うこと。服、家具、ライ…

こまき

都内在住のデザイナーです。身の回りのさまざまなブランドについて思うこと。服、家具、ライフスタイル雑貨、音楽…それぞれのブランドのストーリーへ想いをはせてみました。

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40歳になった女は、ティファニーでダイヤモンドを

はじめに言っておくと、原作の〈ティファニーで朝食を〉は、ラブストーリーなんかじゃない。 映画〈ティファニーで朝食を〉は、もちろん今でもたくさんの人に愛される名画の一つだ。しかし、原作とはかなり違っている。 ●映画のあらずじ オードリー・ヘップバーン扮するホリー・ゴライドリーは、NYで知られる高級娼婦。アメリカの長者番付トップテンに入るような大富豪にしか目がない。そんなホリーが同じアパートメントに暮らす作家志望の青年と恋に落ち…。 ●トルーマン・カポーティの原作 高級娼婦

    • ある夏、alfrex(アルフレックス)が突然に

      ほとんど、一目惚れだった。 20年ほど前、年上の友人の別荘に行った。 その別荘は、葉山の高台にあった。 もう7月は終わろうとしており、坂道を登る途中ずっと、日差しが私の背中を照らしていた。汗をかきながらチャイムを押した私を彼女は笑顔で迎え、それからキリッと冷えた白ワインを出してくれた。 リビングはとても広く、天井が高く、大きな窓があり、その先には湘南の海が広がっていた。まどろんだような太陽と、静止したように見えるヨット、映画のようにきらめく海。 でも一目惚れしたのは

      • 男たちは〈PORSCHE(ポルシェ)〉という名の儚い夢を見る

        海辺に一台のオープンカーがとまっていた。 夏の午後の眠たいような空気は、一気にふきとんだ。 波打つように滑らかなファサード。 しなやかなボディ。 無駄のないシルエット。 シルバーの上品な艶。 エンジンが美しい音楽を奏でたとおもうと、車は流れるように道路を駆け抜けていった。 その先に広がる真っ青な空と波に、吸い込まれるように。 ボンネットのエンブレムには〈PORSCHE(ポルシェ)〉と書いてあった。 1948年、フェリー・ポルシェによって〈ポルシェ 356 No.1

        • 〈COMME des GARSONS〉は宵闇のように女をうつくしく

          COMME des GARSONS(コムデギャルソン)〉の服は、女をうつくしく魅せる。 〈COMME des GARSONS〉が似合う女にであった。今から30年ほど前のことだ。 真っ白な顔に、少年のように切りっぱなしのショートヘア。前髪が瞳すれすれまでかかっている。アイラインで囲われた大きな瞳は、傷ついた猫のような印象を与えていた。 彼女がまとっていたのは、シンプルな〈COMME des GARSONS〉のワンピースだった。 少女のように細い体には、少し大きすぎるよう

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          限りなくイノセント 〈マイケル・ジャクソン〉

          彼に対しては、賛否両論がある。 存在自体があまりにも奇特なので、ときどき正しい判断が下せなくなることもある。 マイケル・ジャクソン。 人々がその名前を口にするとき、2つのパターンがある。 ひとつは、手ばなしで称賛する声。 もうひとつは、滑稽だと言わんばかりのひそんだ声。 マイケル・ジャクソンに対して、まったく対照的な反応が世の中に存在するのだ。 その差はどこにあるのだろう? 誰が見てもマイケルは圧倒的な歌唱力・ダンス力を持っている。パフォーマンスは神の域に達して

          限りなくイノセント 〈マイケル・ジャクソン〉

          〈THE BEATLES〉という永劫不滅のブランド

          〈THE BEATLES〉について語ろうと思う。 あまりにも有名な存在で、世界中で多くのひとに語り尽くされているため、あえて今さら、私が語る必要はないかもしれない。 〈THE BEATLES〉は、本人らの想像をはるかに超えたひとつのブランドとして確立されてしまった。 デビューして60年近く経った今でも、それは圧倒的なブランドバリューを持つ。 だから今回は〈THE BEATLES〉の音楽ではなく、ブランドに注目してみたい。 ただし、〈THE BEATLES〉というロゴ

          〈THE BEATLES〉という永劫不滅のブランド