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限りなくイノセント 〈マイケル・ジャクソン〉

彼に対しては、賛否両論がある。


存在自体があまりにも奇特なので、ときどき正しい判断が下せなくなることもある。

マイケル・ジャクソン

人々がその名前を口にするとき、2つのパターンがある。


ひとつは、手ばなしで称賛する声。
もうひとつは、滑稽だと言わんばかりのひそんだ声。

マイケル・ジャクソンに対して、まったく対照的な反応が世の中に存在するのだ。

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その差はどこにあるのだろう?

誰が見てもマイケルは圧倒的な歌唱力・ダンス力を持っている。パフォーマンスは神の域に達していた。それを誰もが認めないわけにはいかない。

にもかかわらず、マイケルの評価は二極化されてきた。好きか、嫌いか。

これまで私も、マイケルは苦手な存在だった。音楽性は認めるものの、マイケルにまつわる不可解な事件やウワサは、拒否反応を起こさせた。

そんな私が、何故マイケルに惹かれたか。

マイケル・ジャクソンの中に、自分の一部を見つけたから。


マイケル・ジャクソンの中には、いろいろなキャラクターが存在する。


〈Thriller〉の若くみずみずしいマイケル。
〈BAD〉のイキがったマイケル。
〈Smooth Criminal〉の成熟したマイケル。
〈Remember the Time〉の愛を乞うマイケル。
〈Will You Be There〉の世界のために歌うマイケル。

ミュージックビデオの中のマイケルは、ただただひたむきに唄い、踊り、見る人に余韻を残す。ある時期からは、その音楽に強いメッセージを吹き込む。それは世の中の苦しんでいる人々の願いであり、マイケル自身の祈りでもある。


マイケル・ジャクソンは、1958年、アメリカのインディアナ州で生まれた。


言うまでもなくジャクソン家は貧しかった。しかし、子供達の才能にいちはやく気がついた父親によって、兄弟5人は〈JACKSON 5〉としてデビュー。


最年少のマイケルがボーカルを担当し、1969年に全米チャート1位を獲得。以降、ヒット曲を飛ばし続けた。

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5人兄弟の中でも圧倒的な歌唱力を持つマイケルは、ソロデビューすることとなる。


デビュー当時のダンスミュージックを歌うマイケル。残念ながら、その後のマイケルのカリスマ性を期待させるものではない。マイケルが圧倒的な存在感を放つのは、1982年発売の〈Thriller(スリラー)〉からだ。

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14分にも及ぶミュージックビデオは、それまでの音楽業界をゆるがすことになる。日本の歴史を〈戦前〉と〈戦後〉で区分できるように、音楽界の歴史を〈Thriller〉が生まれる前と、生まれる後に分けることができるだろう。

ゆたかなストーリーとマイケルの歌とダンスに、マイケルファンも、そうでない人も、心をうばわれる。ミュージックビデオの最高傑作だ。

かくして〈Michael jackson〉というブランドが誕生した。

ただし、これだけでは未来永劫に輝くブランドだとは言えない。それならデビット・ボウイだって、エリック・クラプトンだって、マイケル同様の存在になり得たはずだ。

マイケルが確固たる存在だったのは、自身の純粋性にもとずいて歌と踊りを磨き続けたから。
世の中に強いメッセージを送り続けたから。
そのために、自己犠牲をいとわなかったから。

マイケルに関してはさまざまなうわさが飛び交い、本人の音楽性すら否定するものとなっている。でも〈Michael jackson〉というブランドを愛し続ける人々は、それを真っ向から否定する。

「マイケルはどこまでも無実で、今でも傷ついている」と。

どれだけ世の中から否定されても、擁護するファンがいる。彼の純粋さを信じるファンがいる。それは神を信じるように、マイケルを信じるのだ。


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