おばあちゃん日記その4【認知症と感染症が組み合わさると生じる地獄】
(この記事内では、体調不調のときの様子をリアルに伝えるため、嘔吐する様子なども記載しているので、苦手な方は読むのをお控えください)
「なんだか気持ち悪くて吐いちゃったわ」
とケロッとした表情で、ちょっとしんどそうな素振りもありながら眺めてくる86歳のおばあちゃん。
まるでその様相は、保育園に通う我が子のようで、2歳くらいだろうか。まさにそんな感じでした。
おばあちゃんが子どもみたいになっちゃった!と思うシーンは、おばあちゃんが認知症だと診断を受けてから、これまでに幾度となくあり、しかしそれこそが認知症という病であり、個性なのだから仕方ない。その時々で対処していくしかない!というのが介護のリアルでもあると感じています。
さて、嘔吐をしたと報告してきたおばあちゃんだけれども、どこに吐いたのか覚えていないから厄介です。部屋を見渡しても、嘔吐物が見つかりません。
確実に言えることとしては、おばあちゃんの左半分の顔面が汚れていることと、洋服がなんだかしみったれているから、きっと洋服に付着してしまうほどは嘔吐したのだろうと想定はできます。
さらに驚くべきは、トイレ。
トイレの使い方によって、介護の認定度合いが変わると言われているほど、トイレの使い方やおむつの使用状況は年々ひどくなっていくわけですが、今回はぼっとんのトイレから誰かが飛び出してきたのでは?と思うほど、汚れに汚れていたようで、夫が完全防備で掃除までしてくれました。
元気な時でさえも、トイレの使い方については突っ込みどころがたくさんだけれど、体調不調となって、ついに最悪を極めた使い方になってしまったようです…。
この使い方がスタンダードとなってしまうと、さすがに在宅介護も厳しく、施設へ行こうか、おばあちゃん…となるのだけれど、夫は寛大な人がゆえ「不調だから今回は仕方ないね」と。前世は天使だったのだろうか、この人は。
さらには、どんどん汚れた衣類や寝具を「これも汚れてる」「なんで汚れちゃったのかしら」と、おばあちゃんの暮らす離れから、私たちの暮らす母屋へ運び込んで来ます。まるで泥棒が入って、汚れをつけたかのように言うおばあちゃん。
不幸にも、少し前にノロウイルスが流行していたこの地域において、おばあちゃんもきっとどこかでもらってきてしまった説が濃くあります。おそらくは、保育園、小学校に通う我が子たちは、おばあちゃんほどのひどい症状ではないものの、腹痛や食欲不振だったことがあったので、おそらくはそこ経由でもらったのだろうと推測しています。
これまでも新型コロナウイルスに感染したことがあるおばあちゃんだけれど、よくも悪くも「ありとあらゆることを忘れてしまう」わけなので、自分が新型コロナウイルス に感染していることも忘れてしまいます。
おばあちゃんは離れに暮らし、私たち家族は母屋に暮らしているので、本来であれば、隔離生活もそんなに難しいことではありません。
ですが、おばあちゃん含め家族みんな揃って食事を母屋でとるのが日常なので、どれだけ「今はあなたを隔離したいから、食事をそちらに持っていくよ」と伝えても、それを紙に書いても、記憶から抹消されてしまうのです。
そんなわけで、空気感染や飛沫感染の病気が流行しだすと「ああ、またこのパターンがやってくる」と毎回思います。
そういった感染症の場合、デイサービスも長期でお休みしないといけなくなり、必然的に在宅の時間が増えますが、お休みした初日のお昼くらいから「なんで休んでいるんだっけ?」となるのが、認知症のおばあちゃんの思考回路。
その思考がぐるぐるまわるのか、はたまた一度消えちゃってまたポンっと脳に出てくるのか、同じ質問を1分おきくらいにされて、うんざりするのも定番コース。
最初の5回くらいまでは、繰り返すおばあちゃんの質問へ回答する気持ちをこちらも持ち合わせているものの、それ以上になると「この人覚える気まったくないから、また同じこと聞かれるだけやろ」と私側の脳が判断し、
「秘密よ、秘密!」
という言葉をついつい乱用してしまうようになりました。ありとあらゆる場面で。
そんなこともあって「セイカちゃんは秘密主義者」という謎のレッテルを貼られてしまっている今日この頃。
このことは認知症介護している方にとっては「あるあるすぎるほどのあるある」ネタの1つだと思います。
こちら側に心に余裕があるときには、最大で10回くらい付き合って答えるときもありますが、おばあちゃんはもちろんそんなこと覚えてはいないし、所詮、孫の私は秘密主義者だと思い込んでしまっているから、この「孫は秘密主義」というおばあちゃんの固定概念を取っ払うのは難易度がめちゃくちゃ高いのです…。
話は逸れてしまいましたが、この初夏、介護認定が新たに降り、要介護1から要介護2にレベルアップしたおばあちゃん。
昨年と比較すると転倒回数も増え、オムツの使用枚数も増加し、高齢者にとっての1年がいかに大きいものかを思い知らされます。
ここからは弱っていく方向にしかいかないけど、1日でも、孫とひ孫と暮らしてると楽しいな〜と思ってもらえるよう、現状維持を目標に当面はサポートしていきたいと思います!
そして、これ以上、感染症が我が家に持ち込まれませんように…。
子どもたちや私たち両親が感染症になるのはもちろんしんどいことですが、記憶のなくなってしまうおばあちゃんが感染症になったときの大変さたるや、もう勘弁してほしいです。本当に。
ということで、今日も今日とて。
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