【小説】オレンジ色のオトコ_02

第２章：ナポリタン

　今日は夕方までのシフトだから、仕事が終わってからそのまま店で買い物ができるなと買い物リストを作っておいた。その一番上に、自分では絶対に吸わない、「必要のないもの」が堂々と君臨している。アメリカンスピリット、オレンジ。と書かれたそれを、真っ先に買いに行く。買い出し後にふらふらしながらタバコを買い求めるなんて、まっぴらごめんだ。
電子決済が完了したときの軽快な音が聞こえて、それを受け取ると先ほどまで一緒に仕事をしていた先輩が「なぁに、彼氏？」と言いながらニヤっとする。違いますよ、ちょっとお世話になったからお礼ですとニッコリ返して、お疲れさまでしたと言いながら生活用品コーナー、食品コーナーをめぐる。最後に花を購入して近くの出口から退店すると、まだ明るいものの日は落ちようとしていた。