見出し画像

猫とかいう可愛いだけで生きぬいてきた奴

 桃太郎や花咲か爺さん等、昔話には度々犬が登場する。それらの犬は、強く、賢く、心強い仲間であったり、涙を誘う健気な我が子のように描かれる。
 一方猫については、特に活躍をしたという話を耳にした事はない。ただ可愛いというだけで生かされている。家で猫がひっくり返って白目を剥いて寝ている所を見るたびに、コイツらは可愛いさが無かったらとっくに絶滅していただろうなと思う。

無防備にひっくり返る猫(三朗)

近代で言えば、YouTuberが動画で飼い猫を晒して、金を稼ぐ事も多いと聞く。私も「金か…」と思いニタニタしながら猫の動画をネットに上げてみたりもしたが、ついた感想は「大きい猫ですね」くらいのものだ。
 
 我が家には現在、18歳になる「一朗」と15歳になる「三朗」が住んでいる。「次朗はどうしたのか」と言えば、去年の9月22日、16歳の時に死んでしまった。繊細な猫だった。

向かって左から、次朗、一朗、三朗


 一朗は、三朗がただ寝ているだけで、いきなり脚や背中に噛みく。三朗は「イ゛ァア!」と声を上げて脱兎の如く逃げ、一朗はそれをしつこく追いかけ、どつく。
 かと思えば、その直後には2匹くっついて寝ているのだから、よくわからない関係性である。私なら、いきなり旦那が噛み付きどついてきたら、しばらく顔を見るのも怖いと思う。

どつき合いの後、くっついて眠る一朗と三朗


 猫は良い…。何が良いって、そこに居るだけで良い。冗談抜きで、眺めているだけで数時間過ぎる事もある。その間、猫は、動いていたり動かなかったりする。どちらでも良い。もう毛が可愛い。

 犬も良い。健気で賢いし、猫よりも意思の疎通が出来る気がする。でもくっせぇんだよな…と思う。猫は臭くないのに、どうして犬はあんなにも臭いのだろう。実家の犬を洗っても、次の日にはもう濡れた雑巾のような臭いがする。くっせぇ。でも可愛い。でもくっせぇ…。

 「お前、臭いよ」と伝えてみても、尻尾を振ってこちらを見上げ、まるで「ご主人が何か言ってるワン!嬉しいワン!」と言わんばかりに、まんまるな目で見つめてくる。

 私は多分、犬と暮らすには性格が悪過ぎる。猫だから雑に扱うなんて事は絶対に無いが、猫の方が、私の性格が悪くても、気にしないでいてくれる気がする。

 例えば私がいきなり踊り出した時に、無視をするのが猫だ。それに対して、仰天し、ストレスを抱えるのが犬だ。
 私は気分が良くなれば踊りたいし、むしゃくしゃした時は、進撃の巨人アニメ4話の奇行種の物真似だってしたい。クッキーモンスターの物真似もしたい。そんな時に動じないでいてくれるのが猫なのだ。
 旦那には多少白い目で見られるが、それはしょうがない。旦那は旦那で私を飼っているのだからしょうがない。これは私の習性だ。

 そんな訳で、私は猫が好きだが、犬も好きだし、ヤギも好きだし、カピバラも好きだし、カブトムシも好きだ。クッキーモンスターも好きだ。

 動物が好きなのだ。

 人生の半分を猫と過ごしているから、この子達が居ない生活なんて考えられないし、そんなのあまりにも寂し過ぎる。

 この先何年一緒に居られるかわからないけれど、これからもひっくり返って寝られるような家でいてあげないとなぁと思う。

 なんか良い話で終わりそうで凄く嫌だ。嫌な事を言ってやろう。

 犬は臭い。私もたまに臭い。以上。 

ふてぶてしく座る三朗。少しセクシー。

この記事が参加している募集

#猫のいるしあわせ

21,828件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?