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おにぎりから感じた人の温もり

少し前の話なのだが、福島に旅行に行ってきた。
そこで、お昼ご飯を食べた時の事を書き留めておきたい。

「Google Mapで好評の、気になる食堂がある。」
知人につれられ、入ったお店は、ご主人とふたりで経営していた、
こじんまりとした定食屋さんだった。

何を頼もうか迷った挙句、私は「カツ丼」を選択した。
注文後、地元の常連客さんが次々とお店に入ってきた。
彼らは「ラーメン」や「チャーハン」を頼み、さっそうとお店を後にしていた。
私は、汁のみ残ったお皿を横目に、カツ丼を待っていた。

しばらくして厨房の方から、お鍋で揚げている音がした。
「カツを揚げているのだろうな」と、私は期待を膨らませて待っていた。
時間がかかるのも、その食堂らしさがあり、状況を楽しんでいた。

そして、遂にお母さんが「お待たせしました」と私の席に料理を運んできてくれた。
箸を入れてみると、これでもかというぐらいカツが横たわっていた。

夢中で箸を動かしていたところに、お母さんが可愛らしい物体を運んできて私たちの机に置いた。それはシソで包まれた梅おにぎりだった。

「カツ丼、遅くなっちゃってごめんなさいね」
どうやら、注文したものを作るのに時間がかかっていたのを気にしていたらしい。
なんというサプライズだろう。

むしろ、私はカツ丼を待っている時間を楽しんでいた。
だから、お詫びを言われることなんて予想外だった。

お母さんが握ってくれたおにぎりは、とても優しい味だった。
ご飯の握り加減も、ふんわりしていて、口当たりがよかった。
何より、「自分たちのために、わざわざ握ってくれた」という事実に胸がいっぱいだった。

外食をする機会は、たくさんある。
しかし、これほど人の温もりを感じたことはなかった。
お母さんのおにぎりは、「誰かのためを想って作っている」という気持ちがビンビン伝わり、お腹も心も満腹にさせてもらった。

旅の中で偶然が重なり、体験できた出来事だった。
この再現できない偶然が楽しくて、またRocalな旅に出たいなと思う。
そして、そこで出会った思い出を、またnoteに書き留めていきたい。

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