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繊細な演技でどこまでも役を掘り下げる安蘭けいの圧倒的な説得力…★劇評★【ミュージカル=ネクスト・トゥ・ノーマル(安蘭けい・海宝直人・岡田浩暉・昆夏美・橋本良亮・新納慎也チーム)(2022)】

 オフ・ブロードウェイでの好評を受けて2009年にプロ―ドウェイにミュージカル「ネクスト・トゥ・ノーマル」が登場した時、観客の目には、心の病をテーマにしたこの作品の内容は複雑でややとんがったもののように見えたかもしれないが、2013年の日本初演、そして今年2022年の再演と時を経た今、心の病は誰にでも訪れる可能性があり、すぐそばにある切実な問題だという認識が広がっていることで、見え方が全く違ったものになっている気がする。心の病は自分が直面している問題でなくても、家族や親しい友人、有名人やスポーツ選手など自分が身近に感じる範囲の中で、苦しんでいる人が数多くいる可能性が高いという現実がある。だからこの時代にあって、どこか自分とは遠い世界の物事を見せられていると感じる人はほとんどいないだろう。共に苦しみを体験し、共に考える、そして共に再生への道を探ることに力を与えてくれる作品になっているとも言えるのだ。初演から主人公を担う安蘭けいがどこまでもダイアナという役を掘り下げていく壮絶な演技で私たちを駆り立て、主人公ダイアナの苦悩に意味を与えていく。その説得力は初演から見ても威力を増しており、心の病の何たるかを示して余りある。演出は上田一豪。(画像はミュージカル「ネクスト・トゥ・ノーマル」とは関係ありません。単なるイメージです)


 ミュージカル「ネクスト・トゥ・ノーマル」は2022年3月25日~4月17日に東京・日比谷のシアタークリエで、4月21~24日に兵庫県西宮市の兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールで、4月29日に名古屋市の日本特殊陶業市民会館ビレッジホールで上演される。


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★ブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はこのクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。安蘭けいさんや海宝直人さん、岡田浩暉さん、昆夏美さん、橋本良亮さん、新納慎也さんといった俳優陣の演技や身体表現に対する批評、上田一豪さんの演出や舞台表現に対する評価などが掲載されています。

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 なお、今回の公演では、「安蘭けい・海宝直人・岡田浩暉・昆夏美・橋本良亮・新納慎也チーム」と「望海風斗・甲斐翔真・渡辺大輔・屋比久知奈・大久保祥太郎・藤田玲チーム」という2つの組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、「ネクスト・トゥ・ノーマル(安蘭けい・海宝直人、岡田浩暉、昆夏美、橋本良亮、新納慎也チーム)」に限らせていただきます。なにしろ人気公演で取材機会も限定されます。どうかご了承ください。

 この組み合わせではカバーできない望海風斗チームに出演されている望海風斗さん、甲斐翔真さん、渡辺大輔さん、屋比久知奈さん、大久保祥太郎さん、藤田玲さんのファンの皆さま方や関係者の方々には大変心苦しく感じております。なにとぞご容赦ください。

★ミュージカル「ネクスト・トゥ・ノーマル」公式サイト=公演はすべて終了しています

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