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謎に満ちた「過去」へと逆再生するミュージカル。人生の糸を絡み合わせるように繊細に描く…★劇評★【ミュージカル=メリリー・ウィー・ロール・アロング~あの頃の僕たち~(2021)】

 過去と未来とどっちがミステリアスか。それは物語にもよるが、こと人生を扱ったドラマに限っては、断然「過去」の方が謎に満ちている。小説では最近散見されるようになったが、舞台ではまだまだ珍しい現在から過去へと進行する「逆再生」ミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング~あの頃の僕たち~」が今、上演され、話題を呼んでいる。しかも英国の演劇界の最高の栄誉であるローレンス・オリヴィエ賞などを受賞した傑作で、ウエストエンド公演の演出を手掛けた大女優のマリア・フリードマンが今回の日本人キャスト版でも演出を手掛けている新演出版だ。無名の若者同士として出会い、それぞれに人気プロデューサー、ベストセラー作家、ピュリッツァー賞脚本家として大成するも、3人で抱いていた夢は暗礁に乗り上げたまま。次第に悪化していく関係と屈折した愛憎の思いを、平方元基、ウエンツ瑛士、笹本玲奈という人気と実力を兼ね備えた3人がまるで人生の糸を絡み合わせるようにして繊細に描いていく。逆再生がもたらすスリリングな謎解きのような魅力も放ちながら、ショウビジネスの光と影を明滅させる野心的な作品に仕上がっていた。(画像はミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング」とは関係ありません。イメージです)
 ミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング~あの頃の僕たち~」は、5月17~31日に東京・初台の新国立劇場中劇場で、6月4~5日に名古屋市の愛知県芸術劇場大ホールで、6月11~12日に大阪市の梅田芸術劇場メインホールで上演される。

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★「SEVEN HEARTS」のミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング~あの頃の僕たち~」劇評ページ

★ブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はこのサイト「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。平方元基さんやウエンツ瑛士さん、笹本玲奈さん、昆夏美さん、今井清隆さん、朝夏まなとさんら俳優陣の演技や、マリア・フリードマンさんの演出や舞台表現などに対する評価が掲載されています。

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★ミュージカル「メリリー・ウィー・ロール・アロング~あの頃の僕たち~」公演情報

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