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孤独が共鳴して生まれる絆。柚希礼音の圧倒的なカリスマ性がスーパースターの心情を見事に描き出す…★劇評★【ミュージカル=ボディガード(柚希礼音・重松俊吾出演回)(2022)】

 孤独は共鳴する。そんな当たり前のことを思い出させてくれる作品だ。ここには3つの屹立した孤独があって、共鳴することによって、時にはそれは絆や愛となり、時には理解しがたい執着にその姿を化けさせる。その絶対的な事実があるからだろうか、孤独は、どこかドライな業界もののような体裁もあるこの作品に通奏低音のように響いて人々の心を乱し、地鳴りのように状況を変えていく。柚希礼音はその圧倒的なカリスマ性によって、スーパースターの孤独に現実味を加え、心の震えを止められなかった主人公レイチェルの心情をものの見事に描いてみせた。大谷亮平はその強い反発力をしっかりと受け止めながら、レイチェルの心のひだに入り込んでくる孤高のボディガードの姿を鮮やかに映し出す。入野自由の演じたストーカーの描くゆがんだ情熱に支えられるようにして流れていく物語は個性が炸裂するキャスト陣の丁寧な造形によって、一層、真実性を浮かび上がらせる。初演以上に深みを増す様子は、新型コロナウイルスという予期せぬ敵にかき乱された一昨年2020年の公演中止にひるむことなく希望を抱き続けた関係者の尋常ではない努力をうかがわせる。(画像はミュージカル「ボディガード」とは関係ありません。イメージです)

 ミュージカル「ボディガード」は2022年2月8~19日に東京・有楽町の東京国際フォーラムホールCで上演される。これに先立ち大阪市の梅田芸術劇場メインホールで1月21~31日に上演された大阪公演はすべて終了しています。


★阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも序文は無料で読めます。舞台写真はブログでのみ公開しております。

★ブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はこのクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。柚希礼音さんや大谷亮平さん、AKANE LIVさん、入野自由さんら俳優陣の演技に対する批評、ジョシュア・ベルガッセさんの演出や舞台表現に対する批評などが掲載されています。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

 なお、主役のレイチェルと子役がトリプルキャストであるため、さまざまな組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは、「ボディガード(柚希礼音・重松俊吾出演回)」と「ボディガード(May J.・重松俊吾出演回)」に限らせていただきます。ご了承ください。

 この組み合わせではカバーできない「ボディガード(柚希礼音・大河原爽介出演回)」、「ボディガード(柚希礼音・福長里恩出演回)」、「ボディガード(新妻聖子・大河原爽介出演回)」、「ボディガード(新妻聖子・重松俊吾出演回)」、「ボディガード(新妻聖子・福長里恩出演回)」、「ボディガード(May J.・大河原爽介出演回)」、「ボディガード(May J.・福長里恩出演回)」に出演されている新妻聖子さんや大河原爽介さん、福長里恩さんのファンの皆さま方や関係者の方々には大変心苦しく感じております。人気公演のため取材機会も限られます。なにとぞご容赦ください。

 ただし、ブログのみに掲載する舞台写真に関しては、柚希さん、May J.さん、重松俊吾さん出演回だけに限定せず、新妻さんの出演シーンの写真も掲載しています。文章では新妻さんに言及できませんが、ブログの写真でお楽しみください。

★ミュージカル「ボディガード」公演情報

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