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朝夏まなとという太陽オーラの持ち主を主人公に得たことが、公演の序盤にして既に成功の予感を感じさせている大きな要因…★劇評★【舞台=オン・ユア・フィート!(2018)】

 クラシックやポップスをベースにしたミュージカルと違って、ラテンミュージックをベースとしたミュージカルの場合、2007年以降大成功を収めている「イン・ザ・ハイツ」などでもそうだったように、主人公そして主要キャストにどれだけキレのある歌やダンスが披露出来て、どれだけたぎるようなパッションが出せる人を起用できるかが勝負の分かれ目になるが、キューバ出身の歌姫グロリア・エステファンと夫でプロデューサーのエミリオ・エステファンの波乱に満ちた半生をつづったミュージカル「オン・ユア・フィート!」日本人キャスト版もやはり、朝夏まなとという周囲を何十倍にも明るくする太陽オーラの持ち主を得たことが、公演の序盤にして既に成功の予感を感じさせている大きな要因だろう。野心と愛情が同じぐらいの量でないまぜになったエミリオを体当たりの演技で表現している渡辺大輔のハマりぶりは尋常なレベルではないし、ミュージカル界注目の新鋭、青野紗穂がグロリアの妹を、劇団四季出身で三谷幸喜作品などで絶対的な存在感をきらめかせている栗原英雄が父を、そしてミュージカル界の至宝とも言うべき一路真輝と久野綾希子が母と祖母を演じる盤石の布陣。キューバの音楽がどれほど人々を浮き立たせ、人生の危機に際し鼓舞する力になってくれるのかということを感じさせる群を抜いたミュージカルに仕上がっていた。それには、主要キャストの全員が、音楽にそのベースを置きながらも、確かな演技力を持っている表現者であるということとも無関係ではないだろう。演出は上田一豪。
 ミュージカル「オン・ユア・フィート!」は12月8~30日に東京・日比谷のシアタークリエで、2019年1月4~6日に福岡市の博多座で、1月9~10日に愛知県刈谷市の刈谷市総合文化センターアイリス大ホールで、1月17~20日に大阪市の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。

★ミュージカル「オン・ユア・フィート!」公式サイト

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