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「社会」そのものを謳い上げる壮大なミュージカル、多彩な人生と呼応して奏でる大交響曲だ…★劇評★【ミュージカル=レ・ミゼラブル(2021)】

 「レ・ミゼラブル」は社会そのものである。罪と罰の考え方や、正義への思い、格差社会の中での不平等、恋愛など個々の多彩な人生をそれぞれに謳い上げ、積み上げた総体が物語としてもミュージカルとしても大きな社会をかたちづくっていて、それがスケールの大きなテーマと呼応し合って大交響曲を奏でているのだ。一見いびつなパーツを組み合わせているのに、私たちの前に立ち現れるのは壮麗な大聖堂のような美しい建物。時の施政者や権力者にどんな思惑があろうと、ひとりひとりの思いがやがて社会を動かしていくように、時代の流れには抗いようがない。自由や権利を獲得するには至っていない改革前夜の物語だけに登場人物たちは一様に狂おしく満たせぬ思いを抱き、おびただしい死も描いているが、少なからぬ希望も見え隠れし、ミュージカル「レ・ミゼラブル」が未来へと扉を開く作品であることを鮮やかに示している。(画像はミュージカル「レ・ミゼラブル」とは関係ありません。イメージです)
 ミュージカル「レ・ミゼラブル」は、5月25日~7月26日に東京・丸の内の帝国劇場で、8月4~28日に福岡市の博多座で、9月6~16日に大阪市のフェスティバルホールで、9月28日~10月4日に長野県松本市のまつもと市民芸術館で上演される。

阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも読めます。舞台写真はブログでのみ公開しています。
★「SEVEN HEARTS」ミュージカル「レ・ミゼラブル」劇評ページ

★ブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はこのサイト「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。俳優陣の演技や舞台表現などに対する評価が掲載されています。

★この劇評はプリンシパルキャストとして吉原光夫、濱田めぐみ、生田絵梨花、上原理生、三浦宏規、敷村珠夕、橋本じゅん、谷口ゆうな、木内健人が出演した2021年6月1日夜公演をもとにして書かれています。
★なお、本作はほとんどの主要な役柄がトリプルキャスト(4人もあり)であるため、さまざまな組み合わせが組まれていますが、取材機会の関係で劇評を掲載するのは「レ・ミゼラブル(吉原光夫・濱田めぐみ・生田絵梨花・上原理生・三浦宏規・敷村珠夕・橋本じゅん・谷口ゆうな・木内健人出演回)」に限らせていただきます。ご了承ください。
 この組み合わせではカバーしきれない福井晶一さん、佐藤隆紀さん、知念里奈さん、二宮愛さん、和音美桜さん、加藤梨里香さん、熊谷彩春さん、唯月ふうかさん、屋比久知奈さん、川口竜也さん、伊礼彼方さん、竹内將人さん、内藤大希さん、斎藤司さん、駒田一さん、六角精児さん、樹里咲穂さん、森公美子さん、相葉裕樹さん、小野田龍之介さんのファンの方には大変申し訳なく思っておりますが、なにしろ超人気公演のため、取材機会が限られます。何とぞご理解のほどお願い申し上げます。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★ミュージカル「レ・ミゼラブル」公式サイト

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