「絆」というものの深遠な意味合いを探り人間的なエネルギーにあふれるミュージカル、堂本光一と井上芳雄の絆も進化…★劇評★【ミュージカル=ナイツ・テイル―騎士物語―(2021)】

 恋の前では友情は脆いもの。あれほど仲の良かったいとこ同士が、同じ女性を好きになっただけで決定的な対立へと突き進む。現代にも通じる普遍的な物語の中で、稀代の劇作家、シェイクスピアは「絆」というものの深遠な意味合いを突き詰めていく。活動的な主人公たちが自分たちの、あらん限りの才能を尽くして難局に立ち向かい、突破口を見つけようとする人間的なエネルギーにあふれているミュージカル「ナイツ・テイル―騎士物語―」が帝国劇場に帰って来た。楽曲とせりふのバランスも100点満点で、歌うように話し、語り掛けるように歌う登場人物たちの姿もまたいきいきとしている。嘆きや哀しみは何よりも深く描かれるが、それをただマイナスなだけでなく、未来を切り開くカギにもしている。アンサンブルたちの進境著しい活躍ぶりも目に付いた。帝国劇場で共に観客を魅了し続けてきた2人ながら、3年前の初演まで共演することはなかった堂本光一と井上芳雄。2人の誇り高い騎士が強く結びつきながらも決闘までするほど反発しあうというストーリーを持つ本作は、心の盟友でもありライバルでもあった2人のスター俳優が平等に渡り合う作品として、なんともふさわしい作品であったことが、こうして3年ぶりに上演された再演公演を観ているとあらためてよく分かる。3年という時を経て、堂本光一と井上芳雄の絆も進化していることが手に取るように分かるのである。演出は初演に引き続き、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)名誉アソシエイト・ディレクター、ジョン・ケアード。
 ミュージカル「ナイツ・テイル―騎士物語―」は2021年10月6日~11月7日に東京・丸の内の帝国劇場で、11月13~29日に福岡市の博多座で上演される。これに先立ち、9月7~30日(7~12日は中止)に大阪市の梅田芸術劇場メインホールで上演された大阪公演はすべて終了しています。

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