見出し画像

井上芳雄が注ぎ続ける愛情と上白石萌音の繊細な美しさ。心の中に忘れがたい旋律を持った記憶が永遠に響き続ける作品になった…★劇評★【ミュージカル=ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより(2022)】

 昔からよく知っている物語なのに、ジョン・ケアード演出のミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより」を2012年の日本初演で初めて観て、ジーン・ウェブスターの「あしながおじさん」がこんなに豊かな感情にあふれ、こんなに大人びた知性のぶつかり合いを内包した小説であったのかと衝撃を受けたことをよく覚えている。子ども向けに書き直されたお話が記憶の中に残り過ぎていたのかもしれないが、篤志家・慈善家である謎の人物と、孤児院出身でビビッドな感性と文才をその人物に見込まれた少女との間で少女からの発信に限定された一方的に交わされる手紙で構成された物語は、一見、ハートウォーミングな物語と見せていて、その実、双方の成長の物語であり、スリリングな心理的駆け引きの物語でもある。毎公演ごとにジャーヴィスという役柄を磨き上げている井上の作品に掛ける愛情と、初演からの坂本真綾に代わって初めてジルーシャに挑戦している上白石萌音の繊細な美しさを持った歌声と演技が絡み合い、心の中に忘れがたい旋律を伴った記憶となって永遠に響き続ける作品になった。(画像はミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより」とは関係ありません。単なるイメージです)
 
 ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより」は、2022年8月14~17日に東京・北千住のシアター1010で、8月19~22日に大阪市の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで、8月24~31日に東京・日比谷のシアタークリエで上演された。公演はすべて終了している。
 
★序文は阪清和のエンタメ批評&応援ブログ「SEVEN HEARTS」でも無料でお読みいただけます。舞台写真はブログにのみ掲載しています

★無料のブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。井上芳雄さんや上白石萌音さんの演技に対する批評、ジョン・ケアードさんの演出や舞台表現に対する評価などが掲載されています。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは原則として2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ 足ながおじさんより」公式ホームページ=公演はすべて終了しています

ここから先は

5,830字
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?