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西部劇の町に響く運命論の鐘。キャスティングにも仕掛けがあり、油断ならないたくらみに満ちた作品に…★劇評★【舞台=広島ジャンゴ2022(2022)】

人にはそれぞれ事情がある。そのことを分かってもらうために、その人が愛してやまない世界観を借りて、物語として経験してもらう。そんなシンプルな組み立てなのだが、それが現代の広島の牡蠣工場と、西部劇の街「ヒロシマ」とを交錯させながら描かれるものだから、思考が徐々にねじれていく。まるで先端が螺旋階段のようになったきりもみを頭にねじ込まれているように。やがてその事情とやらは、運命論の鐘を鳴らし始め、登場人物たちを深刻なるつぼのなかへと追い込んでいく。2016年に劇作家・演出家の蓬莱竜太と広島にゆかりを持つ演劇人たちが創り出した世界を発展させ、東京・渋谷のシアターコクーンという現代演劇の聖地で、キャストを一新して繰り広げる舞台「広島ジャンゴ2022」が大きな話題を呼んでいる。陰のある娘連れの母親をバイタリティーあふれる天海祐希が演じ、ぐいぐいと共演者を牽引していくイメージのある鈴木亮平になんと馬を演じさせるなど、キャスティングにもいろんな仕掛けが施されており、斬新な設定に大笑いさせられながらも、油断ならないたくらみに満ちた作品となっている。作・演出は蓬莱。(画像は舞台「広島ジャンゴ2022」とは関係ありません。単なるイメージです)
 舞台「広島ジャンゴ2022」は2022年4月5日~30日に東京・渋谷のシアターコクーンで、5月6~16日に大阪市の森ノ宮ピロティホールで上演される。

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★ブログでの劇評は序文のみ掲載し、それ以降の続きを含む劇評の全体像はこのクリエイターのための作品発表型SNS「阪 清和note」で有料(300円)公開しています。なお劇評の続きには作品の魅力や前提となる設定の説明。天海祐希さんや鈴木亮平さん、仲村トオルさん、中村ゆりさん、野村周平さん、藤井隆さんといった俳優陣の演技や身体表現に対する批評、蓬莱竜太さんの演出や舞台表現、戯曲に対する評価などが掲載されています。

【注】劇評など一部のコンテンツの全体像を無条件に無料でお読みいただけるサービスは2018年4月7日をもって終了いたしました。「有料化お知らせ記事」をお読みいただき、ご理解を賜れば幸いです。

★舞台「広島ジャンゴ2022」公式サイト

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