見出し画像

言わなくても分かること。

『月見上げ、あなたと同じ感想を口に出してはふふふと笑い』

新年明けましておめでとうございます。
どうぞ、今年もよろしくお願い申し上げます。

上記の短歌は、題詠2017という短歌を題に沿って詠む、現在はFacebookで行われている企画に寄せた短歌です。
興味がある方は是非、参加してみてください。
今回の題は『感』でした。

ある夜、私は恋人と二人で歩いて居ました。
二人とも車で移動するのが常で、どちらも車を持っている車人間だったので、何故歩いて居たかは思い出せないですが、とても珍しい事でした。

何か用事を済ませ、恋人と二人、手を繋いでいるときに見上げたのは満月。
煙草を吹かせる彼が目線を上げ、私もつられて目線を上げると、明るい夜空に浮かぶ満月があり
(あぁ、綺麗だな)
と、ふと思いました。

私は、彼と手を繋いで歩いていることが、とてつもなく心安らぎ、安心できる瞬間で、自然と彼の手をぎゅっと握っていました。
すると、同じように夜空を見上げていた彼が一言。
「綺麗だね」
と、言いました。

彼の言葉に主語はありませんでしたが、月のことを言っているのだと一瞬で分かりました。
分かった瞬間、私は「ふふ」と笑ってしまい。
それを見た彼は「なんで笑うんだよー」とまた笑いました。

そんな雰囲気がとてつもなく幸せで、幸せで。
私は、そのあとこの短歌を詠みました。

言葉で言い表せるか分かりませんし、表したらとんでもなく陳腐なものになりそうですが。
彼と手を繋いで見上げた満月と、私と彼を包み込んでいた雰囲気。
何がどうとか言わなくても、言葉で伝わる心地よさが、とんでもなく幸せでした。

今は、中々伝えたいことを素直に伝えることが出来なくなって。
何か言いたくても、伝えたくても上手く彼に伝えられてるか不安になることがあります。

そんなときに、この短歌を詠むと、言わなくても伝わることってあるのになって。
余計なことを言いすぎると、それはかえって良くないのかもしれないな、と。
ふと思ってしまうのです。

#短歌 #エッセイ #コラム #恋愛 #短歌エッセイ #現代短歌 #恋愛短歌

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?