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#11 瀬戸の9月は「せともの祭」。そのはじまりの話。

 9月の瀬戸はせともの祭です。今は毎年9月の第2土曜と日曜です。

 名鉄尾張瀬戸駅あたりから瀬戸川沿いに陶磁器を売るテントがずらーーーーっと並ぶのはせともの祭ならではの風景です。昨年はコロナによる2回の中止から3年ぶりの復活でした(もちろん様々な感染対策の上での開催でした)。150店ほどの出店(もちろん食べものの屋台抜きの陶磁器関係のね)でしたが、今回はいよいよコロナ前の規模に復活するようです!
 そう!やっぱりせともの祭といえば大廉売市ですよ!

 今回のせともの祭は第92回。始まりは昭和7年。当時は数年前から始まった世界的な金融恐慌の終わりがまだ見えず、瀬戸の町も大きな影響を受けていました。売れないんです、せとものが、ぜんぜん。
 その頃は大きな登り窯全盛の時代。売れずに出荷できないと言っても細かな生産調整が出来るわけもなく、問屋さんの倉庫は在庫であふれたと聞きます。売れなければお金もなくなるのは道理で、従業員の賃金も遅れがちに…。
 なんとか在庫の整理と当座の賃金支払いにと窯神神社の祭礼に合わせて、瀬戸川沿いに50軒の陶磁器業者が野天で店を出しました。従業員たちが倉庫から在庫のせとものを持ち出し並べ、原価無視での廉売を行いました。終わる頃には「残り全部でいくらだ!」のような状況に。たいへんな盛況だったようです。売上は参加した従業員たちで分けたと聞くので、不景気でストレスも溜まっていた彼らもスッキリ出来たんじゃないでしょうか。
 この第1回のせともの祭は評判となり、その後は毎年9月のせともの祭大廉売市として定着していきました。


 なかなか資料もないのですが、昭和20年9月(まさに終戦直後だ)に中止された以外は、最近のコロナウィルスによる2回の中止まで休まず続いて来たようです。まあ、このコロナウィルスの数年がいかに異常事態だったかと改めて感じます。

 戦争や災害や不景気や流行り病や……何が来ようと跳ね除け復活してきた「せともの祭」。
 最近は若手作家や遠くからの出店者も増え、安いだけじゃない魅力を持ったお祭りになっています。もちろん、大廉売市以外にもお楽しみはいっぱいです。

 先人たちに負けないように当店もいいものを安く準備しています。あと2ヶ月ないですよ!

※タイトル変更しました。


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