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アイランドにエスケープ ~無人島で引きこもる俺と恋リアで惨敗した美女

「もう。いい加減、外の世界、出なさいよ!」

ハタチを超えても人と交流を持つのが苦手な俺は、暗い部屋にこもっていた。まもなく半年を迎える。
ドアの向こうからは、悲しい叫び声が聞こえる。
「……いやだ! いやだ!!!!」

ここは無人島。氷山にぶつかった船が転覆し、俺はここにたどり着いた。
ブラック企業で飛び込み営業に苦しんでメンタルをやられた俺は、会社に連絡もせずに船に乗り込み、気が付いたらこの島にいた。

ちょうどよい小屋があったので、閉じこもることにした。
誰もいないと知っていても、外の世界が怖かったのだ。

アタシは恋愛リアリティショーに参加した。あっさり落とされた。
がめつい女性はちょっと……と金持ち男に言われた。もっとマシな断り方があったろうに。
スタッフ一人とともに、船でリゾートアイランドから帰る途中、船が転覆し、なぜか私だけ無人島にいた。カバンも足に引っかかっていたが、中には男をたぶらかすためだけに生まれたブラジリアンビキニしか入っていなかった。アタシは漂流したのだ。一人きり、死を待つのみ。
そう思っていた。

でも、ようやく見つけた小屋に光が灯っていた。
人がいる! なんかテレビの音もする! え、電気通っているの、この島?
「すみません。すみませーん!」
慌てて小屋をノックした。人はいる。誰かいる。

「……やめてくれ! ほっとおいてくれ!」
そいつはメンタルを病んだ引きこもりだった。

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