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代表として歩んだ10年は、孤独ではなく青春だった_法人化10周年記念:理事長 三井俊介インタビュー【後編】


東日本大震災の2日後、任意団体として発足し、
2013年6月18日に法人化した『特定非営利活動法人SET(以下 SET)』は今年で10周年。

前編から引き続き、10周年を記念して理事長・三井俊介に話を聴きます。

前編はこちら↓

後編となる今回は、理事長として歩んだ10年間や、SETの現在とこれからについて聴きます。SETがつながってきた人々、そして今後もつくっていきたい未来について。
ぜひ、ご覧ください!

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代表として見てきたのは、「人の人生が変わる」という尊い景色


---前回までは、SETという法人についてお話ししてきましたが、
「代表」としては、これまでどんな景色を見てきましたか?

「人はほんとに変われる」ってことですかね。

人の人生を変えてきてるってほんとにすごいですよね。僕たちは、活動の価値として、表層だけではなく深いところに踏み込んでいってる部分があります。

その最上位が、「人生が変わる原体験」の提供だと思っています。
「この町での活動が自分の人生の原体験になりました!」みたいな、ここでの活動を通して大きく変われたという。若者だけでなく町の人もそうなのかなと。

その姿が、自分が見てきた景色なのかなあ。
人が本気でチャレンジして、一緒に涙を流して感動して、人生が変わる原体験をこの町でつくっていくという、その景色が尊いなと思いますね。



---(インタビュアーの)私自身も大学生の当時目指していた進路を変えて移住したり、人との関わりの葛藤から結婚をしたメンバーもいたり。SETでの原体験は実生活の変化という意味でも、人生を変えていますね。

代表としての苦悩はありましたか?

大変な事もありましたが、
それでも、代表者や経営者はよく「孤独だ」といわれるけど、そう感じたことは一回もないですね。

いい人に囲まれ、いい仲間と山あり谷あり乗り越えてきたから、孤独で寂しいみたいな感覚はない。みんなでもがきながら、青春をやってる。
そんな感じですね。


「お布施」のような応援と共感に支えられて


ーーー仲間や周囲の方々との青春の10年間だったんですね。
では、SETは外部との繋がりは、どんな人たちと繋がってきている印象ですか?

基本「いい人」と繋がらせてもらっていると思います。

こんなお金のない小さい団体から金をだまし取ろうなんて人はいない訳ですよね(笑)。
お金目当てじゃないから、「何か力になりたい、貢献したい」と思ってくれてる人たちですよね。

昔も今も、そういう人に囲まれてて、最近では「もっとおもしろいことやってほしいな」「自分がやりたいから一緒にやろうよ」という人も増えている気がします。

ーーー本当の善意のある方や「仲間」として歩んでくださる方々に支えていただいていますね。
サポートに関して、SETなりの「寄付」について思うことはありますか?

SETの寄付は、存在自体を応援するために頂いている気がします。
使用用途を指定して報告するのではなく、存在自体に期待をされているように。

「日本人はお布施をもっとやるべきだ」というお坊さんの話があって。
お布施は「渡したお金が何に使われるかはわからないけど、それでいい」という応援をするものである、と聞きました。

SETに願いを込めて渡してもらって、 SETなりに考えて活動してみる。もしかしたらそれは遊んでいるように見えるかもしれないし、一見無駄に見えるかもしれない。
けれども、長い目でみた時にそれが花開くかもしれないし、花開かないかもしれない。
それも楽しんでもらえたら、嬉しいという。そういう感じですかね。

僕個人としても、応援したいものにどんどんお金を使うことは大事だと思っています。
クラウドファンディングとかも、リターンなしのものにしたり。買うものも、最近は変わってきて、量産型よりも想いがこもっているものや頑張っているものを買うようにしていて。
そういう投資行動として「応援」という意味で、お金を巡らしていくことを意識しているかな。

そういう意味合いで、SETの周りでもお金が巡回していたらいいなと思いますね。



ーーーSETという「存在」を応援してくださる人たちと繋がってきているのですね。
支えてくださっている方々には、どんなところに共感をいただいていると思いますか?

SETのミッション、「一人一人の『やりたい』を『できた』に変え、日本の未来に対して『Good』な『Change』が起こっている社会を創る」って、抽象的で何やってるかよくわかんない印象も受けるけど、でも一方で否定できないものというか。
「それはいいよね」と結構言ってもらえて。

一人一人の社会や町のために『やりたい』という気持ちを『できた』に変えるって尊いし、いいよね。それで日本の未来に対していいものを、みんなで創っていこうよ」というのがSETのメッセージで。
それに対して共感する人たちに寄ってきてもらえるから。
福祉、漁業、交通といったジャンルを問わず手を取り合えてる気がします。

みんな自分の業界の当たり前を崩したいけど、なかなか業界だけでは崩せない。そんな想いを抱えたおもしろい人たちが、集まってきてくれるんじゃないかなと思います。
いろんな実験をしないと、おもしろくないですよね。


大事なものを大事にするために。泥臭くぶつかり合う


---前編の持続可能性の話でも出ましたが、「おもしろい」「楽しい」みたいな感性的な判断軸が、組織感情に割とありますよね。

これまでについて振り返ってきましたが、
ではSETの現在について、今はどういうフェーズを迎えてますか?

法人として10年、発足からは12年なので、中学生ですね(笑)。アイデンティティが芽生えてきて、他者と比べる時期になってますね。

代表の僕の意志だけではなく、いろんな人が関わっているフェーズだと思っています。
その中でハレーションを起こし、何を本当に大事にするのかぶつけあいながら進んでる感じはします。

ただ「みんな大事にしたいものを大事にしたいよね」という感覚はあるから、大事なものを切り捨ててでも進むのではなく。
本当に大事にしたいものってなんだろうねと確認し、崩れそうになっているものを戻しながら一歩ずつ進んでいっている感じ。

規模が大きくなったり、いろんな賞をいただいたりしてますが、周りから見られる姿よりも、ずっと中は泥臭くて。実際は、亀の歩みのように進んだり戻ったり、対話して0から考えなおしたりといったことをしています。


ーーー考え直すということで、最近、組織体制について大きく変えましたね。どのように変わったのですか?


より「一人一人の『やりたい』を『できた』に」がしやすい体制
にし直そう、とはしていますかね。
感染症流行で緊急的にしなくてはいけなかったこととか、組織を守るためにみんなで守備シフトを敷いてる感覚があったので。
大きくなった規模でも、改めて、そうし直そうとした感覚です。

資金面では、「『やりたい』を『できた』に」変えるうえで、守るための資金はある程度出来てきてると思います。
ですが、より「『やりたい』を『できた』に」する攻めの資金はまだなくて。ここが寄付の力や助成金の力が必要だなとは感じています。


今後はより、SETとして、おもしろいことをおもしろい人としていきたいと考えています。
「いいですね、一緒にやりましょう!」と言える環境にしたいなと思うので、そこは励んでいきたいですね。



10年を支えてくださった、みなさまへ


ーーーSETとして、より「おもしろく」活動していけるように、環境をつくっていきたいですね。

それでは、最後になりますが、
10年間SETに関わってくださった、みなさまにメッセージを。

SETのメンバーとなって活動してくれた多くの仲間や、支えてくれた地域の住民の方々や多くの知人のみなさま。

大変な時も苦しい時もありました。
けど、「がんばれ、がんばれ」と多くのみなさまが応援し続けてくれたから、続けてこれました。

続けてきたからこそ、
普通では味わえない楽しさや喜び、人生の豊かさを感じさせてもらえたと感じています。
これからも、きっとたくさんの大変なことが起こると思います。

それでも、
わたし達は決して歩みを止めません。
時に立ち止まることはあるかもしれませんが、
より良い社会にしていくために、あきらめずに歩み続けていきます。

これからも引き続き、がんばっていきたいと思いますので、応援どうぞよろしくお願いします!



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最後までご覧いただき、ありがとうございました!
改めて、SETを支えてくださり、10年間を共に歩んでくださった皆さまへ、心より感謝いたします。

SETはより良い日本の未来をつくっていくために、より一層励んでまいります。これからも、よろしくお願いいたします!


【SET理事長 三井俊介】

特定非営利活動法人高田暮者 理事
特定非営利活動法人新公益連盟 北海道・東北ブロック代表
宮城大学 非常勤講師 宮城大学大学院博士前期課程修了
一般社団法人幸せなコミュニティとつながり実践研究所 理事
陸前高田市元市議会議員(在籍期間2015年9月〜2019年9月まで)
地方政党とうほく未来創生 副代表
『政策起業家が社会を変える ソーシャルイノベーションの新たな担い手 M・ミントロム 著 石田祐 /三井俊介 訳』

編集:芦川智里
インタビュアー:山本晃平
編集協力:野村美並
写真:Trine Villemoes,ほかSET

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