【映画】ビルド・ア・ガール(2022年3月1日)
90年代っぽいポップで明るい映画かと思ったら、きちんとした心理描写と繊細な脚本・構成でガッツリ泣いてしまった・・・。90年代に青春を(特に田舎で)過ごした人(特にサブカル好き)なら共感するのでは。
「ブックスマート」がとてもいい映画だったので、同じくビーニー・フェルドスタインが主演を演じると聞いて、本来は映画館に見に行く予定だったのだが、あれこれあって見逃していた。Netflixで早くも配信開始していたので(いいのか悪いのかはわからんが)、助かった。
実在するイギリスの音楽評論家の半生ということだけれど、私はそこまで洋楽やロックに詳しくないので、劇中のアレコレについてはビョークにようやく気付いたくらい。それでも、田舎の冴えない文学少女が何者かになりたくてもがく様子や、若さゆえの猪突猛進っぷり、若さゆえに自分も他人も傷つけてしまう無邪気さ、若さゆえに素直で軌道修正できる勇気、などなど青春映画の素敵なところを、ビーニーがこれでもかと魅力的に演じてくれていて説得力がある。
ともすると、ババアには若者の青春ってまぶしすぎるし、個人的にはきらきらした青春などそこまで思い入れがないので敬遠しがちだけど、「何かが思い通りにいかなくてもがく」「傷ついた時/傷つけられた時どうするのか」といったメッセージは、青春を通じていろいろ教えられることがある。本作はまさにその良い例なんじゃないかと思う。
世間的にみると、そして突き放して描写するなら、経済的に困窮し、学校でも浮いてて、初恋も実らず、という状況ではある。音楽誌編集部でも笑われて、誰も見方がいない。
裏返してみると、ちょっと変わった家族、互いに協力できる弟、そして何より、主人公はとても素晴らしい人に初恋出来て、とても恵まれていたなあ、と思う。そして、それを自分で「恵まれている」と感じられる感性が、まさに彼女に備わった才能のなのかもしれない。だから彼女は自分と、自分を信じてくれる人を信じる。そして誠実に謝る。
1時間半くらいの長さとは思えない充実した時間で、テンポよく構成されていてとてもいい映画だったし、ガールズ映画というくくりではなくもっとたくさんの人に見てもらいたいな、と思った。音楽好きならもっと楽しめたんだろうな~。
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