見出し画像

ホームか、アウェーか

「東京出身だと、地元愛みたいなものがないんですよね」

ある人がこう言いました。その場にいた3人のうち、私以外の2人は東京生まれの東京育ちでした。

「確かにそうかもしれないですね」

「生まれ育ったところへ行っても、『ああ、帰ってきた~』という感じはしないんですよ」

東京育ちの人が東京で働いていると、地元は目と鼻の先です。感慨を覚えるようなこともないのでしょう。

「私なんかは京都駅で降りて東寺の塔を見たら『帰ってきた~』と思いますけどね」

私の地元は奈良県大和郡山市で、京都駅からだと実家まで1時間以上かかるのですが、京都駅まで来るとホームグラウンドに戻ってきたような気になります。奈良に行かない場合、例えば取材で京都を訪れた時も同じように感じるので、準地元というように認識しているのでしょう。

大阪もホームのような感じがします。帰省した際にはたいてい何らかの用事で大阪に行くので定期的に訪れていますし、旧友が多くいるのも一因でしょう。

一方、大学時代を過ごした神戸は、また違った感慨があります。訪れる機会があまりないので、懐かしいという気持ちの方が強くなるのです。ホームかアウェーかというと、間違いなく前者ですが。

こうして考えてみると、自分は関西の人間だという意識が強いことを実感します。もう17年も東京で働いていますが、いまだにアウェーという感じが抜けません。

もっとも、これは結婚してから13年間さいたま市に住んでいるからかのような気がします。関西人にとっては東京も埼玉も同じようなものですが、首都圏の人にとっては違います。だからこそ漫画のネタになり、映画が大ヒットするわけです。

そして、埼玉に対する愛着は、年々深まっているような感覚があります。自宅のある与野駅周辺だけでなく、浦和も大宮も私にとってはホームです。東京とは違うからこそ、私には合っているのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?